fbpx

LINE問題で株価下落、親会社Zホールディングス株は割安か?2事業がお荷物、成長拡大の条件とは=栫井駿介

投資のチャンス? Zホールディングスを分析

それほど悪質ではない不祥事ということになりますと、今の株価下落というのは、この親会社である「Zホールディングス」への投資のチャンスになるのではないか?と、我々のようなバリュー投資家は考えてしまいます。

しかし、このZホールディングスは必ずしもLINEだけではなくて、ヤフーと統合したので、インターネット業界における様々なビジネスを行っています。

なので、その全体を見ることで、LINE、ヤフー、またZホールディングスの今後の未来を見通して、投資できるかどうかということを考えなければなりません。

では、そのヤフーとLINE、すなわちZホールディングスの現状について見ていきたいと思います。

210402_kakoi_LINE2

いま資本構成が非常に複雑になっているのですが、皆さんが株を買えるのは、この「Zホールディングス」ということになります。

このZホールディングスという持ち株会社の傘下に、100%子会社としてヤフーとLINEが入っているということになります。

ただ、現状で買えるZホールディングスの株というのは34.7%しかなくて、残りの65.3%はAホールディングスという会社が持っています。そして、Aホールディングスの株を保有しているのがソフトバンクとNAVERで、それぞれ50%ずつ持っています。

これはいわゆる中間持ち株会社ということで、中身がないものです。したがって、このZホールディングスの株主構成は、一般株主34.7%、そして携帯会社のソフトバンクが32%、それからNAVERも32%というような持ち株比率となっています。

さらには、このソフトバンクの親会社としてソフトバンクグループがいますが、このソフトバンクグループがソフトバンクの40%を持っています。

したがって、いずれもソフトバンクグループの孫正義さんの傘下にあると思っていて下さい。どんどんこの「ソフトバンク帝国」が拡大しているという風に見て取れます。

ましてこの日本最大のポータルサイトである ヤフーと、日本最大のチャットツールであるLINEが統合したということで、もはや私たち日本人は「孫正義帝国」から逃れることはできないでしょう。

帝国拡大も業績は伸びていない?

さて、このヤフーとLINEですが、様々なビジネスとサイト運営を行っています。

メディアという意味では、ヤフーのポータルサイトを中心に、天気とかニュースとかファイナンスといったものを様々やっていますし、ローカル情報、特に最近力を入れているのがコマースです。ショッピングとかヤフオク、PayPayといったところです。それからトラベル関係、さらに今後に伸びることが期待できるのはフィンテック関連です。ジャパンネット銀行がありますが、これはPayPay銀行になる予定です。したがって、この辺はぜんぶPayPayでまとめられてくるという話になりそうです。

これに、スマホとして国内で最大のプラットフォームである「LINE」が加わるというのは、もはやプラットフォームとしては、Zホールディングスに勝るものはないということになります。

その業績ですけれども、プラットフォームの拡大に伴って伸びているかというと、実は必ずしもそうではない側面があります。

210402kakoi_1

Zホールディングスとその前身のヤフーの業績の推移ですが、青で示されている売上高は順調に右肩上がりに伸びています。これはロハコとかZOZOなんかも買収したりしているので、それに伴って一気に伸びている年もあったりで、右肩上がりに伸びています。

一方で赤の折れ線グラフで示した営業利益に関しては、2016年3月期をピークに見事に右肩下がりになっています。直近ではピークのところから半分近いところまで下がっているという状況です。

また、LINEに関しては単独で上場している時から思っていたのですが、ビジネスが上手ではないという風に私は思っています。国内で約9,000万に近いユーザーを抱えながら、売上高に関しては2,000億程度です。そして、直近2019年12月期に関しても赤字だったりするわけです。この赤字は後ほども説明しますが、LINE Payだったり、そのQRコード決済事業に関連するものだったりします。

いずれにしてもLINEは皆無料で使えてしまいますから、なかなか収益化の場所が無かったりして、やりようはいくらでもあると思うのですが、そこまで上手くできていないというのが現状です。

Next: 気になる赤字。囲い込みのために広告宣伝費をかけ過ぎた

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー