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ウクライナ侵攻で急落、日経平均株価は「3月、絶好の買い場」へ。ただしダウとの格差に要注意、2万5,000円割れにも慌てぬ長期投資を=馬渕治好

中長期シナリオ結論(2022/1/30時点)

(毎号最後に掲載します。変える必要がないと考えている間は、全く変えません。)

<2022年3月辺りまでのシナリオ>

2022年の世界市場については、3月辺りにかけて、もう一段、株価や外貨相場の下押しを見込む。その主要な要因は、米国の金融政策が企業や投資家に与える影響と、「中国リスク」だ。

米連銀は11月からテーパリング(量的緩和縮小)を開始し、来年1月から縮小を加速することも決定した。利上げ開始の時期も、当初想定より早く、2022年3月の可能性が高まっている。

米マクロ経済が好調だからこそ緩和を縮小するわけであり、また緩和脱却は、一気にではなく、段階を踏んでいこう。そのため、本来は、緩和縮小は大きな波乱要因にはならないはずだ。

しかし、米国の企業や投資家、市場はこれまであまりにも金融緩和に依存してきたため、金融政策の修正が大きな波乱を引き起こす恐れがある。

そうした波乱とは、具体的には以下などを想定している。

1)脆弱な米国内産業・企業の資金繰り破綻
2)米国における、社債の発行市場の好調さに依存した企業の資金調達の変調と、それが自社株買いの減退につながる恐れ
3)世界的に、低金利による運用難でリスクをとっていた投資家が、長短金利の上昇でリスク資産(株式等)から一気に利回り物に資金を移動する可能性と、それを材料にした株式売りなどが嵩む展開
4)株式の信用取引や、ジャンク債(格付けの低い債券)、その他高リスク取引を拡大していた投資家の破綻
5)米ドルに依存してきた新興国の苦境(米ドル建て債務の借り換えの困難化、米ドル高・自国通貨安を防衛するための望まない利上げなど)

また、中国の様々なリスクは、2022年に噴出しよう。そうしたリスクとは以下などだ。
1)中国経済の減速
2)米中対立の深刻化(安全保障面の衝突を含む)
3)中国政府による突然の産業政策の変更(IT、不動産、株式投資、教育産業など)と、それを嫌った世界の投資家による中国市場からの逃避
4)中国企業の巨額の債務問題

加えて、先進国経済や企業収益が、回復基調にはありながらも既に回復の勢いが衰え始めていること、物流などの人手不足が輸送コストの上昇や品不足を招く可能性、欧州でEU(欧州連合)の求心力に陰りが出ていることなど、不安材料は極めて多い。

このため、日米等主要国の株価は、3月頃までに一段の下落を示すだろう。具体的な下値めどは、日経平均は2万5,000円、ニューヨークダウは3万ドル、米ドル円相場は1ドル100円程度を想定している。ただしこれは大まかなめどに過ぎず、実際の下値はこの予想数値からかなりずれることがありうる。

<2022年3月以降>

2022年3月辺りまでに、世界市場の波乱が一巡すれば、それ以降、長期的には、主要国の株高・外貨高基調に復すると予想している。その要因として最も大きいのは、世界的な景気拡大の持続だ。それを支えるのは、新興諸国を中心とした人口増であり、技術革新、新商品・サービスの開発だろう。

加えて、2022年の市場の波乱が実体経済に著しい悪影響を与えると判断されれば、米連銀が緩和縮小の中止、あるいは再緩和を打ち出す展開もありえよう。

個別に見れば、2022年の波乱という試練をくぐり抜け生き残ることができた企業や投資家は、強いものだろう(弱者の淘汰)。そうして生き残った企業や投資家が、先行きの経済や市場を支えていこう。

2022年末時点の見通し数値としては、日経平均が3万2,000円手前まで、ニューヨークダウが3万8,000ドル手前まで、米ドル円相場が115円手前まで戻りうると考える。日米株価は、2021年の高値を2022年末までに抜き返すことができない場合でも、2023年の早いうちには高値を再奪回するものと予想する。

10年単位で展望し、株式等リスク資産を保有すべきだと考える。

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image by:lev radin / Shutterstock.com
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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2022年2月25日号)より一部抜粋
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