2026年7月27日に発表された、マクニカホールディングス株式会社2027年3月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
2026年度 第1四半期 業績ハイライト
大河原誠氏(以下、大河原):本日は、マクニカホールディングスの説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。マクニカホールディングス株式会社取締役の大河原です。私から概要を簡単にご説明します。
第1四半期の業績ハイライトについてご説明します。実績をセグメント別に見ると、半導体事業では、海外が昨年から成長軌道に乗っており、引き続き非常に順調に推移しています。また、海外のシェア拡大やAI関連を中心とした需要の増加も継続しています。
特筆すべき点として、国内の半導体、産業機器、車載分野が今回は非常に強い動きを見せたことが挙げられます。この結果、売上高と利益のいずれも2桁以上の伸びを示しています。
サイバーセキュリティ事業については、エンドポイントセキュリティを中心に非常に良好な状況が続いています。第1四半期も、前四半期比で売上が9パーセント、前年同期比36パーセント増加し、順調な推移を見せています。
一方で、CPSソリューション事業については、昨年から地方自治体向けに展開している自動運転EVバスのビジネスの事業環境があまり良くなく、バスの導入が遅れている状況が続いています。このため、計画を下回る結果となっています。
売上については、他の「スマートマニュファクチャリング」などの分野で増加を示しているものの、営業利益はマイナス26億円で、前年同期比で7億円の赤字拡大という実績となっています。
以上の各セグメントの状況を踏まえ、2026年度の通期見通しについては変更せず、今回発表しています。
各セグメントの見通しについてはスライドにも記載していますが、半導体については国内の回復が見えてきており、上振れの期待も当然あると考えています。
一方で、市場でよく指摘されているように、現在メモリ不足が深刻化しており、この影響によりお客さまの生産が停滞するほか、メモリ以外の半導体の購入にも悪影響を及ぼすリスクがあると認識しています。なお、現状では本リスクは顕在化していません。
また、似たような課題ですが、半導体そのものの納期が長期化しているという問題もあります。この現象はアナログやパワーといったあらゆる分野で見えており、結果的に当社のビジネスが後ろ倒しになるリスクも考えられます。
このような要因を総合的に判断した結果、半導体の伸びについては今期も引き続きリスクがあると見ています。サイバーセキュリティ事業については、順調に推移すると見込んでいます。
以上を総合した結果、全体の見通しは据え置きとしています。
セグメント別:売上高

スライドは、前年同期の売上増減を示したものです。全体の売上高は39.7パーセントの伸びがあり、半導体事業とサイバーセキュリティ事業の伸び率はそれぞれ40パーセントと36パーセントで、いずれも非常に良い決算だったと言えます。
半導体事業(用途別):売上高

半導体事業の内容について、用途別にご説明します。スライド右側の表の増減率をご覧ください。
用途別の各用途はおおむね好調ですが、その中でも当社の主力である産業機器と車載が、それぞれ77パーセントと31パーセントと非常に高い伸びを示しています。この中には、日本国内の回復も含まれていることが特徴的だと考えます。
一方で、コンピュータの項目は前年同期比でマイナスとなっています。これは前年同期に大型受注が複数あり、非常に好調だったことによるものです。今期も強い数字ではありますが、前年と比較すると若干の減少となっています。なお、コンピュータの売上はデータセンター向けビジネスが大半を占めています。
この分野については、中期的には右肩上がりで力強い成長が続いているものの、お客さまや案件の数が産業機器や車載に比べて少ないことから、四半期ごとのボラティリティが大きいことが特徴です。
今期に関しては、前年同期の反動が影響した結果です。ただし、先行きについては、一定程度の力強い成長を期待しています。
半導体事業(品目別):売上高

半導体事業の品目別の売上高の前年同期比についてです。スライド右側の表の増減率にご注目ください。
メモリに関しては、弊社では注力分野ではないため金額こそ小さいものの、伸び率が高いという結果になっています。これには値上がりも含まれ、大きな伸びを示しています。
それに続くのが、弊社の主力商品であるアナログやマイコンで、順調に伸びていることが見て取れるかと思います。
先ほど、用途別でご覧いただいたコンピュータと同様に、PLD、その他がマイナスとなっていますが、前年同期にデータセンター向けの需要が強かったことが影響しており、昨年の反動で今期は減少しています。なお、その他には、サーバー等が含まれています。
サイバーセキュリティ事業(品目別):売上高

サイバーセキュリティ事業についてご説明します。従来どおり、ソフトウェアとハードウェアに分けて表示しています。
ソフトウェア、特にSaaSビジネスが全体の80パーセントを占めるまでになり、力強い成長を続けています。ハードウェアについても、海外を中心に特定ベンダーの商品には依然としてニーズがあり、成長が続いています。
サービスについては、ハードウェアに関連した保守業務が中心ですが、こちらも底堅い伸びを見せています。全体として、ソフトウェアを中心とした成長が続いている状況です。
セグメント別業績

スライドには、3セグメントの売上高と営業利益の進捗率などを掲載していますので、ご参考にしていただければと思います。
以上で、私からのご説明を終わります。
質疑応答:半導体事業の第1四半期における成長要因の内訳について

質問者:半導体事業につきまして、お話にもありましたように、第1四半期は非常に成長しており、特に車載と産業機器が伸びている状況です。第4四半期との比較でもかなり伸びていると考えます。
国内が海外に加わって増加に寄与している点について、実需の部分、さらには商流移管や為替の影響などもあるようでしたら、定性的でかまいませんので、分解してご説明いただけますでしょうか?
大河原:売上に対する為替の影響については、為替が160円台になったのが今期であるため、多少の影響はありますが、それほど大きくはないと言えるでしょう。
商流移管と実需の分解ですが、商流移管は第1四半期にも100億円単位の金額となっています。それでも、実需の要因が一番大きく、それに次いで商流移管、為替の影響は若干といったところかと思います。
質疑応答:PLDの伸び率について

質問者:PLDについて、昨年の第1四半期が多かったとのお話がありました。第4四半期の伸びにおいても、多少増えているものの、アナログと比べると鈍い印象を受けました。
Altera社固有の要因による影響があり、第2四半期以降も同様の影響が起こりうるのでしょうか? それとも、単純に昨年の第1四半期と比較して第1四半期が多かったため減少しており、特に環境にこれといった変化がないという理解でよろしいでしょうか?
大河原:アナログやマイコンに比べてPLDの伸びが若干劣って見える点について、品目別の中でアナログは商流移管の影響が最も大きいことが影響しています。その影響を差し引くと、アナログ、PLD、マイコン間で、それほど優劣はないと私たちは判断しています。
質疑応答:メモリ不足に関する現状のリスクと今後の懸念について

質問者:今後のリスクについて、業績予想の修正が特にされていない理由にも該当するかと思いますが、メモリ不足というお話がありました。
現在、第2四半期に差し掛かっていますが、この段階ですでにそうした影響が見えているのでしょうか? それとも、あくまで今後の懸念要因の1つという理解でよいのでしょうか?
大河原:なかなか判断が難しいところですが、どちらかと言えば、後者の懸念です。足元で影響が出ているかというと、そこまでは及んでいないと思います。あくまで先行きに関するリスク判断とご理解いただければと思います。
質疑応答:サイバーセキュリティ事業の進捗状況について

質問者:サイバーセキュリティ事業について、第1四半期が好調というお話がありました。通期に対して進捗率が高いように見受けられますが、いかがでしょうか?
現在の事業環境について、対策のニーズが非常に強いという点は理解しています。そのうえで、いわゆる円安などによる顧客側のコスト増や、以前にSaaSの導入が前倒しされた件についても認識していますが、事業環境やコスト要因により進行が遅れる可能性は考慮しなくてもよいのでしょうか?
大河原:為替やその他の要因が足を引っ張る、遅らせるという感覚はありません。
事業環境は好調です。また、円安についても、急激な円安はネガティブに働く場合がありますが、現状ではじわじわと影響がある程度で、懸念はありません。
この事業の環境に関しては、現時点で心配な要因はあまりないと判断しています。
質問者:第1四半期の実績自体が、通期計画の中でやや上振れ気味に進捗しているという理解でよろしいでしょうか?
大河原:おっしゃるとおりです。正直なところ、想定以上に良い結果だったと言えると思います。
質疑応答:半導体事業の商流移管と実需について

質問者:半導体事業の商流移管は100億円単位であるとお話しされていましたが、これは産業機器でしょうか? それとも、車載でしょうか?
大河原:車載と産業機器はほぼ同じくらいですが、若干車載のほうが多かったという印象です。国内海外でいうと海外の割合が大きいです。
質問者:海外で、車載と産業機器の商流移管がそれぞれ100億円単位であったというイメージでよろしいでしょうか?
大河原:車載と産業機器の両方を合わせて100億円単位です。
質問者:産業機器の実需については、どのような状況ですか?
大河原:実需は国内外ともに強い状況です。
質問者:在庫調整が終わったというよりは、実需が回復して来ているという理解でよろしいですか?
大河原:おそらく同じことだと思います。特に自動車については、OEMやTier1の業績動向などから判断すると、お客さまのビジネス自体が大きく伸びているというわけではなく、在庫調整が終わった影響が大きいと思います。
産業機器については、お客さまのビジネスが伸びているという感覚がより強いです。ただし、ここにも在庫調整が終わったという要素が加わり、両方の要因が掛け合わさっていると思います。
質問者:メモリの不足などがささやかれる中で、BCP在庫といった前倒し調達が入っている可能性はありますか?
大河原:調達というよりは、受注のほうに入っています。リードタイムが長くなってきているため、お客さまが受注を前倒ししている動きがあると感じています。
質問者:売上には影響してないが、受注には入っているということですね?
大河原:おっしゃるとおりです。
質疑応答:サイバーセキュリティ事業の成長要因について

質問者:サイバーセキュリティ事業について、昨年度は伸びが緩やかでしたが、今年度に入って大きく伸びています。
期によって数字が振れるという点については、前回の説明会でもご説明いただいたかと思いますが、円安に伴う値上げや複数年契約など、一時的な要因で伸びている部分はあるのでしょうか?
大河原:複数年契約や円安による一時的な伸びではありません。ただ、第1四半期は大型案件がかなり多かった印象です。
質問者:御社お得意の「CrowdStrike」などの案件でしょうか?
大河原:そちらも含めてです。
質疑応答:自動運転バスの受注状況と通期計画について

質問者:CPSソリューション事業について、自動運転バスの受注は振るわなかったというお話でした。計画あるいは目論見に対してかなり下回っているのか、それとも下期に取り返せるのでしょうか? 第1四半期で通期の赤字の半分近くを出しているため、どのようにお考えか教えてください。
大河原:スライドにあるように、計画では通期の営業利益をマイナス56億円としています。前年はマイナス79億円で、計画において回復を見込む最大の要因はバスの売上の回復です。そのため、今後は売上回復がどうなるかにかかっています。
正直、これまでの進捗状況では、当初目指していたものを100パーセントとすると、今後の見込みも含めて感覚的には80パーセントから90パーセント程度と感じています。
海外で自動運転車両を提供しているNavya Mobility社は、複数の海外顧客への販売パイプラインがありますが、今回のイラン情勢で中東ビジネスが完全に停止している状況です。このあたりが、パイプラインには多くあったため落ちています。
また、国内についてもまだ思ったほど動いておらず、十分に進展させられていないという認識です。そのため、先ほどお伝えしたように進捗は80パーセントから90パーセント程度という状況で、なんとか努力を重ねていきたいと考えています。
質疑応答:半導体受注の増加要因と納期の長期化について

司会者:「受注は大変強いですが、メモリなど供給懸念がある中、前倒しの受注が含まれているように見えますか?」というご質問です。
大河原:含まれていると考えています。全体の受注について、第1四半期の受注額は5,765億円と非常に強い数字となっています。前四半期の4,432億円から約1,300億円増加していますが、増加分のうち約3分の1は納期の長期化を意識した、先々の受注が増えた分ではないかと見ています。
質疑応答:営業利益率の上昇要因と今後の見通しについて

司会者:「営業利益が第1四半期で4.2パーセントですが、上昇の要因、今後の見通しを教えてください」というご質問です。
大河原:営業利益率の上昇、あるいは回復に一番寄与したのは、やはり半導体事業です。半導体事業の営業利益率は4.1パーセントで、昨年は3パーセント前後だったものが回復してきました。
これは今回の決算の中でも最もアピールできるポイントであり、良かった点ではないかと思います。かつて2年前、3年前、4年前のコロナショック後、業績がピークだった頃には、半導体事業の営業利益率が6パーセント程度ありました。
しかし、その後のビジネスの低迷や、当社のインフラ的なビジネスコストの増加などにより、3パーセント程度まで低下していました。中長期的には営業利益率を5パーセント程度まで戻せると確信を持っていますが、今回4パーセントまで回復したのは非常に良い結果だと思います。
今回の決算内容で一番の要因は、売上が前期比で40パーセント増加し、規模の経済が作用したことだと考えています。特に、国内を中心に先行的に投資を行い、人材を採用するなどの取り組みにより、売上増加に伴って同じコストで業務を回せるようになり、利益の回復につながったという点が大きな要因です。
国内の回復ももう1つの要因として挙げられます。国内は、海外に比べて利益率が高いと以前からお伝えしているとおりです。この部分も一定の寄与はあったと思いますが、本格的な寄与はこれからだと考えています。
したがって、国内が回復してくるにつれて、5パーセントという目標が再び視野に入ると見込んでいます。
質疑応答:半導体事業の国内回復要因について

司会者:「半導体事業について、国内市場が回復していることを、今回の売上高増加の要因として挙げていらっしゃると思いますが、具体的な回復要因として何があるのか教えてください」というご質問です。
大河原:国内の回復については、実需の増加と在庫調整の終了が大きな要因であると考えています。車載関連については、ほぼ在庫調整が完了したと言えます。
産業機器についても需要が回復していると言えます。産業機器のセグメントは非常に分散しており、特に強い部分があるわけではありませんが、半導体のサプライチェーン関連の伸びが非常に大きいと考えています。
他のセグメントもしっかりと伸びていますが、特に半導体製造関連については、我が国に部品関連などを含めた幅広いサプライチェーンが存在しているため、その点が際立って強いと言えると思います。
質疑応答:海外のシェア拡大地域や用途について

司会者:「海外でのシェア拡大や需要の増加は、どの地域やどのような用途でのシェアや需要が伸びているのでしょうか?」というご質問です。
大河原:対象となる国や地域は台湾、香港、中国など非常に幅広く、特定の半導体サプライヤーから商流移管によってシェアを拡大しています。
中心となるのは台湾および中国本土ですが、幅広い国々で産業機器や車載用途など多岐にわたる分野で増加しているとご理解いただければと思います。特に台湾は、日本と同様に半導体のサプライチェーン関連のビジネスが非常に大きく、その成長が特に目立っていると考えています。
質疑応答:AI・データセンター関連案件の拡大について

司会者:「受注の伸び率を用途別で見ると、売上と同様に、産業機器や車載が牽引しているのでしょうか?」とのご質問です。
大河原:AIやデータセンター関連の案件も大きくなっているため、それだけに限らないと考えています。
むしろAIやデータセンター関連のビジネスは、規模が現在かなり拡大しています。約3分の1が納期の長期化によるものであるとお伝えしましたが、AI関連も3分の1程度あるのではないかと見ているため、産業機器や車載に限らずということが正しい答えだと思います。
