NFPの下振れは織り込み済み、むしろ平均時給上昇に寄与か
先行して発表された雇用指標を見ていくと、全体的に数字が悪化していることが分かります。この辺はオミクロンの影響が重なっていると言えるでしょう。
民間のADP社が発表する雇用報告では、前回分が大きく伸びたことによる反動もありますが、大きく減らしてマイナスとなっています。また、新規失業保険申請件数も一時的ですが増加しており、労働者が減少しているのはほぼ確実と言えるでしょう。
したがって、NFP(非農業部門雇用者数)の下振れ、弱い数字は想定済みでしょう。
むしろ、懸念しなければならならないのは、ADPによる労働者数の減少が示している通り、オミクロンの影響で労働市場が一段と逼迫化し、労働者確保のためにコスト増が加速している可能性、平均時給の上昇、賃金インフレです。
今回(1月分)は前月比で+0.5%の上昇がコンセンサス予想となっていますが、前回(12月分)の+0.6%を上回るようであれば、さらなる賃金インフレの加速が織り込まれ、ドルの上昇につながることでしょう。
下がれば強気で買い!
雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)の数字に影響されやすいですから、そういう意味では初動は下振れで下げる可能性が高いでしょう。
もっとも、オミクロンの感染拡大による労働者の一時的な減少に加え、今回のコロナによって労働市場からドロップアウトした人々も戻ってきそうにありませんから、これらの影響による賃金インフレは継続しそうで、平均時給が予想の前月比+0.5%・前年比+5.2%を上回るのであれば、利上げ加速、引き締め意識でドル高になるでしょう。
なので、仮にNFPがマイナス圏に沈んでドル円が瞬間的に下げたとしても、賃金が上回っていれば買いという判断で良いと思います。