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習近平を“財布”にするタリバン。中国とアフガン「急接近」の先に泥沼シナリオ=澤田聖陽

反政府武装勢力タリバンがアフガニスタンを制圧、政権を掌握しました。今回の件で「裏で中国が操っている」論が出ていますが、私は違うと見ています。中国がタリバンに利用され、アメリカと同じく泥沼にハマる可能性もかなりあるでしょう。アフガニスタンの歴史から、今回の事件の背景を解説します。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

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投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2021年8月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

アフガニスタンで何が起きた?歴史的な背景

アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは8月15日、首都カブールを制圧し、政権を掌握しました。ガニ大統領は国外逃亡し、2001年の米同時多発テロ後の米軍のアフガン攻撃を受けて成立した民主政権は、米軍撤退を待たずに事実上崩壊しました。

まず、アフガニスタンという国がどんな国なのかを、歴史を追ってご説明します。

アフガニスタンは、インド・パキスタンとともに「インダス文明」の発祥の地です。アフガニスタンからインダス文明の遺跡が多数発掘されています。またシルクロードが通り「文明の十字路」として栄えたアフガニスタンは、東洋の文化と西洋の文化が交わる場所でもありました。

宗教的には、当初は仏教が栄えた地域でした。アフガニスタンの首都カブールから230キロほど離れたバーミヤン渓谷にある仏像は6世紀に建造されたものです(2001年に当時のタリバン政権によって跡形もなく破壊されてしまいました)。

その後、イスラムの勢力が台頭し、8世紀にはイスラム帝国・アッバース朝の支配下になります。さらに進んで、イスラム系の王朝が変遷し、12世紀にはモンゴル帝国の支配下に入ります。

モンゴル帝国が衰えた後は、再びイスラム系の王朝の支配となり、バーラクザイ朝の1832年に国名をアフガニスタンとしました。

アフガニスタンとは、アフガン族の「アフガン(山の民)」と「国・地方」を意味するペルシャ語の「スタン」を合成したもので、「アフガン族の国(山の民の国)」という意味になります。

1834~1842年の第1次アフガン戦争ではイギリスに勝利したものの、1878~1880年の第2次アフガン戦争ではイギリスに敗れ、その保護国となります。

そして、1919年にアマーヌッラー・ハーンが第3次アフガン戦争に勝利し、独立を果たします。1926年には国名を「アフガニスタン王国」としました。

第2次世界大戦はザーヒル・シャー国王のもと連合国、枢軸国のどちらにも属さない中立国の立場を堅持しました。戦後は立憲君主制を導入するなど民主化が進みました。

しかしながら、1973年にムハンマド・ダーウード(ザーヒル・シャーの従兄弟)がクーデターを起こして王政を廃止し、自ら大統領に就任し「アフガニスタン共和国」が成立します。

その後、1978年に軍事クーデターによりダーウード一族は処刑され、人民民主党による社会主義政権が樹立しました。国名は「アフガニスタン民主共和国」となります。

これに対してアフガニスタン全土でムジャーヒディーン(ジハードを行う)が蜂起し、アフガニスタン紛争が起こります。

1979年にはソ連がアフガニスタン侵攻を行いました。1987年にはムハンマド・ナジーブッラーが大統領に就任し、国名をアフガニスタン共和国戻しています。1989年にソ連軍がアフガニスタンから撤退します。

ソ連撤退後に、ムジャーヒディーン各派と人民民主党の主導権争いが起こり、人民民主党が勝利します。1992年にはムジャーヒディーンのジャマーアテ・イスラーミーにより、アフガニスタン・イスラム国が成立します。

その後、1994年ごろからタリバンの勢力が拡大し、1996年には首都カブールを制圧しました。タリバンは「アフガニスタン・イスラム首長国」の成立を宣言し、反タリバンの勢力は北部同盟を結成します。

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