■要約
ベイシス<4068>は、通信インフラ領域で培った高品質な現場実行力を基盤に、IoT・ITインフラ等へ事業領域を拡大してきたインフラテック企業である。現場実行力とテクノロジーを掛け合わせ、ICT・IoTインフラの構築・運用を一気通貫で提供するBPaaS※を成長エンジンに位置付けている。新たな「中期経営計画2030」では、BPaaSを通じて蓄積・強化する4つの競争資産を核に、インフラ構築・運用に必要な機能を一気通貫で提供するとともに、新たな領域・市場・サービスへ継続的に拡張する「インフラテックプラットフォーム」の構築・拡張を基本方針としている。
※ Business Process as a Serviceの略。現場オペレーションの実行・管理(BPO)とBLAS(SaaS)を組み合わせ、ICT・IoTインフラの構築から運用までを一気通貫で提供するサービスモデル。
1. 2026年6月期の業績
2026年6月期の連結業績は、売上高8,427百万円(前期比5.5%増)、営業利益216百万円(同21.5%増)、経常利益210百万円(同25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益112百万円(同16.7%増)と増収増益となった。売上高は前期に続き過去最高を更新し、各利益は2ケタ増益と堅調だったが、いずれも期初予想を下回った。期初に見込んでいた大型案件の顧客側での検収が2027年6月期にずれ込んだことによる。売上面では、モバイルエンジニアリングサービスが5Gエリア展開工事縮小の影響で同3.4%の減収となったものの、通信キャリア向けの通信品質改善工事や基地局設置、法令点検等の案件を多く手掛け、期初予想を上回った。IoTエンジニアリングサービスはIoT機器の設置案件が好調で同13.1%増収と全体をけん引し、ITエンジニアリングサービス等のその他サービスは金融機関向け案件が堅調で同9.4%の増収となった。利益面では大型案件の検収ずれ込みの影響で売上総利益率が同0.4ポイント低下の23.0%となったが、営業利益率は増収効果に加え、前期に実施した販管費削減策としての業務フローの見直しやDX推進策の継続により、前期比0.4ポイント上昇の2.6%となった。
2. 2027年6月期の業績見通し
2027年6月期の連結業績予想については、売上高9,909百万円(前期比17.6%増)、営業利益329百万円(同52.4%増)、経常利益324百万円(同53.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益194百万円(同72.3%増)と増収増益、特に利益面の成長を見込む。EBITDAは411百万円(同39.9%増)、調整後EBITDA※は481百万円(同43.9%増)を見込む。2027年6月期からの新たな中期経営計画の開始にあわせてサービス区分を見直し、「IoTサービス」「ネットワークサービス」「SaaSサービス」とする。売上面ではIoTサービスにおいて59.2%の増収、及びSaaSサービスにおいて204.3%の増収、ネットワークサービスは3.8%の減収を見込む(増収・減収の見込みは前期の旧サービス区分の売上高を新サービス区分ベースに組み替えたものとの比較、以下同様)。IoTサービスについては高い需要の継続を見込むスマートメーターやネットワークカメラ、センサー等の案件受注を図るほか、店舗向けデジタルサイネージ設置に関わる大型案件も受注済みであり、さらなる増収をねらう。SaaSサービスについてはIoTサービス受注にあわせた「BLAS」の販売や既存顧客へのクロスセル等の施策で増収を図る。ネットワークサービスについては旧モバイルエンジニアリングサービスのトレンド継続等を見込み減収予想となる。利益面ではIoTサービスにおける大型案件受注による増収効果に加え、ネットワーク設計・運用に関わる高利益率の案件受注や「BLAS」の有償による導入案件の増加を見込み、売上総利益率の上昇を予想している。また営業利益率については「BLAS」の機能高度化やブランディング・マーケティング施策、社内AX・DX等への積極投資を図ることで販管費増加を予想するが、粗利率向上効果により上昇を見込んでいる。
※ 調整後EBITDA=EBITDA+M&A関連費用+株式報酬費用+株主優待費用+非経常経費(固定資産除却損等)。
3. 新中期経営計画
同社は2026年8月、2035年ビジョン「規模じゃない、価値で勝つ。2035年、業界を代表する企業へ」に基づき、「中期経営計画2030」を策定した。対象期間は2027年6月期から2030年6月期までの4年間である。現場実行力とテクノロジーを掛け合わせたBPaaSを成長エンジンとし、BPaaSを通じて蓄積・強化する4つの競争資産「現場実行力資産」「全国パートナー網資産」「顧客接点・案件実績資産」「現場データ資産」を核に、「インフラテックプラットフォーム」の構築・拡張を進める。5つの重点戦略「対応領域拡大」「BLAS拡販・BPaaS化推進」「全社AXによる経営基盤の変革」「ブランディング・マーケティング」「M&Aの推進」を相互に連携させ、持続的な企業価値向上を目指す。数値目標として、オーガニック成長により2030年6月期の売上高14,461百万円、営業利益1,248百万円、調整後EBITDA1,348百万円を掲げ、M&Aによる事業成長及びグループシナジー等を通じて調整後EBITDA15億円以上、時価総額100億円以上を目指す方針である。
■Key Points
・2026年6月期は前期に続き売上高が過去最高を更新、各段階利益は2ケタ成長
・2027年6月期は増収増益見込み。サービス区分を再編成、3つのサービスで重点戦略を推進
・新中期経営計画を発表、2030年6月期までに売上高144億円、時価総額100億円以上を目指す
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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