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2つの条件さえ揃えば2028年に日経平均6万円へ。到達までのプロセスを理解すれば勝ち組投資家に=栫井駿介

<半導体関連が「勝ち組」に>

それでは、その「勝ち組企業」とは何なのでしょうか。

本の中でも取り上げているのが半導体関連企業です。

実際、日経平均株価の構成銘柄には東京エレクトロンを始め、アドバンテストやソニー、信越化学などの半導体関連企業が多く含まれており、半導体関連企業が大きく成長すれば日経平均株価や日本株をけん引するのではないかと考えています。

半導体産業は世界的に成長しており、これまでパソコンやスマートフォンの普及に伴って堅調な伸びを示してきました。

現在でも、さまざまな電子製品が半導体に依存しており、最近ではコロナ禍による半導体供給不足が自動車産業にも影響を与えました。

半導体の重要性は一層高まっています。

ただし、半導体の微細化には限界があり、今では原子単位まで縮小されています。

そのため、今後は積層技術が重要となり、これに伴いさまざまな技術が必要とされています。

日本の企業はこの分野で優れた技術を持っているのです。

また、世界的なトレンドとして、ソフトウェアからハードウェアへの主導権移行が起きています。

これまではソフトウェアが主導的でしたが、特にAI競争が激しくなり、ソフト面では利益を出しにくくなっていて、今度はハードウェアの方が利益を出しやすくなると言われています。

また、生成AI革命も半導体の重要性を高めることにつながっています。

それでは、半導体産業の中で、なぜ日本企業が強いのか、その理由について考えてみましょう。

すでに多くの日本企業が半導体製造装置の技術や、半導体に使用される微細でデリケートな素材の開発に取り組んでいます。

元々、日本企業は半導体の最終製品に強みを持っていました。

しかし、1980年代の日米半導体競争によりその地位は低下しましたが、TSMC、サムスン、インテルなどに製造装置や素材を供給する日本企業は多くの強みをいまだに持ち続けています。

東京エレクトロン、アドバンテスト、信越化学工業などがその代表例です。

日本企業の強みの一つは、長期間にわたる研究開発にあります。

アメリカ式の経営では、利益を生まない部分は切り捨てる傾向がありますが、高度な技術は何十年もの研究と開発が必要です。

このような高度な技術を持つ企業が日本には多く存在し、その力が注目されています。

さらに、日本企業はBtoB(企業対企業)市場に対する強みがあります。

BtoC(消費者向け)市場では競争が激しく、日本企業は太刀打ちできなかったのですが、BtoB市場ではクライアント企業の厳しい要求に応える姿勢を示しており、その結果、部材の供給で他国企業に優位性を持つことになりました。

このBtoB市場での強みは今後の成長分野となり得るでしょう。

地政学的なリスクというものもあります。

以前からTSMCについて話題になってきましたが、TSMCは台湾に拠点を置く世界一の半導体製造会社です。

しかし、台湾は現在、中国の地政学的リスクにさらされています。

中国は香港のように台湾を統合しようとする可能性があり、その背後には半導体技術の獲得があると言われています。

半導体技術は、スマートフォンやパソコンなどの民生品に使われるだけでなく、ミサイルなど軍事的な用途にも必要です。

現在ロシアはウクライナに侵攻していますが、ロシアも半導体が不足しており、充分なミサイルを生産できない状況もあるといいます。

中国としては、半導体技術を自国内に取り込みたいという思惑があると思われます。

特にアメリカから見ると、半導体技術がいつ中国に取られるか分からない台湾に拠点があることは大きなリスクです。

ただし、アメリカは賃金やメンタリティーなどの問題で半導体製造には向いておらず、台湾でのリスクを避けるためには、日本に工場を建設することが合理的な選択肢となっています。

実際、TSMCは熊本に工場を建設し、盛り上がっています。

日本は安価な優秀な人材が豊富で、円安の状況も相まって、製品を効率的に生産できる環境が整っています。

これらを踏まえると、日本は半導体産業は今後大きく成長するのではないかと思われるわけです。

時代をけん引するのは1つの産業であったりします。

アメリカでは過去にITやインターネットが成長しましたが、今後はハードウェアに焦点が移る可能性があり、日本の強みが再評価されるかもしれません。

高度経済成長時代に「Made in Japan」が注目されたように、再びそのような状況が訪れる可能性もあるのです。

Next: 日経平均6万円超えのもう1つの条件とは?

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