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東京建物、期初想定を上回る進捗を受け通期業績予想を上方修正 現中計の主要な定量目標を1年前倒しで達成見込み

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2026年8月10日に発表された、東京建物株式会社2026年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。


2026年12月期第2四半期決算説明

小澤克人氏(以下、小澤):代表取締役社長執行役員の小澤です。当社の第2四半期決算説明会は、例年8月の非常に暑い時期に実施しています。このような時期にご出席いただき、誠にありがとうございます。

直近の不動産マーケットについては、建築費の高騰や金利の上昇、中東情勢などの地政学的リスクが顕在化しており、不動産セクター全体の株価は依然として勢いを欠く状況が続いています。

一方で、不動産取引市場そのものは引き続き堅調に推移していると認識しています。オフィス賃貸や施設運営をはじめ、分譲マンションや投資家向け物件の売却といった不動産売買マーケットにおいても、どの分野においても非常に堅調な状況が続いています。

こうした背景の中で、当社が想定していた計画を上回る業績が第2四半期においても見られるようになりました。この結果を受け、通期業績予想も上方修正することとしました。

本日は、第2四半期の決算概要や当社の取り組みについて抜粋してご説明するとともに、環境面などに関する認識についてもお話ししたいと考えています。よろしくお願いします。

決算サマリー

決算のサマリーについてです。

第2四半期の営業収益は、前期に分譲マンションの売上を大きく計上した反動で減少しました。一方で、ビル賃貸や施設運営の着実な伸長、さらに投資家向け物件売却の順調な進捗により、営業利益、事業利益、親会社株主に帰属する中間純利益はいずれも前年同期比で10パーセント以上の増益となりました。

今回の第2四半期決算に際し、足元の進捗状況と通期見通しを精査しました。その結果、ビル事業、住宅事業、投資家向け物件売却の順調な進捗を反映するとともに、海外における持分法投資損益の一部見直しや全社費用の変動要因などを織り込み、通期業績予想を上方修正することとしました。

営業利益、事業利益、経常利益は過去最高を更新する見込みとなり、当期純利益は期初想定の630億円から650億円へ上方修正し、前期比で10パーセントを超える増加が見込まれています。

また、業績予想の上方修正を踏まえ、今期の年間配当金予想についても、期初公表時の122円から4円増配となる126円に修正しました。

決算サマリー

当四半期の主なトピックスについて、3点お伝えします。

1点目は、スライド左側に示された北青山三丁目プロジェクトです。八重洲を中心に、東京駅東側のYNKエリアにおいて「TOFROM YAESU」をはじめとする複数の再開発プロジェクトに取り組んでいます。

また、港区や渋谷区などのエリアでも複数の再開発案件を推進しており、北青山三丁目プロジェクトは本年6月に着工しました。

約1ヘクタールにおよぶ広大な樹林帯を整備するなど、青山地域屈指の大規模再開発として「TOFROM YAESU」に続く成長ドライバーの1つと位置づけ、将来の賃貸収益の拡大や企業価値の向上につながると考えています。

2点目は、スライド右下に記載した内容です。5月に実施したスター・マイカ・ホールディングス株式会社との資本業務提携についてです。

ご存じのとおり、スター・マイカ・ホールディングス株式会社は中古マンションの仕入れ、再生、販売を展開している中古マンション市場のリーディングカンパニーです。中古マンション市場は今後も成長が期待されており、当社として非常に注目している事業領域です。

今回の提携により、当社の「Brillia」ブランドを軸とした開発・商品企画力と、スター・マイカグループが持つ中古マンション再生ノウハウを融合させることで、高価格帯の中古区分マンションにおける共同投資や、一棟リノベーション事業における共同投資など、新たな収益機会の獲得と創出を目指しています。

3点目は、5月には、JCRによる長期発行体の格付けが「A」から「A+」へと格上げされました。大型投資を継続しながら成長を進める中で、格上げが実現できたことは、成長戦略と財務戦略の両立が評価された結果と受け止めています。

金利上昇への関心が高まる環境下においても、引き続き規律ある財務戦略を維持しながら、成長投資と財務健全性の両立を図っていきます。

2026年12月期第2四半期 損益計算書

第2四半期の業績についてお話しします。まず、損益計算書についてです。営業収益は1,944億円で、前年同期比143億円の減収となりました。営業利益は398億円で、前年同期比58億円の増益です。スライド下段の事業利益は413億円で、前年同期比68億円の増益となっています。

営業利益および事業利益の修正通期予想に対する進捗率は4割弱ですが、分譲マンションや投資家向け物件売却は第3四半期以降に多く計上を予定しており、足元の契約進捗や売却内定状況から通期に向けて順調に進捗しています。

その結果、経常利益は314億円で前年同期比34億円の増益、親会社株主に帰属する中間純利益は233億円で前年同期比28億円の増益となりました。

2026年12月期第2四半期 貸借対照表

貸借対照表(バランスシート)です。総資産は2兆4,761億円で、「TOFROM YAESU」の竣工等を主因として前期末比2,034億円増加しました。有利子負債は1兆5,366億円と前期末比1,911億円増加し、純資産合計は6,190億円で前期末比158億円増加しました。自己資本比率は24.5パーセント、DEレシオは2.5倍、ネットDEレシオは2.4倍です。

販売用不動産の残高

スライドは、販売用不動産の状況です。販売用不動産の残高は、投資家向け物件の取得が進んだ結果、前期末比1,085億円増加し、7,206億円となりました。

投資家向け売却用物件のストックは、総投資額ベースで約8,800億円に達し、そこから想定される売却益は約1,520億円となっています。

物流、ホテル、商業施設、賃貸マンション、アセットソリューションといった多様なアセットタイプの物件取得が進んでおり、将来の売却益創出に向けたストックを着実に積み上げています。

分譲マンションについては、都心部を中心とした案件でランドバンクを順調に拡大し、約7,600戸分を確保しています。

2026年12月期第2四半期 投資進捗

投資進捗についてご説明します。当第2四半期累計におけるキャッシュアウトベースでの投資額は3,232億円で、当年度計画に対する進捗率は55.7パーセントとなり、おおむね計画どおりに投資が進んでいます。

下期も引き続き厳選投資を進めるとともに、好調に推移する資産回転型事業での回収、具体的には契約進捗率90パーセントの分譲マンションや、内定ベースで約70パーセントまで進捗している投資家向け物件売却などを通じて、資金回収も着実に進めていきます。

2026年12月期 通期業績予想の修正

2026年度通期業績予想の修正についてご説明します。オフィス賃貸、分譲マンション、投資家向け物件売却等の事業環境は総じて堅調です。それぞれの事業において期初想定を上回る進捗ペースを受け、通期業績予想を上方修正しました。

修正後の通期業績予想は、期首公表時と比較して営業収益が5,240億円で据え置き、営業利益は1,055億円と55億円の増加、事業利益は1,050億円と30億円の増加、経常利益は835億円と30億円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は650億円と20億円の増加を見込んでいます。

この結果、営業利益、事業利益、経常利益は過去最高を更新する予定です。セグメント別の内訳についてもご説明します。

事業利益のセグメント別内訳

2026年度は「TOFROM YAESU」の竣工に伴う一時的な費用の発生などにより、ビル賃貸利益が減少する分を、投資家向け物件売却で補う計画です。

現在の売買マーケットは引き続き堅調であり、第2四半期時点での売却実績では、想定以上の価格での売却が進んでいます。そこで、今期売却予定案件の構成について見直しを図り、投資家向け物件売却による売却益を690億円から705億円へ、15億円の上方修正を行いました。

また、投資家向け物件売却は、通期修正予想の705億円に対して内定ベースで約70パーセントまで順調に進捗しています。

ビル事業についてです。ビル事業の賃貸利益は、ビル賃貸・施設運営収益の着実な伸長、費用負担の軽減等を反映し、230億円から270億円へと40億円の上方修正を行いました。

住宅事業についてです。分譲マンションにおいては、今期計上予定物件で建築予備費を含む原価や経費の抑制が見込まれたことから、事業利益を185億円から195億円へと10億円の上方修正を行いました。

分譲マンションの契約進捗も順調に推移しており、計上予定戸数に対する進捗率は90パーセントに到達しています。

海外事業についても触れます。海外では、米国と豪州を中心に事業拡大のフェーズにあり、足元では投資額が回収額を上回っているため、利益面では先行投資負担が発生しています。

今回、持分法投資損益の見直しを行っていますが、これは年末に売却を予定していた一部の案件について、案件価値の最大化を図る観点から、利益回収時期を若干見直したことなどによるものです。

以上で、各セグメントのご説明は終了です。

株主還元

株主還元についてご説明します。当期の業績予想を上方修正したことに伴い、年間配当予想を期首公表時から4円増やし、1株当たり126円に修正しました。これにより、前期配当実績の1株当たり105円に対して21円の増配となり、配当性向は40.2パーセントとなる予定です。

中期経営計画(2025-2027年度)の進捗および今後の方針について

スライドでは、現中期経営計画で掲げる主要な定量目標や基本方針について、現在の進捗状況を整理しています。主要な定量目標については、スライド上段に記載されているとおり、1年前倒しで超過達成する見通しです。

中期経営計画(2025-2027年度)の進捗および今後の方針について

スライドでは、2027年2月に公表を予定している次期経営計画に向けた検討の方向性を示しています。

インフレや金利上昇など、事業環境の大きな変化を踏まえつつ、ROEの向上とEPS成長の両立を主要なテーマとしています。現在、資産ポートフォリオの見直しや事業ポートフォリオの最適化を目指したリソース配分に関する議論を進めている段階です。

ご説明は以上です。冒頭でも触れましたが、金利上昇や地政学リスクを背景に、株式市場や不動産セクター全体に先行きに対する慎重な見方があるようです。

しかし、オフィス賃貸、施設運営、分譲マンション、投資家向け物件売却のいずれも、概ね想定どおり、または想定以上に順調に推移しているとご理解いただけたのではないかと思います。

質疑応答:ROE・EPS向上の戦略について

質問者:スライド19ページの今後の考え方についてです。数字については来年2月に発表予定とのことですが、現状でROEやEPSは目標に向けて取り組まれているものの、さらに上げるためにはどのような要因を推進力として考えているのか教えてください。

資料にあるとおり、大型物件が今後竣工する予定で、これには期待していますが、一方でB/Sも活用するため、ROEをどのように大幅に向上させるのかが不明瞭です。

そのような中、収益不動産の回転率の向上やスピードアップも重要と思われますが、他社、特にROE改善で先行しているヒューリック株式会社では、建て替えや既存物件の回転が収益性の面で難しくなりつつある中で、残高を維持しつつM&A戦略を拡大しているとのことです。

利益を伸ばすことは可能だと思われますが、収益性およびROEを向上させるには難しい局面を迎えている印象があります。その状況で、どのように進めていくのかを教えていただけないでしょうか?

小澤:ご質問の内容は、現在議論している最大のポイントとなっています。現在進行中の中期経営計画の延長線上においても、かなりの伸びしろを持つベースがあることは確かです。

大型の再開発案件について、現在呉服橋では工事が順調に進捗しており、北青山三丁目プロジェクトも着工しました。それぞれが想定していた賃料水準を大幅に上回る水準でリーシング活動を進められる見込みです。

特に呉服橋については、「TOFROM YAESU」と比較しても非常に力強い動きを示しています。当社が展開する再開発プロジェクトのロケーションは、非常に優れた立地条件を有していることが特徴です。

日本のオフィス市場や賃貸市場において賃料収益の成長をしっかりと確保できると考えています。想定以上の伸びが期待できる状況です。

資産回転について、こちらも今回の説明会での重要なポイントの1つです。この事業領域では、投資家向け物件売却の投資や分譲マンションでの投資が非常に順調に進んでいます。

特に現在進行中の中期経営計画では、大規模再開発が複数予定されていることを想定していたため、資産回転をいかに順調に進め、しっかりと利益を確保できるかが重要なポイントとなっています。

ソーシングや投資において、人的リソースを含めたリソースを相当程度配分していることが功を奏していると考えています。これは量的な面だけでなく、質的な面でも非常に順調に進んでいるため、今後の伸長も十分に見込めます。

一方で、金利上昇に伴う支払利息の増加があり、これをいかに相殺しながらどれだけ成長を実現できるかが、まずは基盤として求められる状況にあります。

その上で、長期金利の上昇が想定以上に早いペースで進んでいることから、今後はバランスシートの活用だけでなく、第三者資金をいかに利用して展開を進めていくかについても、さらに取り組みを強化したいと考えています。

こうした対応策を進める中で、ROEの向上とEPSの成長を両立させることを目指し、現在議論を進めています。

質問者:第三者資金の活用についてお話が出ましたが、御社が進めている大規模再開発でも取り組まれるという理解でよろしいでしょうか?

小澤:従前から資料にも記載していますが、大規模再開発だから一切行わない、第三者資金を活用しないという考えはありません。それも視野に入れています。

ただし、ポイントはご案内のとおり、収益が成長するような仕組みをしっかりと懐に抱えながら、それ以外のアセットの組み合わせをどのように展開していくかという点です。

また、将来のことを考えると、現在進行中の物件に留まらず、新たな収益成長を見込めるような案件にもチャレンジしていきたいと考えています。そのような観点からも、ぜひ第三者資金を活用していきたいと思います。

質疑応答:海外事業の今後の展望について

質問者:今回、海外の下方修正がありましたが、中長期的に利益やROEを上げていけるのでしょうか?

御社は従来のアジアマンション戦略に加え、米国や豪州などでの事業展開を進めています。特に米国ではマルチファミリー事業をかなり積み上げ、2028年から2029年頃には収穫期を迎えるとうかがっています。この点についても期待できるのでしょうか?

先週金曜日には、御社が米国でジョイントベンチャーを複数組んでいる住友林業株式会社の決算を拝見しましたが、米国のマルチファミリー事業で大きな評価損を出していました。

先行して展開している住友林業株式会社が米国のマルチファミリーに関する子会社を持ちながらも難航している状況の中で、御社もさらに突っ込んでこれを伸ばしていく方針なのでしょうか? それとも、海外戦略について何らか抜本的な変更を考える余地があるのでしょうか?

小澤:他社の状況を正確に把握できているわけではありませんが、海外、特に先進国において少し遅れて参入したことが、タイミング的に功を奏した部分があります。

特に米国では、2023年以降の投資となり、現時点では非常に順調に推移しています。リーシングに関しては、想定以上に早いペースで進んでいるものもあれば、想定より若干遅れているものもあります。

ただし、もともと海外展開については米国を中心に、2028年以降の利益貢献を念頭に置いていました。そのため、そこに向けて最適化を図るための取り組みを進めている状況です。

我々の認識として、海外にはさまざまなリスクがあるものの、むやみに拡大するのではなく、足元で着実に海外展開を進めています。そのため、まだかなりの伸びしろがあると見ています。

この点については、次期経営計画でどのように織り込むかがポイントになると考えています。総じて、海外事業に関して特に懸念点はないと見ており、多少の変動はあるものの、全体的には堅調に推移する見込みです。

質疑応答:中期経営計画と長期計画における考え方について

質問者:中期経営計画の詳細は来年2月、つまり半年先の発表になると聞いています。その詳細に関して、スライド19ページを見ながら考えた際、そもそも何年を基準に出すのが適切なのかという点が気になりました。

外部の視点から見ると、3年間か、6年間を3年で区切るようなかたちが適切と考えられます。しかし、もし4年間単位で出される場合、スケジュール面で見えている課題があります。

ビルが完成した年には、どうしても「TOFROM YAESU」のように初期負担が発生します。この点は呉服橋のケースにも当てはまるため、その影響が引っかからないようなかたちで進める必要があると考えています。

そして、呉服橋の寄与が2030年になるという前提に基づいた計画が示されるともっと理解しやすいと感じます。3年間のスパンだと、ある程度さまざまな事柄が見えてくるので、その期間が適切ではないかと考えています。その点について、貴社の方針を教えてください。

計画の中でROEの向上や利益の増加など、さまざまな課題が挙げられると思います。ただし、6年間を基準とした場合、そうした要素が明確に見えてこない点があります。現時点ではまだ議論中かと思いますが、大まかな概略を教えていただきたいと思います。

さらに、3年間などで区切る場合には、ビル賃貸や投資家向け分譲のスケジュール感について、資料で示していただいており、わかりやすいと感じています。

小澤:中期経営計画の期間は現在議論中のため、どこまでお話しできるかという状況です。ただし、基本的な考え方として、スライド19ページにもあるとおり、2030年を長期計画の1つのゴールとして示しており、今年の見込みではそれにかなり近づいている状況です。

まず、この長期計画で示していた2030年がどのようなものになるのか、しっかりとご説明する必要があると考えています。それから、大規模再開発の影響についても同じく重要です。ご指摘のあった呉服橋や北青山、さらに現在準備中の京橋3丁目といったプロジェクトが、この前後に完成をむかえる状況にあります。

やはり、この影響やインパクトがどのようなものになるのかという点については、投資家のみなさまの関心が高いところだと思います。これらについてしっかりとご説明できるような計画を示していきたいと考えています。

その上で、その先について、正直なところさまざまな要素があり、現時点での見通しを立てるのは非常に難しい状況です。ただ、我々としてどのようなシナリオを考えているのか、また、それをどのような期間や時間軸で提示するのかについて、現在議論を進めています。本日段階では詳細をご容赦いただければと思います。

質疑応答:マンション事業の展望について

質問者:スライド35ページにもお示しいただいているとおり、分譲マンションについて、現時点で2028年の「Brillia Tower 乃木坂」ぐらいまで売れ行きが好調であるとのことです。ただし、2029年や2030年の案件について見ると、ランドバンクのストックが約7,600戸あり、約7年分の供給が見込まれる状況です。

業績予想を行う上で、御社の場合、フラッグシップとなる案件がある年とない年で業績に差が出やすいと思われますが、それを踏まえて今後も同様の方向性で進められるのでしょうか? また、現在の仕込み状況やマンションの販売計画についても教えていただければと思います。

加えて、他社の状況を参考にすると、乃木坂については報道で坪単価が2,300万円ほどで販売されていたとのことですが、麻布十番など他社案件では坪単価が2,000万円を下回るケースも見受けられます。そのような目玉案件が2029年にも継続的に予定されているのでしょうか?

外部からはその点について確信を持つのが難しい部分もありますので、考え方についてご教示いただければと思います。

小澤:住宅について、フラッグシップの案件がどの年度に出るかでだいぶ左右されるという点はご指摘のとおりです。まず、全般的な状況として感じている点をお伝えします。

確かに、以前のようにどのエリアでもどの物件でも価格がどんどん上昇するようなマーケットではなくなり、落ち着きを取り戻してきていると感じています。これは、中古マーケットの推移にも影響されていると考えています。

一方で、ご存じのとおり、ロケーションが非常に優れた人気案件については、富裕層の拡大も影響して引き続き好調に推移しています。

また、郊外物件が一部で低調だとの話もありますが、当社ではそれほど数が多くないものの、例えば千葉などで展開している物件で、しっかりと実需を取り込んでいる案件については、堅調に推移していることが見て取れます。

地方についても同様です。例えば、長野も非常に好調に推移しています。そのため、マーケット全体が悪化しているわけではなく、一時期のような闇雲な価格上昇が落ち着き、通常の堅調なマーケットへと変化してきていると感じています。

今後の展開について、やはり都心でロケーションがよく、需要が強い物件は引き続き大きな期待ができるため、用地の取得や投資の重点をそちらに置きながら投資を進めています。

2028年までについてのお話がありましたが、2029年以降についても、当社にとって非常に期待できる投資の進捗が順調に進められています。これは量だけでなく、質の観点からも非常に高い期待値を伴う案件を獲得できていると認識しています。

このように、現在の成長率をしっかりと維持しながら、これからも力を尽くしていきたいと考えています。

質疑応答:建設コストの対応について

質問者:北青山や京橋のプロジェクトにおいて、タイムスケジュールが見えてきて、御社の中で採算性がある程度確保できる見通しが立っているのではないかと考えています。建設会社との交渉や契約において、コストに対してインフレ条項のようなものを盛り込んでいるのでしょうか?

一定程度バッファを見込んでいるため、これから建設コストが上昇しても対処可能ということなのでしょうか? それとも、すでにコストが固定されており、今後多少の建設コストの上昇があったとしても、御社のプロジェクトの採算にはほとんど影響しないというお話なのでしょうか?

個別のプロジェクトについての詳細は難しいかもしれませんが、交渉の方針について教えてください。そのような大型物件の建設コストについて、すでに発注済みのものがどのようになるのか教えていただければと思います。

小澤:一部、比較的小規模の物件については完全に固定しているものがあり、追加的に発生したコストについてはお支払いするかたちの契約もあります。

全般的には、物価上昇に応じて、その根拠が明確に提示されたものについて対応していくことが基本的なスタンスです。建設会社とのやり取りの中で、現在はこのような方向性に大筋で落ち着いている状況かと思います。

質問者:建設コストについて、合理的に見積もれるものであれば御社も対応していくとのお話でした。プロジェクトを最初に進める段階で、一定程度のバッファを設けて計画を組まれていると思いますが、その幅はどのくらいでしょうか? また、これくらいであれば大丈夫といった安心材料を、なにか我々に提供いただけますでしょうか?

小澤:過度に見積もることは避けていますが、基本的には建設コストの透明化を図っています。具体的には、物価上昇との一定の連動性、1つ1つの資材の動向、労務費の状況などを見ています。

それらを踏まえ、合理的に見積もれる水準感を設定しつつ、プラスアルファを予備費として見込んでいます。従前よりも予備費やバッファについては、しっかりと厚めに見立てることを意識しており、そのようなかたちでプロジェクションを組んでいます。

質疑応答:資産ポートフォリオの戦略について

質問者:中期経営計画に関連して、事業ポートフォリオについてご説明いただきましたが、資産ポートフォリオについてもお聞かせください。

これから「TOFROM TAYESU」を含む大型再開発が竣工し、含み益が増大する中で、どのような物件を売却し、どのような資産を保有継続する方針なのでしょうか?

これまでは比較的オフィスに偏重していたため、ホテルや物流施設など、他のアセットクラスを長期保有する方向で検討するお話もあったかと思います。含み益との関係も含め、資産ポートフォリオについてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか?

確定していないとは思いますが、お考えを教えていただければと思います。

小澤:こちらは、まさに最初のご質問にも関連しています。資産ポートフォリオにおいては、ROEやEPSを伸ばしていく観点から、含み益をどう活用するかが重要なポイントとなります。

しかし、ただ単に含み益を顕在化するために資産を売却するといった闇雲な対応ではなく、いかにうまく活用するかが鍵となります。

その際には、アセットのタイプ、築年数、今後のキャッシュアウトの状況、賃料や収益の成長の伸び、さらに投資家のニーズなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。また、そのような物件を活用しつつ第三者資金を利用するなど、多様な方法が考えられます。

こうした点を踏まえ、どのように取り組むかが重要なポイントであることについて、ご質問の趣旨はごもっともだと考えています。

総じて、現在のインフレ基調は非常に力強く持続性のあるものだと認識しており、数年で腰折れすることはないと見ています。そのため、今後の経済成長もしっかりと伸びていくと見込んでいます。

不動産市場については、人口減少の影響もあり選別化が進むと考えていますが、エリアによって成長する地域と弱含む地域を明確に切り分けながら展開することで、成長の果実を獲得できると考えています。

こうしたコンセプトや視点をもとに、いかに含み益を活用するかを検討していきたいと考えています。簡単な回答で恐縮ですが、そのような方針で取り組んでいきたいと思います。

質疑応答:売買市場のキャッシュフロー伸長の評価について

質問者:大変高評価を得て高く売れたとおっしゃっていたかと思いますが、これがかなり特殊な事例なのか、それともキャッシュフローの見立てが非常に大きく伸びるということでしょうか?

希少性が非常に高いということで、売買市場全般に波及させて考えてもよいのでしょうか? それとも特殊なものなのか、その点についてコメントをお願いします。

小澤:売買マーケットについて、投資家のみなさまは、現在キャッシュフローがどのように伸びるかという点で投資先を選別していると考えています。この観点は、当社の案件に限ったことではなく、市場全体として同様の傾向があります。

キャッシュフローが大きく伸びる案件には非常に積極的に投資が行われる一方、キャッシュフローが緩慢な案件についてはそれほど伸びない状況です。総じて、このような状況にあると認識しています。特殊なものというわけではなく、現在のマーケットをしっかりと反映した結果だと思います。

もちろん、キャッシュフローの伸びはアセットタイプによりますが、結局は案件のロケーションやその他の要因にも大きく左右されるため、投資家のニーズにぴったり合うロケーションで事業を展開できている証左だと感じています。

質疑応答:スター・マイカ・ホールディングス株式会社との提携について

質問者:スター・マイカ・ホールディングス株式会社との提携についてです。中古の再販に関して、他の会社さんでも新たに取り組もうとしているところがありますが、今回の投資や利益貢献のイメージ、粗利などについて、少し細かい話になりますが教えていただけますでしょうか?

小澤:現在、どのように具体化し、どのようなかたちで展開できるかについて、スター・マイカ・ホールディングス株式会社と一緒に議論を重ねています。細かい部分には触れられませんが、少し小沼よりコメントします。

小沼裕氏:常務執行役員の小沼です。先ほど小澤が申し上げたとおり、スター・マイカ・ホールディングス株式会社との資本業務提携を受けて、どのような取り組みが可能かについて、チームを組んで話し合いを進めているところです。

私たちの大きな狙いは、スター・マイカ・ホールディングス株式会社がこれまであまり手がけてこなかった1億円以上の、いわゆる高価格帯マンションへの取り組みです。これにおいて、私たちの「Brillia」で得たさまざまなノウハウを活かせるのではないかと考えています。

また、このほかにも、いわゆる1棟リノベーションや、1棟全体を購入しリノベーションして再販するプロジェクトなど、双方で協力して実施できるのではないかと話し合いを進めているところです。

具体的な投資額等については、まだこれから検討する段階であり、私たちも特に予算を設定しているわけではありません。粗利益率については、スター・マイカ・ホールディングス株式会社が決算説明資料で開示しているような利益率を当然期待しています。

また、より高額帯のマンションを手がけることになるため、今後はさらに高い利益率も期待できるのではないかと考えています。

質疑応答:海外投資の借入金について

質問者:海外投資について、特に米国への投資の借入金はドルベースで調達されているのでしょうか? また、2028年以降エグジットを想定されていると思いますが、この時の10年トレジャリーなどリスクフリーレートの前提について教えてください。

小澤:現状としては、先ほど米国について2023年以降とお伝えしましたが、まだ現地でのドルベースでの調達には至っていません。基本的には、円で資金を調達した上で海外に送金するかたちで展開しています。

事業が成熟し、規模が拡大していくと、現地での調達も当然選択肢に入ってくると思いますが、現時点では円ベースでの調達を行い、それを送金している状況です。

一方、2028年以降のトレジャリーのリスクフリーレートの水準感について、長期的には、現在の水準から金利が少し下がっていくのではないかと考えています。ただ、そのタイミングに関しては、今後金利が少し上昇する動きが見られるため、もう少し時間がかかるのではないかと見ています。

2028年以降の貢献に関して、売却活動自体は来年後半からが1つの目安になるかと思います。そのタイミングで金利が少し落ち着き、やや下がるような状況になれば、想定以上に利益を上積みできる可能性があると考えています。

現時点でのプロジェクションとしては、だいたい今の水準を基に売却時のエグジットのキャップを想定しているとご理解いただければと思います。

質疑応答:第三者資金の活用について

質問者:今後の開発案件において、他社も第三者資金を活用すると表明していますが、第三者資金の獲得競争が激化する可能性はないのでしょうか? また、第三者とは具体的にどのような属性の企業を想定されているのか教えてください。

小澤:第三者資金の競争激化について、みなさまも同じようなことを考えておられると思います。これまで当社も、公募REIT、私募REIT、私募ファンドといった分野で、それほど大規模な展開はしていないものの、さまざまなかたちで取り組んできました。

こうした取り組みの延長線上でさらに事業を広げていくことはもちろん、海外の資金や、国内のさまざまな業界・業種の資金が不動産市場に流入していることを当社もしっかり把握しています。

この点をいかに広げていくかについて、現在いろいろと探索している段階であることをお伝えしたいと思います。また、闇雲に進めるのではなく、これまでの経験を活かし、さまざまなネットワークを利用しながら展開を進めていきます。

質疑応答:現在の株価水準と自社株買いの考え方について

質問者:現在の株価水準について、どのようにお感じでしょうか? 業界全体が厳しい状況にある中で、御社でもNAVのディスカウントが深い状況となっています。収益面でのPERや配当利回りなども過去と比較して割安感のある水準になっていますが、どのようにご認識されていますか?

また、投資対象として非常に割安で魅力的だと思います。引き続き、自社株買いを実施するお考えがあるのでしょうか? それとも、利益成長投資を重視される方針なのでしょうか? そのあたりのご見解をお聞かせください。

小澤:株価水準についてはご指摘のとおり、現在のコンディションを考えると、まだ十分ご評価いただいていないと非常に強く感じています。金利の上昇スピードが非常に速かったこともあり、この点への懸念が支配的なのではないかと感じます。メディアなどを通じても、そのようなコメントが多く見られます。

「金利の上昇をしっかりと織り込んだ上で、こういった成長シナリオを描いています。なぜならば、こういったことを考えているからです」と、しっかりとご説明する必要があると考えています。次の経営計画では、この部分を丁寧にご説明し、投資家のみなさまに理解・安心感を持っていただけるよう努めたいと思います。

また、今回の決算では、少しではありますが上方修正を行い、配当を引き上げました。配当性向の水準は期初の見込みから変えずに増配を選択したということは、当社が現在の状況に自信を持っているという証左として、市場のみなさまにもご理解いただければと考えています。

自社株買いについてのスタンスは従来からまったく変わっていませんが、特に利益成長を図るうえで、良質な案件への投資が非常に重要であると考えています。我々としては、投資の部分でかなり適切に対応できていると感じており、今後もこのような分野に資金を振り向けていきたいと思います。

また、従来どおり、実額としての配当をしっかりと伸ばし、積み増していくことにも取り組みたいと考えています。なお、自社株買いを排除するわけではありませんが、基本的なスタンスは従来どおり維持しつつ進めていく方針です。

質問者:かつての金利がほぼないような状態で、建築コストも非常に安かったデフレ時代と、現在のように金利も建築コストも適正に支払わなければならず、賃料もある程度取れるインフレ時代では、不動産業界としてどちらが利益を出しやすい状況なのでしょうか?

業界全体の状況も考慮すると、御社においては、どちらの状況のほうが運営や利益を出しやすいとお考えでしょうか? 感覚的なお話でもかまいませんし、もし具体的な数字でお話しいただければ、私たちの自信にもつながるかと思いますが、どのようにお感じでしょうか?

小澤:不動産の特性として、インフレ耐性を持つ資産であるということが本来的な特性としてあります。賃料の上昇にはタイムラグがあるにもかかわらず、金利は上がり始めると非常に早い速度で先行する傾向があります。これは、昔から先輩方にもよく言われていたことです。

こうした状況がまさに顕在化している現状を踏まえると、今後も継続的な収益成長は期待できると考えています。従来あまり経験していない分野でのチャレンジではありますが、私たちにとって必ずしも悪い環境ではありません。この環境をプラスに捉えて事業を進めていきたいと思います。

ただし、金利上昇の要因が、よく言われる財政の拡張等とは異なる理由による場合、そのインパクトは大きくなる可能性がありますので、注意が必要です。しかし、現在の経済循環の流れを考慮すると、私たちにとってはポジティブに捉えて進めていけるのではないかと感じています。

質疑応答:投資環境における金利・建築コスト上昇の影響と成長分野への選別について

質問者:最近、投資が進んでいる分野において、金利や建築コストが業界全体で上昇しているため、体力の弱い企業が投資しにくくなり、逆に貴社のようにしっかりと経営を行い体力のある企業が優位性を持ち、投資を有利に進められる状況が顕在化しているということはありますか? それとも、それほどではないでしょうか?

小澤:再開発案件については、収益成長や賃料、不動産の成長が期待できるエリアとそうでないエリアにおいて、案件がストップしたり、大きく遅延したりするケースがあります。この点についてはご存知のとおりかと思いますが、我々自身もすべてが順調に進んでいるとはいえません。

エリアごとの特性や選別の中で、成長する部分と停滞する部分が分かれていくと考えています。これは大規模再開発だけでなく、多様なアセットタイプに共通しており、分譲マンションでも同様の傾向が見られます。

いかにロケーションや将来的な成長が期待できるエリアを選別して投資できるかが重要です。この点については過去から変わらず、まさにその1点に尽きると思っています。

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