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巴川コーポ Research Memo(2):事業ポートフォリオの転換が進捗し、新たな成長ステージへ

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■会社概要

1. 会社沿革並びに事業概要
巴川コーポレーション<3878>は、初代社長の井上源三郎(いのうえげんざぶろう)氏が電気絶縁紙の国産化の志を抱き1900年初頭より研究開発に着手、1914年6月に巴川製紙所を創業したことに始まる。1917年に会社設立、1955年には創業精神の「誠実」「社会貢献」「開拓者精神」を行動規範とし、新技術を多数開発して発展してきた。2024年1月に巴川コーポレーションへ商号変更し、既存事業領域を規定する「製紙」を社名から外し事業ポートフォリオ転換の意思を明確にした。新区分による2026年3月期の売上高構成比は、機能性シート事業34.6%、トナー事業32.4%、半導体・ディスプレイ関連事業20.2%、セキュリティメディア事業11.9%、新規開発事業0.2%、その他0.7%となっている。前期にトナー事業(36.1%)が最大セグメントであったのに対し、当期は機能性不織布の伸長で機能性シート事業が最大セグメントとなり、収益源の分散・多様化が一段と進んだ。なお、新製品の開発と試作試験段階の販売のみである新規開発事業は営業損失(941百万円)が先行しており、利益の獲得を意図していない。

同社グループの従業員数は連結1,346名、単体418名(2026年3月末現在)で、本社は東京都中央区京橋、製造拠点は同社及び子会社が集中する静岡県が中心である。海外は中国2工場でトナー、インドで絶縁紙を製造するほか、主な子会社として生分解性接着剤の調合・製品製造を行う(株)NichiRica、高機能断熱材・紙袋・フレコン等を開発・製造・販売する三和紙工(株)、クレジットカードをはじめとするセキュリティメディア事業の昌栄印刷(株)、ディスプレイ関連のTOPPAN・TOMOEGAWAオプティカルフィルム(株)、海外販売子会社を有する。

トナー事業と半導体・ディスプレイ関連事業が収益の2本柱
2. 事業内容
同社は現在、トナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業、機能性シート事業、セキュリティメディア事業、新規開発事業の5事業(+その他)を主な事業分野としている。

(1)トナー事業
複合機・プリンター用トナーを事務機器メーカー・複合機メーカーへ販売している独立系トナー専業メーカーとして売上高ベースで世界有数のポジションを確立し、世界シェアは4%前後。日本と中国の3工場からタイムリーに製品を供給する体制を整えており、成熟市場におけるNo.1メーカーとしてのシェアアップを目指す。2026年3月期の色別売上構成比はモノクロ40%、カラー56%、その他4%程度と、カラー比率が過半を占める。

(2)半導体・ディスプレイ関連事業
半導体実装用テープ、半導体関連モジュール、光学フィルムを3本柱に事業を営む。中核はICチップ搭載用リードフレーム固定接着テープを核とする半導体実装用テープで、リードフレーム固定テープは発売以来40年にわたり市場シェア90%超を維持する。半導体関連部品では静電チャックで20年以上のOEM供給実績を持ち、期待される新製品であるフレキシブル面状ヒーターや高性能ヒートシンクといった新製品の立ち上げが進む。光学フィルムはFPD/スマートフォン/車載ディスプレイ向けの精密塗工品で、車載用光学フィルムが当期の伸長をけん引した。

(3)機能性シート事業
祖業の電気絶縁紙を含む製紙、機能性不織布、塗工紙(磁気乗車券・磁気カード等)、ガムテープ、紙加工で構成される。長年の製紙事業縮小により損失が続いていたが、構造改革により2025年3月期に黒字転換、2026年3月期は機能性不織布の伸長と価格改定で大幅増益(営業利益582百万円、前期比887.0%増)を達成した。機能性不織布は特殊抄紙技術を生かしたステンレス・銅・セラミックを素材とする特殊な繊維シートで、半導体関連部品向けの半製品供給も担う成長分野に位置付けられている。

(4)セキュリティメディア事業
有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード、通帳等の製造・加工及び情報処理関連を展開している。2026年3月期は宣伝印刷物の受注減を、接触・非接触両対応のコンビカードや通帳類等の重要印刷物の増加が上回り、増収増益となった。クレジットカードや通帳の国内における製造は同社グループ企業である昌栄印刷を含む数社しかなく、当該ビジネスでの強みを活かして他分野への展開を進める。

(5)新規開発事業
iCas関連製品及びGREEN CHIP関連製品の開発・試作・販売を行う。iCasは同社の強みである「抄く(抄紙技術)」と「塗る(塗工技術)」に電気物性のノウハウを融合させ、熱・電気・電磁波をコントロールして電気電子機器・部品の故障・誤作動防止に貢献する製品群である。加えて新たに環境性能にも優れた機能性粉体の開発も進めている。売上は試作・テスト需要に限定され、量産化後は各事業に移管されるため、先行投資として損失が継続する構造となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

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