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グリッド Research Memo(4):インフラアセット事業はデベロップ・アンド・セルを基本とする収益モデル

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■事業内容

3. インフラアセット事業
インフラアセット事業では、系統用蓄電所の設計・開発・売却に加え、電力系統への接続支援などの関連業務を手掛けている。再生可能エネルギーの導入拡大や電力需給構造の変化を事業機会と捉え、AI事業で蓄積した電力分野の知見を、物理的なインフラである蓄電所開発へ展開した事業である。

グリッド<5582>は、自ら開発主体となりプロジェクトを売却する「デベロップ・アンド・セル」型の事業モデルを採用している。開発段階では、系統用蓄電所建設に必要な用地と電力系統への接続枠を確保したうえで、蓄電池、PCS(Power Conditioning System)、変圧器などの設備仕様を決定し、設計・調達・施工(EPC)を進める。その後、事業化の確度を高めたプロジェクトを、事業会社やインフラ投資ファンドなどの事業主へ売却し、開発利益を獲得する仕組みである。

これまでの開発案件実績を踏まえ、今後は数MW規模の高圧案件から数十MW級の特別高圧案件へ対象を広げる方針である。高圧案件の売上規模が1案件当たり5億~10億円程度であるのに対し、特別高圧案件では20億~50億円以上になると想定される。ただし、案件大型化に伴い、開発期間の長期化や資材価格の上昇、許認可手続きの遅延などによる業績変動リスクも高まる。

一方、運用面では、AI事業で培った需給予測や計画最適化技術を活用し、卸電力市場、容量市場、需給調整市場などに応じた充放電計画の最適化を目指している。将来的には、蓄電所売却後も運用支援を行うことで、フロー型収益に加えて継続収益を獲得し、収益基盤の安定化を図る方針である。

さらに、売却型に加えて、開発した蓄電所を自社保有・運用する事業モデルも検討している。自社保有モデルは継続収益の獲得が期待できる一方、資金負担や資本効率への影響も大きい。このため、企業価値と資本効率の向上を両立できる事業モデルの構築を目指している。

4. 強み・特徴
まず、AI事業における主な強みは、(1)社会インフラ領域に関する深い業務知識、(2)予測・シミュレーション・最適化を組み合わせた技術、(3)業界大手企業との豊富な取引実績の3点である。これらが相互に作用し、参入障壁の高い社会インフラ向け計画最適化市場において、同社独自の競争優位性を形成している。

(1)社会インフラ領域に関する深い業務知識
電力・エネルギーを中心に、社会インフラの実務に精通したAIエンジニアやコンサルティング人材を擁する。社会インフラ業務では、安全性や安定供給を前提として設備や人員を運用する必要があり、業界固有の制度や運用ルールへの理解が不可欠となる。同社は、こうした知見を基にAIを顧客の中核業務へ組み込み、実際の意思決定に活用できるレベルまで実装できる点を強みとしている。

(2)高度な予測・シミュレーション・最適化技術
同社は、設備構成や需給状況をデジタル空間上に再現し、需要や市場価格を予測したうえで複数のシナリオを比較し、制約条件を満たす最適な計画を導き出す技術を有している。こうした技術は、電力需給、発電設備の運転計画、配船、物流など、多数の条件を同時に考慮する業務との親和性が高い。予測結果を現場で実行可能な計画へ落とし込める点が同社の競争力の源泉となっている。

(3)業界大手企業との豊富な取引実績
同社は、発電、電力需給、配船、鉄道運行、生産計画などの領域で実績を積み上げてきた。社会インフラ分野では、安全性や安定供給に直結する業務が多く、実績のないベンダーによる新規参入は容易ではない。同社は長年にわたり蓄積してきた技術、業務知識、導入実績を背景に高い信頼性を確立しており、それ自体が参入障壁として機能している。

一方、インフラアセット事業では、用地や系統接続枠の確保から設備設計、調達、施工、プロジェクトの売却までを一貫して手掛けられる点が強みとなる。開発プロセス全体を管理することで、個別工程のみを担う事業者よりも広い収益機会を確保できるためである。

さらに、AI事業で培った需給予測や計画最適化技術を蓄電所運用へ応用できる点も差別化要因となる。電力市場の状況に応じた充放電計画の最適化により、蓄電所の運用効率や収益性の向上が期待できる。蓄電所という物理的なインフラとAIによる意思決定技術を組み合わせ、開発から運用まで付加価値を提供できる点が同社の特徴といえる。

5. 事業等のリスク
同社が開示する事業等のリスクのなかで、特に業績への影響が大きいと考えられるものとして、(1)技術革新への対応、(2)人材の確保・育成、(3)インフラアセット事業の業績変動、(4)情報セキュリティ・情報管理の4点が挙げられる。

(1)技術革新への対応
AI分野では技術革新が速く、継続的な研究開発と専門人材の育成が求められる。同社は大学研究者との連携や自社での研究開発を進めているものの、新技術への対応や研究成果の事業化が遅れた場合には、競争力の低下や受注機会の減少につながる可能性がある。

(2)人材の確保・育成
事業拡大には、AI、数理最適化、システム開発に精通した専門人材に加え、社会インフラの業務に精通した人材が不可欠となる。必要な人材を計画どおりに確保・育成できない場合や、主要人材が流出した場合には、開発体制や案件遂行能力が低下し、事業成長の制約要因となり得る。

(3)インフラアセット事業の業績変動リスク
インフラアセット事業は、案件の受注状況や進捗、売却時期によって売上高や利益が変動しやすい。また、開発期間の長期化、仕様変更、資材価格・外注費の上昇、追加工事、系統接続・許認可手続きの遅延も、採算悪化の要因となる。将来的に自社保有モデルを採用した場合は、開発・取得資金の負担増加や投資回収期間の長期化、資本効率の低下にも留意が必要となる。

(4)情報セキュリティ・情報管理
同社は業務上、顧客の経営戦略や事業計画などの機密情報を取り扱っている。情報管理体制の整備を進めているものの、人的ミス、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入などにより、情報漏えいや重要データの破壊・改ざんが生じるリスクがある。こうした事態は、損害賠償や対応費用の発生に加え、顧客からの信用低下や取引関係の悪化を招き、事業及び業績に影響を及ぼしかねない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)

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