タリバンの裏に中国の影?
もうひとつ、「タリバンの裏には中国がいる」という論があります。
たしかにタリバン幹部は天津まで出向いて、中国の王毅外相と会談したり、中国もタリバン政権樹立について認めるような声明を出しています。
タリバンと中国が結びついているのは、以下の3つの理由からです。
1. タリバンも中国も「反アメリカ」という点で方針が一致している(敵の敵は味方という論
理)
2. タリバンはアフガニスタンを掌握し、その後の経済復興のために中国から資金を引き出
したい
3. 中国はタリバンがETIMなどのウイグルの独立運動を行っている勢力と連携することを恐れている(そもそもタリバンにはウイグルから逃れてきた人もかなりいると言われています)
では中国は、アメリカ軍の撤退、タリバン政権の復活後に、タリバンと関係を築くことによって利益を得られるかというと、個人的には「ノー」だと思います。
タリバン政府が中国に期待するのは「お金」だけ
アメリカはアフガニスタンで泥沼にはまったわけですが、今度は中国が泥沼にはまるのではないかと予想しています。
タリバン政府が中国に期待するのは、お金(もしくは兵器など)だけです。
一方、中国は仮にタリバンがウイグルと結びつけば、国内に大きな火種を抱えることになる。
当然、タリバン側もそのような状況はわかっており、現在はお金を引き出すために大人しくしていますが、徐々にウイグルカードを使って、めいっぱいお金を引き出すように揺さぶりをかけてくるでしょう。
そもそも原理主義者であるタリバンに、まともな経済運営ができるわけがありません(2001年までのタリバン政権でも当然経済はガタガタでした)。
タリバン側は、ウイグルカードを使って無尽蔵に中国からお金を引き出したいと考えているでしょう。
そもそも共産主義とイスラム(特に原理主義)は水と油であり、利害で結びついたとして長く関係が保てるとは思えません。