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習近平を“財布”にするタリバン。中国とアフガン「急接近」の先に泥沼シナリオ=澤田聖陽

アメリカとタリバンの関係悪化

1998年にはケニアとタンザニアのアメリカ大使館爆破事件にともなうアル・カーイダ引き渡し要求をタリバンが拒否、アメリカとの関係が悪化しました。

そして2001年9月11日、アメリカ同時多発テロが発生。同時多発テロの首謀者であるアル・カーイダのウサマ・ビン・ラディンを匿っているとして、アメリカはアフガニスタンへの空爆を開始、アフガニスタン戦争が始まりました。

このアフガニスタン戦争により、タリバン政権は崩壊しました。

タリバン政権崩壊後、ハーミド・カルザイを議長にしてアフガニスタン暫定行政機構が発足しました(カルザイは、その後首相に就任)。

2002年、選挙でカルザイが大統領に選出されました。

2011年、アメリカがウサマ・ビン・ラディンを殺害します。

2014年、選挙でアシュラフ・ガニが大統領に選出され、現在まで大統領を務めていました。

以上が、今回のアフガニスタンの歴史と、今回のタリバン政権復活前までの経緯です。

アフガン撤退で露呈したアメリカの国力低下

アメリカが仕掛けたアフガニスタン戦争によってタリバン政権は崩壊したものの、完全に消滅はせず、その後も一定の勢力を保ち続けていました。

アフガニスタンはパシュトゥン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人などの多民族国家であり、各部族には部族長と言われる人たちがいます。

タリバン政権崩壊後は民主化の道を進んでいたのですが、すべての部族長がアメリカ式の民主主義を快く受け入れていたわけではありません。

その様な土壌の中で、トランプ政権下で2020年2月のタリバンと和平合意を結び、アフガンからの条件付きの撤退を決めました。

バイデン政権になって、当初の撤退期限を延長したのと同時に、無条件での撤退を開始してしまいました。

アメリカはアフガニスタン戦争で約2,500人の兵士を死なせ、日本円で200兆円以上の資金をつぎ込んでいます。アメリカ国内の世論はアフガニスタンに対して厭戦感が強く、民主主義国のアメリカでは撤退はやむなしだったことは間違いないでしょう。

しかしながら、今回の撤退の仕方は、明らかにアメリカにとってデメリットしかなかったと思います。

戦争は撤退戦が一番難しいとも言いますが、一言で言えば「醜態を晒し、アメリカの力の低下を世界に見せつけてしまった」と言えるでしょう。

Next: 共産主義とイスラムは「水と油」。中国もタリバンの泥沼にハマる?

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