長引く戦争でウクライナは三重苦に直面しています。貧困する国民が手を染めているのが、「代理出産ビジネス」。なんと世界シェア25%を占めるまでに成長しています。(「 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 」浜田和幸)
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プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
ゼレンスキー政権が直面する3重苦
ロシア軍との反転攻勢で一進一退を続けるウクライナですが、国内経済は悲惨さを増すばかりです。
日本では関心の対象外のようですが、ゼレンスキー政権は3重苦に直面しています。
第1は、ロシア軍を追い返そうとし、NATO諸国から軍事物資の支援を受けているのですが、欧米製の戦車やミサイルを使いこなせる兵士の訓練が追いつかないため、思ったような戦果が上がっていないこと。
第2は、戦前からウクライナは「ヨーロッパ最悪の汚職大国」と異名を取っていましたが、ゼレンスキー大統領やその側近による目にあまる汚職に対して、野党や民間の反汚職団体が「これ以上見過ごせない」と糾弾の声を上げ始めたこと。
第3が、長引く戦争のため、仕事も奪われ、生活苦に追い込まれた市民が急増していることです。
そんななか、急成長を遂げているのが「代理出産ビジネス」にほかなりません。
急成長する「代理出産ビジネス」
実は、代理出産は世界各地で広がっているのですが、全世界の4分の1以上を占めるまでに伸びているのがウクライナなのです。
昨年、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、先月までの間に1,000人を超える赤ん坊がウクライナの代理母によって誕生しています。
なかでも首都キーウにあるドイツ系のクリニック「バイオテックスコム」が人気で、600人を超える赤ん坊が生まれた模様です。
ヨーロッパ、特にドイツやイギリスの富裕層からの注文を受け、ウクライナの女性たちが出産のための代理母を務めているといいます。
その報酬は赤ん坊1人を産むことで2万2,000ドル(約300万円)とのこと。
生活苦に陥っているウクライナの女性にとっては得難い資金源です。
しかも、妊娠中は住居や食事も提供され、医療面でも手厚い保護が得られるため、応募する貧しい女性は後を絶ちません。
欧米諸国からは「人権侵害」との指摘も出ていますが、ウクライナ当局は一向に耳を傾ける様子はないようです。
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