菅総理「強引にやれば外為で捕まえられるんだろ?」
ここで出てくるのが当時官房長官だった菅総理です。この報告書の中では菅官房長官のことを名前を伏せて「丘の上」と呼んでいたことも書かれています。
菅総理が行っているという朝食会に、東芝から幹部が参加しまして、こういった状況を説明しました。
そこで菅総理の発言としては、「強引にやれば外為で捕まえられるんだろ?」というようなことを言ったのです。
確かに先ほど説明したように、この外為法というのはかなりふわっとした法律で、正直、政府の一存次第で、外国人投資家を排除できてしまう含みを持った法律です。
しかし。それを乱発するというのも、国の権限としてはあってはならないと私は考えます。
ところが、菅総理は強引にやればいいんじゃないかと発言したということです。
これは実際には行われることはなかったのですけれども、菅総理や政府のずるい・汚い考え方が、このセリフに反映されているのではないかと感じてしまうところです。
これ自体は直接的に何か問題になっているというところではないのですが、こういう事がありましたと、報告書の中でも出てきましたということです。
それで最終的な結果はどうなったかというと、会社提案を可決、そして株主提案は否決されました。この会社提案の方で、実は車谷社長もかなり薄氷で、CEOの株主総会での議決案として滅多に見られないぐらいギリギリの採決だったわけです。
3Dやエフィッシモが出していた株主提案は、最終的に否決されました。
抵抗する村上ファンドの提案で暴かれた真実
しかし、前述の通りハーバード基金が株主提案に賛成するようなことがあれば、直接的には足りなかったのですが、もう少し票が動けば可決される可能性もあったということです。なので、やはりこの圧力をかけたという問題が響いていると言われています。
そして、流石におかしいと思ったエフィッシモは、2021年3月に臨時株主総会で、これを調査するという株主提案を出しました。
その株主提案は可決され、この第三者委員会の報告書が出てきたということになります。
その後、東芝はCVCというイギリスのファンドによって買収されるような提案を車谷社長の主導で行ってエフィッシモも排除しようとしましたが、結果、それも上手くいかなそうで、車谷社長は辞任をを迫られて今はいないということになります。
結局は車谷社長も、何がしたかったのかというところですけれども、基本的には自分の保身というものを考えたのではないかというのがひとつ考えられます。
このエフィッシモの提案や外国人株主に取り囲まれる状況では、自分の再任すらままならないというところもありました。