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FOMC、異例の0.75%利上げで景気より「インフレ退治」優先モードへ。日銀も動くか?=高梨彰

FOMCは14・15日の定例会合で75bpの利上げに踏み切りました。次回も「50bpか75bp」とのこと。景気よりも「インフレ退治」優先の姿勢が明確になりました。夏場以降のマクロ指標に少なからず影響を与えるはずです。(『徒然なる古今東西』高梨彰)

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プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

FOMC、75bpの利上げ。7月も「50bpか75bp」

Fedは75bpの利上げに踏み切りました。次回も「50bpか75bpか」らしいです。

6月14・15日開催のFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committee)にて、75bp(0.75%)の利上げが決定されました。新たな政策金利FF(フェデラルファンド:Federal Fund)レートの誘導目標は1.50%-1.75%です。

また同時に公表された経済見通し(SEP:Summary of Economic Projections)によると、2022年末のFFレートは3.4%(3月時点では1.9%)となっています。
※参考:Summary of Economic Projections – federalreserve(PDFファイル)

これは誘導目標が年末に3.25%-3.50%へと更に175bp引き上げられることを意味します。そして2023年末は3.8%、2024年末は3.4%。利上げは来年まで続き、インフレ率の落ち着きを見て2024年にかけて利下げする見通しです。

一方、長期的なFFレートは2.5%(3月2.4%)。これはFedが中立的とみなす政策金利(FFレート)にほぼ一致します。ということは、2023年以降の利下げはインフレ退治後に行われる中立的な政策金利水準への回帰という意味合いです。

ジェローム・パウエルFRB議長は、FOMC後の会見で以下のように述べています。
・次回FOMC(7月26・27日)でも50bpか75bpかを検討
・75bp利上げは非常に大きい幅
・75bp利上げは普通じゃない

景気よりも「インフレ退治」優先へ

見通しとパウエル議長の言葉を合わせると、年内に開催される7月・9月(20・21日)・11月(1・2日)・12月(13・14日)のFOMCの中で、7月75bp、9〜12月のFOMCのどこかで50bpの利上げを2回、計175bpの利上げ実施となります。

中立的な金利水準を100bp上回る所まで利上げ継続。となれば、景気に負荷は掛からないのか、という心配が強まります。

昨日公表された5月の米小売売上高を見ると「ちょっと心配」になります。5月の米小売は前月比-0.3%、市場予想では+0.1%でした。予想に反してマイナスです。中身をみると、自動車関連の前月比-3.5%が目立ちます。自動車を除いた小売売上は前月比+0.5%でした。

ここで話が終われば「自動車の売上だけでしょ」。しかし、電化製品(前月比-1.3%)、ネット販売など非店舗小売(-1.0%)など、「機械っぽい」部門が軒並みマイナスです。

これが半導体不足によるものだけならば心配薄です。でも、供給が戻る前にFedの利上げで需要が下がってしまうと、今では想像も付かない「半導体の在庫ダブつき」なんて事態も起きかねません。

ともかく、Fedはインフレ退治優先モードに入りました。夏場以降のマクロ指標に少なからず影響を与えるはずです。

Next: 市場は「買い」で反応。いつまで日銀は緩和継続を貫けるか?

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