ヤマハ発動機<7272>は2026年2月2日、最終利益の極めて大幅な下方修正を発表しました。これを受けて翌日の市場では株価が一時10%を超える大幅な暴落を見せています。この暴落が一体何によって引き起こされたのか、そしてこれがヤマハ発動機という1社だけの問題で終わるのか、それとも皆様が保有している他の銘柄でも同じようなことが起きる可能性があるのかを深掘りします。注意喚起の意味も込めて、お手元のポートフォリオをチェックするための視点も合わせてお伝えします。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』元村浩之)
プロフィール:元村 浩之(もとむら ひろゆき)
つばめ投資顧問アナリスト。1982年、長崎県生まれ。県立宗像高校、長崎大学工学部卒業。大手スポーツ小売企業入社後、店舗運営業務に従事する傍ら、ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。2022年につばめ投資顧問に入社。長期投資を通じて顧客の幸せに資するべく、経済動向、個別銘柄分析、運営サポート業務を行っている。
ヤマハ発動機の事業構造:利益の源泉はどこにあるのか
ヤマハ発動機がどのようなビジネスで収益を上げているのか、改めて整理しておきましょう。
2025年12月期の連結業績を見ると、売上高の構成で最も大きいのは「ランドモビリティ事業」です。
これは皆様もお馴染みのバイク(二輪車)や電動アシスト自転車などが含まれます。
しかし、投資家として注目すべきは「マリン事業」です。
ここには船外機(マリンエンジン)やボート、ウォータービークルなどが含まれますが、売上の構成比以上に営業利益の構成比が非常に大きいという特徴があります。
つまり、ヤマハ発動機にとっての本当の「稼ぎ頭」はマリン事業にあると言っても過言ではありません。
その他にも、表面実装機などを扱うロボティクス事業や金融サービス事業を展開していますが、主力の2本柱はランドモビリティとマリンであることをまずは押さえてください。
営業利益は「上方修正」なのに、最終利益「63%下方修正」の怪
今回、市場に衝撃を与えた2月2日のニュースリリースを詳しく見てみましょう。
内容は通期の連結業績予想および配当予想の修正に関するものでしたが、その数字の出方が極めて異例でした。
まず営業利益に関しては、従来出していた業績予想から5%引き上げるというポジティブな内容でした。
しかし、その一方で最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の部分は、なんと従来の見通しから63%も一気に引き下げたのです。
営業利益が上がっているのに最終利益がこれほどまでに削られるという、非常にショッキングな内容でした。

ヤマハ発動機<7272> 日足(SBI証券提供)
あわせて配当についても下方修正が行われました。
前期は年間で1株あたり50円(上期25円、下期25円)を配当していましたが、今期は上期こそ25円を維持したものの、下期を10円に引き下げ、通期で35円としました。
50円から35円への大幅な「減配」です。
これら一連の発表が重なり、翌日の株価は10%という凄まじい暴落を記録するに至りました。

