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消費税が上がると大企業が儲かる驚きの仕組み。ワーキングプアを量産した自民党と経団連の罪=神樹兵輔

経団連の驚くべき「提言」

経団連はこの9月11日に、2024年度税制改正に関する提言(命令)を発表しています。

なんと、さらに法人税を減税し、人やモノへの投資を促進し、持続的な経済成長を実現すべき――などとほざいたのです。

そして、少子化対策を含めた社会保障制度の維持のための財源として、将来の消費税率の引き上げが「有力な選択肢のひとつ」などと主張しています。

消費税は目的税ではないため、社会保障制度などとは関係ないはずなのに、自民党とともに毎度このセリフをとってつけています。

さらに図々しいことに、従業員の賃金を引き上げた企業の法人税を軽くする特例の拡充を要望しました。

赤字で税優遇を受けられない企業にも配慮した制度の新設を提言(命令)したのです。

脱炭素や経済安全保障の推進に向けて、半導体や蓄電池などの国内生産量に応じて法人税を優遇する制度の創設も提言(命令)に盛り込んできています。

俗にいう「おまゆう」提言でしょう。

お前が言うか――と突っ込みたくなるのですが、もともと経団連は、「消費税率アップ」をずっと前から言い続けてきています。

2012年5月の経団連の提言(命令)では、財政再建などの改革を推進するべく「消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げ、その後、2017~2025年度の間、税率を毎年1%ずつ引き上げ、最終的に19%とすべし」という主張(命令)を行っています。

「2025年度・消費税率19%」が、経団連の求める“改革”という中身なのですから、驚かされます。

「アホかいな?」「バカじゃないのか?」と思いますが、もちろん経団連は本気でこうした主張(命令)をしてきたのです。

ちなみに、消費税率アップとともに、法人の実効税率を、2016から2025年度にかけて毎年1%ずつ引き下げていき、最終的には25%にするべし――という提言も同時に行っていました。

図々しいこと、この上ない提言(命令)というより、20数億円のエサを毎年食わせている自民党への文字通りの「政策指令」なのでした。

旧安倍政権は「政権維持」のために大企業に尽くしまくった

こうした経団連の命令に従って、法人税率は1970年代後半から80年代後半に基本税率が43・3%のピークを迎えていたのですが、自民党政権下では今度は段階的に引き下げ、2012年末の安倍政権成立前までには30%までに下げてきました。

そして安倍政権以降には、さらに次々と引き下げて、現在の23・2%まで引き下げてきたのです。

故・安倍首相は、財界にオベッカしまくりでした。

安倍首相のそれ以外の政策といえば、戦前の日本を取り戻すべくような「皇国史観」に基づいた勇ましさで、米国とタッグを組んで戦争ができる国づくりに邁進し、また、お友達との信義にはとても忠実でした。

はてさて、話を戻して法人税ですが、地方法人税や法人事業税を加味した法人実効税率は法人税率の23.2%ではなく、現在30・62%です。

しかし、資本金10億円以上の大企業は各種の特別減税優遇措置によって平均法人税負担額は18~20%程度になります。

多くの中小企業の実効税率よりも、大企業の実質税負担は、ははるかに低くなっているのです。

これが自民党が大企業を優遇してきた最たる証左なのです。

もちろん、過去のこうした消費税率アップと引き換えに法人税率や所得税率を下げてきたのですから、財政改革どころか、税収は60兆円そこそこ程度の横ばいでした。

庶民の生活が苦しくなる中で、大企業や金持ち個人の懐を潤してきたのが実情だったのです。

1989年に3%で導入した消費税というのは、まさしく大企業や金持ちの税率を下げるためだったことがよくわかるでしょう。

ところで、人口減少下で需要が減っていく中、国民の消費に罰金を課すような消費税率をアップしてきたのですから、そのたびに国内景気は落ち込んできました。

これでは、大企業も国内消費が落ちて、さすがに自分の首を絞めることになるではないか――と言えば、そうでもないのです。

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