昨今「レバナス」と称される金融商品が売られて、ここ数年のNASDAQの上げを見た投資家が殺到していた。今、2倍のレバレッジがかけられたレバナスに手を出した投資家が、下落する相場に巻き込まれて退場の危機にある。資産を猛スピードで失って、売るも地獄、保有するも地獄だ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
上昇相場にあったアメリカの株式市場も急激に崩れ落ちた
コロナ禍も去年の11月まで、2022年には収束するのかと思われていたが、これもオミクロンの登場によって再びどうなるのか分からなくなった。今もなお感染者は拡大しているわけで、全世界が元通りに戻るのは時間がかかる。
そんな中、2022年に入ってから株式市場の様相が一変した。
2020年のコロナショック時による金融緩和の弊害でインフレが発生し、そこに原油・資源の上昇や、ウクライナを巡るロシアとNATOの対立激化が重なって相場が荒れているのである。
しかし、問題は株式市場の下落基調はこれからが本番になるということだ。FRB(連邦準備制度)も、いよいよ利上げに動く。利上げが始まると、株式市場のボラティリティはより大きなものになっていく。
利上げ局面になると、PER(株価収益率)の高い企業が売られる。PERの高い企業というのは、往々にしてハイテク企業なので、だからハイテク企業群が集まっているNASDAQ市場に売りが広がっており、ETF【QQQ】などが大ダメージを受けている。

NASDAQ 週足(SBI証券提供)
昨今、レバナスと称される金融商品が売られて、ここ数年のNASDAQの上げを見た投資家が殺到していた。レバナスとは「レバレッジをかけたNASDAQ市場の指数」のことであり、要するにNASDAQ100の2倍の値動きになるように設定された商品だ。
「iFreeレバレッジ NASDAQ100」や「楽天レバレッジNASDAQ-100」などがそうである。今、これらの「レバナス」に手を出した投資家が下落する相場に巻き込まれて資産を猛スピードで失って退場の危機にある。
下落していく相場を前にして阿鼻叫喚の地獄にいる
手っ取り早く儲けようとして素人が殺到した金融商品は、人気が頂点になったところで価値が吹き飛ぶというのはよく知られた現象だ。FX(外国為替証拠金取引)もそうだったし、仮想通貨取引もそうだった。
そしてNASDAQ100にレバレッジをかけた通称「レバナス」もまた同じ運命を辿りつつある。
「iFreeレバレッジ NASDAQ100」は、2022年1月4日時点で4万2,415円だった。2月17日現在は3万2,868円である。率にすると約23%の下落だ。
レバレッジのかかっていないETF【QQQ】は、1月3日時点で401.68ドルで、現在は356.04ドルで、11.36%の下落である。レバナスは2倍のレバレッジがかかっているので、確かに数字を見るとレバナスが2倍の幅で下落しているというのが分かる。
手っ取り早く儲けようとして手を出した素人投資家が、たった2ヶ月で2割以上も資産を吹き飛ばしたら、だいたい耐えられないで売り飛ばす。
だから、今はレバナスを買った素人投資家はどこまでも下落していく相場を前にして阿鼻叫喚の地獄にいる。