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ドル円「乱高下」も4月中旬までは122円台で継続か。不確実性に包まれるウクライナ情勢とインフレ見通し=脇田栄一

停戦交渉は本当に進んでいるのか?

停戦交渉が進んでいるとの報道だが、形だけを整えるロシア、というか肝心のプーチンのウクライナに対する意向はまったく聞こえてこない。彼は現在も融和的でなくゼレンスキーの声を聞き流しているだけだろう。

現実問題として直視すべき報道は悪材料が多い。
※参考:アブラモビッチ氏とウクライナ交渉団に毒物か 関係筋明かす – AFPBB News(2022年3月29日配信)

第一、プーチンにとってそのような合意や協定は、形式破りの彼を縛るものではないので、周りがどう報道、または議論しようとも彼が出てこない限り、彼が決めることになる。

反戦デモや世論、経済制裁ですらプーチンを縛らない、というかテクニカルデフォルトですらもともと織り込み済みといわれていた。

結局は彼の周囲、とくに身近なところで何が起こっているか。和平か破滅か、そしてインフレかディスインフレかは、そこと結びついており、日々目にする報道や議論は無駄なもので溢れかえっている(ほとんどの人たちがそう思っていると願いたい)。

コモディティは軟化の兆候

ただ、エネルギー含むコモディティは、欧米の中銀が流動性を低くすれば、今がそうであるように一定程度は軟化する。

市場の流動性も低下の兆候が見られており、原油先物価格含むCRB指数は300超で頭打ち、パラジウムやネオンなども市場価格自体は軟化、抑制されている(価格低下が実際の調達問題を解決するわけではないが)。

追記(2022‐3‐30 21:10)

冒頭がわかりにくい、という指摘ありましたので語弊なきよう、というか名誉のために付け加えておくと、先週通して、私が運営するeリサーチ発行の公式リポートでは「徐々に円安、一旦124をつけたのちは4月2週あたりまで123弱継続(122円後半)が基本シナリオ」としていた。

当然ながら米国における各年限の利回り、そして政策金利を挟み込む金利政策。それらを照合させたうえで上振れ・下振れを見極めたもの。

122円後半の段階で、金融当局による50bp引き上げ発言を織り込む動きが若干入っていると。よって4月3週‐3週明け(20日前)には25bp or 50bpが明確になるので(自分の中では)、前者であれば123前後継続、後者であれば短期の利回りに伸びしろあり、さらに伸びる、としていた。

そのうえで、日本の10年債利回りが上昇しているので「日銀のオペ発動後に若干の警戒感」ということも多々補足的にお伝えしていた(ここは2月はじめに日銀が強い発信をしていたので)。

簡素にいえば、「わかりきったことなのに急騰しすぎ」「継続しない」といったことであり現在は反動から下げ幅あり、それでも米短期金利はプライムレートを超えている。ドル円に関しこのあたりはリポートとの兼ね合いあり、普段あまり言えないんですよね、お察しいただければ。でも大まかにはわかるかな、と。

ちなみにユーロ圏の利上げも話題になっているが、これについては政策金利ではなく、預金ファシリティ金利の引き上げが重要になる。

旧Eoniaと取って代わったESTER、またはESTERレート(若しくはただ単純にESTR)とよばれるユーロ圏のオーバーナイト銀行間平均金利を誘導するのがこの預金ファシリティ金利であり、ユーロ相場は実質的にこれに左右されることになる。ここの引き上げは10bpずつで、引き上げが実現すれば‐0.50%から‐0.40%になる(と想定)。政策金利を引き下げた時のように5bpずつ、ということはない。なぜならユーロ圏の利下げ局面では利下げバッファーが残っていなかったからである。

なぜ追記のみ新たに更新しないのか?テクニカルな話では目立ちたくないので。

image by:Asatur Yesayants / Shutterstock.com
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本記事は脇田栄一氏のブログ「ニューノーマルの理(ことわり)」からの提供記事です。
※タイトル・リード・見出しはMONEY VOICE編集部による

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