マックス<6454>は、ホッチキスやラベル作成機などのオフィス機器、釘打機や鉄筋結束機などの建築・建設工具、浴室暖房換気乾燥機などを展開する機械メーカーだ。創業以来の金属加工技術を基盤に、現在はインダストリアル機器が売上高の約7割を占める。特に鉄筋結束機「ツインタイア」は強い商品力と建設現場の効率化需要を背景に成長が続いている。加えて、ホッチキスや電気式浴室暖房換気乾燥機では国内トップシェアを有しており、特定事業に依存しない多角的な収益構造を構築している。機械本体と専用消耗品をセットで販売するビジネスモデルが特徴で、機械販売の積み上がりが継続的な消耗品需要につながるストック型収益構造も持つ。
2026年3月期は、売上高996億円(前期比8.5%増)、営業利益175億円(同21.4%増)、経常利益183億円(同24.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益138億円(同23.8%増)となり、売上高・各利益ともに過去最高を更新した。最大のけん引役となったのはインダストリアル機器部門であり、売上高751億円(同12.7%増)、セグメント利益189億円(同29.9%増)と大幅増収増益となった。特に海外機工品事業は、欧米を中心に鉄筋結束機と専用消耗品の販売が拡大し、売上高411億円(同23.8%増)まで成長した。建設現場の人手不足を背景に、従来は手作業で行っていた鉄筋結束を機械化する需要が高まっていることが背景にある。
2026年3月期の営業利益率は17.6%まで上昇し、利益率改善も鮮明だ。鉄筋結束機など高収益商品の販売構成比上昇が寄与しており、数量増加に加えて製品ミックス改善が利益率押し上げ要因となった。欧米市場ではインフラ投資拡大も追い風となっている。特に欧州ではドイツを中心に建設投資が改善しており、非住宅向け建設需要が底堅く推移している。一方、国内は新設住宅着工戸数が減少傾向にあり、木造住宅向け工具市場には逆風も残る。ただし、同社は住宅向け依存度が相対的に低く、インフラ・非住宅市場向け工具の伸長が業績を支えている。また、住環境機器事業は売上高129億円(同6.0%増)となり、浴室暖房換気乾燥機「ドライファン」がリプレイス需要を中心に伸長した。リプレイス需要は既設機の置き換えであり、利益率改善につながりやすい領域だ。
オフィス機器部門は売上高214億円(前期比2.0%減)、セグメント利益35億円(同19.9%減)となった。国内オフィス市場では文具関連や事務機械が低調だった一方、海外では表示作成機「ビーポップ」が欧州展示会を通じた案件獲得で販売拡大した。また、オートステープラ事業では米国関税措置や景気低迷の影響で受注が停滞した。
2027年3月期会社計画は、売上高1,055億円(前期比5.9%増)、営業利益188億円(同7.0%増)を見込む。初の売上高1,000億円超え、営業利益過去最高更新を計画している。成長ドライバーは引き続き鉄筋結束機関連だ。現中期経営計画では鉄筋結束機関連売上高390億円を目標としていたが、2026年3月期実績は427億円と前倒し達成した。今後も欧米市場を中心に拡販を進める方針であり、ASEANや中東など新規市場への展開も視野に入れている。欧米では機械結束比率が依然3割程度にとどまっており、手作業から機械化への置き換え余地は大きい。国内でも機械化率は約6割であり、中長期的な普及余地が残る。
加えて、同社は単なる工具メーカーから、建設現場の省人化・施工DXを支える企業への進化も模索している。2023年10月に発売したコネクティッドツインタイアに加えて、鉄筋結束ロボットの開発を進めており、建設現場全体の効率化需要を取り込む構えだ。人手不足は世界的な建設業界の構造課題であり、同社製品との親和性は高い。
株主還元にも積極的だ。配当政策を見直し、純資産配当率(DOE)を5.0%から6.0%へ引き上げ、配当性向50%を目安とする方針を示した。上場以来非減配を継続しており、2026年4月実施の1株を4株とする株式分割を考慮すると、2027年3月期は実質増配となる見通しだ。さらに、上限400万株・71億円の自己株取得も決議している。ROE12%を目標に掲げるなど、資本効率を重視した経営姿勢も鮮明になっている。
総じて同社は、鉄筋結束機を軸とした海外成長と高収益体質への転換が進んでいる企業だ。建設現場の機械化・効率化需要という長期テーマを背景に、欧米を中心とした市場拡大余地は大きい。加えて、消耗品を含めたストック型収益構造や高い営業利益率、積極的な株主還元も評価材料となる。今後は鉄筋結束機の新規市場展開や施工DX関連製品の進展に注目したい。
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