下請けに支払ってもいない消費税の「輸出還付金」があるので大企業は、消費税率をアップするほど儲かる
「輸出還付金」というオイシイ税金を吸える仕組みが、「消費税制」にはあるからです。
大企業は、下請け企業に部品などの納品単価を叩いて叩きまくって納品させてきたことでも有名です。
今まで100万円で大企業に納品していた製品を、消費税率が上がったからと言って、下請けの中小企業は、その分を簡単に上乗せして大企業に納品することがはたしてできるでしょうか。
もちろん、できません。
大企業は、取引停止を匂わせるでしょう。今まで以上に合理化に注力し、今まで通りの100万円で納品しろ――と言うはずなのです。
すると、消費税率10%なら、消費税額9.1万円、製品価格90.9万円という納品伝票を切らされるでしょう。
下請けの中小企業は、手取りが減ったうえに、消費税を納める矛盾に直面します。
そして大企業は、この伝票を元に、輸出還付金の申請を税務署に行えば、100万円分の輸出に対して、9.1万円分の仕入れ消費税相当額の還付金が貰えるのです。輸出した製品は海外では消費税がかからないから――という理屈だからなのです。
ゆえに、輸出大企業が本社として所在する各地の税務署は、毎年軒並み数十億円から、数百億円の赤字になっています。
日本を代表する輸出大企業トヨタの本拠地愛知県の豊田税務署に到っては、2020年度に4,044億円の赤字でした。この額はトヨタの輸出が増えることでさらに上振れしています。
ちなみに、2022年3月期の日本における輸出還付金の合計額は、およそ6兆6,000億円でした(国・地方消費税合計)。これは、政府が発表した22年度消費税収予算26兆円(同)の25%相当額になるのです。
ということは、消費税収の4分の1が主に輸出大企業に還付されてしまい、国庫には入らなかったことになります。実際、歳入額では消費税収入は約21兆円となっているのです。
経団連に名を連ねる大企業は、その多くが輸出で儲けを出しています。ドル建ての海外製品価格が、円安のおかげの為替換算で大企業の懐は、史上空前の利益額となっています。
にもかかわらず、大企業は、国内で払ってもいないであろう消費税額分を還付してもらえるのですから、「経団連」は消費税率アップに大賛成どころか、「もっともっと税率を上げろ」と政権与党の自民党の尻を叩くわけです。