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FX業界の大ベテラン達による辛口対談|細田哲生氏 × 村居孝美氏【前編】

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勝ち続けるトレーダーに共通するものは、優れた手法だけではありません。相場への向き合い方や検証の積み重ね、そして長く生き残るための考え方こそが、本当の実力を支えています。本記事では、豊富な経験を持つ二人のトレーダーによる対談を通じて、次世代の投資家に伝えたい相場との向き合い方や、普遍的な勝ち残るためのヒントをお届けします。(FX雑誌『外国為替』vol.10より再構成/インタビュー日:2024年3月19日)

細田哲生(ほそだ てっせい)氏プロフィール

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一目均衡表の確立者「一目山人」の孫。一目山人の意思を引き継ぎ、正しい一目均衡表の使い方を普及することに従事。経済変動総研主催の、「一目均衡表倶楽部」「メールマガジン株式レター」にて一目均衡表による相場解説、罫線講座を執筆中。【DVD】 一目均衡表入門(パンローリング)

 

村居孝美(むらい たかよし)氏プロフィール

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伝説的トレーダー集団タートルズ、世界的投資家ラリーウイリアムズ氏他、トップトレーダーに直接取材を敢行し、その体系を再現すべく、システムトレードソフト「KENSHIRO-225」「ロジツク」をリリース。市場独自のアノマリーと値動きの規則性で作り上げた複数の売買戦略にて、リスクを軽減し高リターンの実績を上げている、トレード歴20年のシステムトレーダー。【著書】トレードの成功哲学 (パンローリング)

◎聞き手:外国為替編集長 鹿内

ネット普及で便利な時代へ。個人投資家が億万長者に

鹿内 まずは、今と昔を比べて変わったこと、変わっていないことを教えてください。

村居孝美(以下:村居) 僕がこの業界に入ったのは約20年前ですが、昔と変わっていないのは、勝っている人が手法ありきで講師を務め、そこへ集まった人は手法だけを学び、マーケットが変化したら皆負けていく構図です。それで参加者が入れ替わっているのは昔も今も変わりませんね。僕は手法だけ理解しても勝てないと思っているので、それを理解していない人が負けているイメージが昔からあります。

細田哲生(以下:細田) 僕の場合は、この業界に入ったころにパソコンが普及していなかったので、チャートがありませんでした。分析するにしても手書きです。だから、まだ手法を大々的に教える人はいませんでしたね。

村居 そういえば、妻が証券会社へ就職したころは、手書きのチャートを使って今後の値動き予想を顧客に説明する営業スタイルだったという話を聞いたことがあります。チャートを使った分析はインターネットが普及してからなんですよね。

細田 インターネット普及前は、営業マンが来て、電話で注文をするのが主流でしたね。

村居 昔は株の保有期間も長めだった覚えがあります。一方、インターネットが普及し始めてネットで株が購入できるようになると、手数料が安く、個人投資家が儲けやすくなったという話が広まり、短期売買が流行りました。個人投資家に億万長者が出てきたのも、この時期ですね。

それでまず流行ったのがブレイクアウト手法です。米国ではこの手法が「1000万円で販売されていた」なんて噂も広まり、その手法を基にスクールをやる人も出始めました。実は僕、最初に大阪で開かれたそのセミナーに行ったんです……。

細田 それは米国株のセミナーだったんですか?

村居 米国株と日本株、どちらも扱うセミナーで、ブレイクアウト手法は儲かると参加後は思いました。売買ルールに沿って、1%上がったら決済したり、次の日に決済したりして、しばらくは皆儲かっていました。ところが、マーケットが変化して下降トレンドに入ったときに、軒並み皆負け始めたのです。負けた理由ははっきりしていて、下げているのに「買い」でのエントリーばかりしていたから。相場の方向が逆になっただけなので、相場観を読めなかったトレーダーに責任があるはずですが、生徒たちからは「詐欺じゃないか」と悪い噂が立ち、ネット上に流れ始めました。これを機に株をやめる人も少なくなかったと思います。

詐欺師扱いされた講師は、ブログを毎日公開し、ソフトを使って銘柄スクリーニングをやっていたようで、そのソフトを使えば、買いのブレイクアウトも売りのブレイクアウトも分かるようにしていました。しかし、当時は「買い」でエントリーする人がほとんど。僕は「マーケットが下がっているんだったら、売れば儲かるのでは?」と思い、売り始めたら勝ちました。自分で分析する力をつけなくてはならないはずですが、ネットが普及してからは、株やFXの講師になる人も生徒として情報を求める人も絶えず、いろんなところでテクニカル分析のスクールがどんどん出始めた印象があります。

負けても「継続力」は大切に。勉強を続ければいつか勝てる

鹿内 ネットが普及する前の話ももっと教えてください。

細田 ネットの普及前はお金がないと投資できない時代でした。投資をするのは金持ちしかいなかったんです。手数料が高いので、今のようなデイトレーダーはまずいなかったように思います。

村居 空売りも300万円以上なければできなかった記憶があります。

細田 そうです。だから、エントリーをしてすぐに損切りしただけで結構なお金が飛んでいました。投資のスタイルを比べると、当時と今では全然違います。さらに、90年代のころは、1989年の天井から下がり続けていた時代なので「投資家」というより「塩漬け家」になる人がほとんどだったのではないでしょうか。

村居 バブルのときにNTTの株を僕の上司が買って、買った途端に暴落し始めたこともありました。バブル崩壊で、そこからずっと下げ続けていたような……。

細田 つまり、投資スタイルも今と違うので、今みたいに一生懸命勉強して臨む人が少ない時代だったんです。テクニカル分析の知識を持っている人は非常に少なかったので、当時と比べると、投資家にとって環境は確実に良くはなっていると思います。手数料は安くなり、詐欺師に気を付けなければなりませんが、勉強したいと思えばできますよね。何より、情報量が段違いです。

僕の友人は、外資系の投資銀行で働いていて、当時は個人投資家としてやっていくつもりはありませんでした。投資銀行の中にいれば情報がタイムリーに入ってくるのに対して、インターネットが普及していなかった時代、個人投資家が情報を得るのは難しかったと思います。それが現在、ネットを使えば、情報のタイムラグがほとんどなく取引ができます。投資銀行で働くのと、個人投資家として戦うのでは、アドバンテージの差が昔に比べて縮まったと思います。

村居 昔は証券会社の営業マンからオススメされた銘柄を買うのが主流でしたよね。当時の証券会社の人の話を聞くと、アナリストが朝礼で「今からこの株が上がるから買い時」だと営業マンに伝えていたそうです。

鹿内 情報、選択肢が増えて、手数料が安くなった今、個人投資家にとって環境が良くなったはずですが、今は手法のデパートになっていて、迷う人が多いですよね。

村居 2000年以降はファンダメンタルズが与える相場の値動きを読まなくなった人が増えたと思います。テクニカル手法が発達することによって「テクニカルだけを覚えれば勝てるのではないか」という情報が一人歩きしています。相場観を無視したトレードは、一時的には勝てるでしょう。しかし、突然テクニカルで予想した方向と反対に値が動いたり、突然大暴落が起きたりしてしまった場合、あっという間にお金がなくなってしまうんです。そして、トレーダーが入れ替わる…。昔からこれを繰り返しています。

細田 昔は株価が上がると思ったから買う、というファンダメンタルズが中心でしたからね。

村居 テクニカル手法を中心にトレードをする人が増えた理由は短期売買が流行ったから、これに尽きると思います。短期売買であれば、瞬時の判断だけで売買できるため、ファンダメンタルズは関係ないと考える人は多いです。僕は結局それが負ける原因だと思いますけどね。

細田 ファンダメンタルズも理解できた方が良いですよね。僕は、テクニカル分析の方法が間違っていることも負けている人の特徴だと思います。

村居 オシレーターを10個~20個使い、チャートが見えなくなるぐらい水平線を引くのは、初心者や負けトレーダーにありがちなこと。それでは結局何も見えませんよね。

細田 テクニカル分析の捉え方が全く違うと、間違った手法を試してしまうのでしょう。テクニカルを教える立場の人を見ても、同じ手法でも捉え方が違って、それぞれ教え方が違うように、同じ講師から同じ内容を教えてもらっても、生徒側で違う捉え方をする人もいます。

村居 だからテクニカル分析だけで勝とうとするのは難しいんですよね。

細田 難しいからこそ、最初は負けたとしても勝つまで続ける根性も必要だと思います。昔から儲ける人は儲けますし、最初から上手な人も存在します。才能がなければ勝てない世界なのかと思うかもしれませんが、大切なのは「継続力」。最初は負け続けていたけれど、後から勝てるようになった人は、とにかくやめていません。続けたいのに続ける前にお金がなくなってしまう人が多いんです。儲けられないと思ったら勉強をするしかありません。勉強を続けていたら、何となく分かってくるものがあるんです。お金がなくなったときは我慢して勉強してお金を貯めればいいだけの話なのに、投資でお金がなくなると、投資も勉強もやめてしまう人が多いですよね。

村居 やめてしまう人は、勉強して継続すれば上手くなるというベースの考え方を持っていない気がします。テクニカル手法は種類が数多く、誰に習うかでやり方や考え方が違うんですが、少し負けただけで講師を転々と変えるのはもったいないんです。それは結局、何も深掘りできていないことになるので。

細田 きちんとした講師に習っていることが前提ですよね。そもそもテクニカル手法はそれぞれ考え方や使い方があり、それをきちんと整理して判断できるようになれば、迷うことではありません。例えば、ブレイクアウト手法も、単純化すれば波動論で説明できること。しかし、講師によっては、波動論に移動平均線を組み合わせて考え方を複雑化させています。すると、生徒側も混乱しますし、講師側が波動論をハナからきちんと理解していない可能性もあるんです。

村居 負けるとそれを補うためにオシレーターを使って解決しようとする人がいますが、考え方をこじらせてしまい、全く勝てなくなるという人も少なくありませんよね。

細田 複雑なものは単純化しないと使い物にならないんですが、多くの人はこんがらがっています。だからといって、単純化しすぎても勝てないのが投資なので難しいところではありますが。例えば、買いで入ったら買いしかできない、売りで入ったら売りしかできない、そのようにマインドが固定されてバランスを取れなかった場合、急に相場が方向転換したら対応できません。トレンドが出ていないのに、売買の方向に偏りが出ると、当たり前ですが負けます。

村居 レンジ相場とトレンド相場でそれぞれ使える手法が違うというのを理解すべきですよね。レンジ相場で、買いしか入れなければ負けますし、暴落しているときに、少し上がったところで買ってしまうと負けます。言葉にしたり、後で説明したりすると負ける理由が分かるものですが、いざ投資をしようとすると真逆の方向でポジションを持ってしまうということは珍しくありません。

相場の女神は女性に似ている。方向転換をしたら柔軟に対応

細田 投資をしているときのメンタルも大事ですよね。特に儲かっているときは、勝ったときのクセが抜けません。アベノミクスが始まる前は、日本株がなかなか上がらなかったので、先物の参加者は売りで儲けていました。高値圏で売って儲けていたトレーダーは、2013年から相場が上がっていく過程で、売りでしか入れない人が多かったです。

村居 日本銀行の黒田東彦前総裁が金融緩和を発表して、日本株が上がり始めたところで、本来であれば売り思考だった人も方向転換するべきでしたが、できなかった人は散っていきました。あのときに買いで入った人が儲けましたね。

細田 今振り返ると、大した値動きには見えないかもしれませんが、負けている人は莫大な含み損を抱えていました。一方で、買い続けていた人はべらぼうに儲けましたし、アベノミクスは勝ち負けがはっきりしている相場だったと思います。

村居 マーケットの変化を察知するには、政策を把握しておくことが必須です。ファンダメンタルズを見ずに、今まで儲かっていたやり方を続けると、数年後相場で姿を消すことになると思います。

細田さんはあのとき、どうやって流れの変化を感じ取って、相場に反映させましたか?

細田 チャートで読み取った勢いを分析して反映させました。テクニカル分析をしっかりしていれば、相場が転換する兆しが必ず分かるはず。分かりやすい変化は騰落の勢いやリズムです。そこは注意深く見ています。しかし、レンジ相場の定義づけは難しいと思います。結果的にレンジ相場だったことは後からしか分からないこともありますが、そのあたりは経験を積んでいるかそうでないかが非常に重要なのではないでしょうか。

村居 前もって相場が転換した経験をすると、再び同じことが起きたときに備えるようになるので、やはり経験は大事ですね。

細田 株式は3年ほどあれば、上げ相場・下げ相場・暴落・レンジ相場を一通り経験できると思います。

村居 先物も、昔は1日の値動きでいうと東京時間は陰線が多かったのが、今は陽線が多いです。傾向が変わるということは手法が変わるということ。それが分かった上でやっているかどうかは大きいですね。

また、これから株を始めようとしている人に注意してほしいのは、スクールやサロンの講師が短期間で儲けた人である場合です。講師が一通りの経験をせずに教えていることはザラにあります。経験不足ゆえに、知識のない相場と遭遇し、その生徒たちは軒並み負けていくということもあるんです。

細田 それは結構あるあるですね。

鹿内 僕は最近気が付いたことがあって「僕の周りのおっさんが言うことはだいたい正しい」と思ったんですよね。トレードはスポーツではないので、能力が落ちるわけではありません。だから、投資を長く続けている人の話ほど参考になるものなんです。上手くなりたい、稼ぎたいなら客商売の気質が強いスクールなどにはいかず、堅実に勉強すべきかと思うのですが、お二人はそのあたりをどのように見ていますか?

村居 若い投資家は若い講師のところに集まりますよね。輝いて見えるのだと思います。しかし、短い投資期間で大きく利益を上げた人が必ずしも長期的に勝てるとは限りません。講師の中には投資経験が乏しい人もいるので、そのようなところで学ぶと、生徒と講師が共倒れになるケースも多いと思います。投資経験が浅い場合、これまでは上手くいったけれど、これからも上手くいくとは限らないと肝に銘じるべきです。

細田 僕らは投資経験が長い分、失敗を踏まえて教えられますよね。

村居 相場はリスクと向き合うことなので、僕たちはリスクを教えますが、リスクの話に華やかさはありません。儲かることよりも、資金がなくならないことが何よりも大事ですが、儲かる話に飛びつく人が多いので、リスクの話をする人が少ないのが現状だと思います。本当に大事なリスクの話をすると誰も寄ってこないんですよね。

細田 また、相場について断言するのはかなり難しいはずですが、相場の方向感などについて、明言したがる人も多いですよね。はっきり言いきった方が、情報を求めている人を吸い寄せられるんだと思います。

そこで忘れてはいけないのは、本来株の相場の流れは、ある程度条件が整ってからではないと判断できないということ。

鹿内 断言した方がウケが良いのだと思います。教えてもらう側も、断言してもらって安心がほしいのではないでしょうか。

細田 仮定はできても断言はできないケースがほとんどですが、複数の予想を出して仮定を考え続けるのは非常に退屈だと思う人もいるかもしれません。しかし、そんな退屈な時間に耐えられない人は、勉強を続けるのも難しいのかもしれないという気はしています。

村居 はっきり言うと、退屈を続けられない人は相場に向いてないってことですよね。システムトレード・裁量、どちらを選んでも、相場に合わせてシナリオを立て、考え抜いて軌道修正しながらやっていくものです。

細田 軌道修正は大事。僕はそれを常にやれとは言いませんが、必要に応じてやるべきことです。僕もトレードをやりながら、当初立てたシナリオに違和感を抱いたら調べ直します。

村居 相場の女神は女性と一緒ですぐ変わるんですよ、本当に。

後編につづく(近日公開予定)

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