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搾取されるサラリーマン大家たち。悪徳業者の満室保証サブリース契約と“生活保護者”専用アパートの詐欺販売スキームに騙されるな=神樹兵輔

“生活保護者専用”の満室アパートなので、退去の心配がなく家賃滞納もなくて安心――という大嘘

他にも、「満室」を謳う悪徳商法は、次々生まれています。

近年では、「生活保護者専用アパート」というのまで登場しています。一般社団法人と不動産販売業者がグルになって行う騙しの手口です。一般社団法人の届け出をしている団体と不動産業者の代表者が同じ人物という事例があるのです。

何のために、一般社団法人にしているかといえば、街でホームレスの人に声をかけ、「生活保護で暮らせるように、住居も一緒に斡旋するよ」と誘導するためなのです。

自治体に生活保護申請する場合も、個人での生活保護申請は却下されるケースが多いものの、こうした団体の支援による申請は受理されやすいからです。

また、「NPO」とか「社団法人」とか聞くと、なんだか公益のために活動している良心的団体と錯覚する人も多いのです。

しかし、いまや「NPO」やら「一般社団法人」といった団体を偽装するのが流行のようになっていて、巷では蔓延状況です。

「NPO」だの「社団法人」だのと名乗っていても、株式会社と異なるのは、収益事業で得たカネを分配してはいけない――というだけの話で、収益事業も行えるし、団体幹部は高額報酬を得ることも可能です。

おまけに税金の優遇もあるので、むしろ株式会社で商売するより、こうした団体になって稼いだほうが、よほどオイシイ時代でもあるわけです。

ゆえに、騙されないように用心してください。

「NPO」や「一般社団法人」をカモフラージュ的に名乗って、「貧困ビジネス」で荒稼ぎする団体は、今やあちこちに乱立しているからです。

生活保護費を吸い上げる悪徳スキーム

ところで、生活保護には8つの扶助がありますが、そのうち「生活扶助」や「住居扶助」といった区分が、生活保護支給額の大本を構成しています。

もちろん、都道府県や市区町村によって、その支給額は異なります。

単身者世帯での「生活扶助」や「住居扶助」で一番高いのは、東京都ですが、「住居扶助」だけを見ても、東京では1級地で5万3,700円、2級地で4万5,000円、3級地で4万900円です。

大阪では、これが、3万9,000円、3万8,000円、2万9,000円と大分安くなります。

東京都内での一般社団法人とグルの不動産販売業者は、物件の地域相場の家賃が、たとえ3万9,000円程度の場合でも、1級地での場合の家賃なら、5万3,700円の「住宅扶助」額の最高額に設定します。

そして、ホームレスなどの生活困窮者を見つけ、生活保護を受給させる手続きを支援し、自社が販売する集合住宅に住まわせます。

すると、この物件の収益利回りは、格段にアップします。何しろ周辺相場の家賃より高いのですから。

これを高利回りの投資用収益不動産として販売するわけです。

本来ならば、条件が悪く、一般に募集をかけても入居者が集まらないような不良物件でも、生活保護受給者ばかりを入居させれば、高い家賃での「高利回りの満室物件」を仕立てることが可能となるのです。

しかも、「住居扶助費」は、自治体に要請すれば、「住居扶助費」だけを、自治体から直接家主さんへ振り込んでもらえる制度もあります。

そのため、家主さんにとっては賃料滞納の心配がない優良物件にも仕上がるのです。

Next: 「福祉」の大義名分でやりたい放題。個人投資家だけが損する仕組み…

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