なぜ米国務長官は、同盟国でもない中国に「平身低頭」なのか?

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3月に東アジアを歴訪したアメリカのティラーソン国務長官。日本や韓国とは、主に「北朝鮮政策見直し」についての話し合いをしたと見られていますが、なぜかティラーソン氏は、同盟国でもない中国も歴訪しています。この理由について、4月13日に創刊される有料メルマガ『石平の中国深層ニュース』の著者で、中国出身の評論家・石平(せきへい)さんは、中国の実態に迫る新創刊メルマガのサンプル号にて、日本人の多くが知らないであろう「恐ろしい推察」を紹介しています。

「北朝鮮危機」を利用してトランプ政権を屈服させた中国 その戦略の限界

今年3月18日、東アジアを歴訪中の米国のティラーソン国務長官は、就任後初めて中国を訪問し北京で王毅外相と会談した。中国外務省の発表によると、会談の中でティラーソン氏は「米国は一つの中国政策を堅持し中国と衝突せず対抗せず相互に尊重して両国関係がさらに発展することを願う」と述べたという。

翌日の19日、ティラーソン氏は中国の習近平国家主席とも会談したが、そのなかで彼は習主席に対して、トランプ大統領が主席との「早期会談」を期待していると伝えたのと同時に、「「衝突せず、対抗せず、互いに尊重し、ウィンウィンの協力との米中関係を提案した」と、中国メディアが伝えている。

このように、中国側との一連の会談においてティラーソン氏は、「衝突せず、対抗せず、互いに尊重」とのキャッチフレーズを盛んに持ち出して中国との友好関係構築の意欲を示したが、それは、トランプ政権は誕生する前後から示した中国への厳しい対抗姿勢とは打って変わったものである。

例えば今年1月11日、国務長官に指名されたティラーソン氏は米国議会の公聴会で、中国が軍事的進出を進めている南シナ海問題にかんして、「われわれは中国に対し、まずは人工島の造成を中止しなければならないと伝え、次に中国によるこれら島々へのアクセスは認められない」と発言して波紋を呼んだ。この発言は額面通りに受け止めれば、要するにアメリカは今後場合によっては実力を持って中国の南シナ海での軍事行動を阻止するかもしれないという、この上なく強烈にして対抗姿勢の強いものである。

実際、この発言を受けてNYタイムズのネット版は1月16日、「南シナ海の人工島封鎖で米中衝突が現実に?」との署名記事を掲載して、米中間軍事衝突の可能性を本気で心配していたが、それから二ヶ月経った今、当のティラーソン氏自身は北京へ出向いて「衝突せず、対抗せず、互いに尊重」と熱心に説くとはまさに「隔世の感」があろう。これをもって、トランプ政権の対中姿勢は劇的に転換したと言わざるを得ない。

しかも、いわゆる「衝突せず、対抗せず、互いに尊重」の表現はもともと、以前のオバマ政権時代において、中国の習近平国家主席がオバマ大統領に対して持ちかけたものである。当時、オバマ大統領はそれに対して否定も肯定もせずにして単に聞き流したが、今、トランプ政権の国務長官は逆に中国側に対してそれを「提案」したとは、中国に対する態度の軟化というよりも、中国への迎合とも捉えるような卑屈な姿勢というしかない。

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