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マイナス金利解除で株価や私たち生活はどう変わる?誰もがやっておくべき資産防衛=栫井駿介

株価上昇の理由

インフレ率が名目金利よりも大きくなって、実質金利がマイナスになると、不動産などの物に投資した方が基本的には有利ということになります。
今回株価が上がったことにもこの影響があると思っていて、植田総裁の「緩和的な金融環境は継続」と言っていて、何を以て”緩和的”とするかというと、要するに長期金利がインフレ率よりも低い(実質金利がマイナス)という話です。

実際に、2013年から2020年くらいまでは実質金利がマイナスの状態でした。

その間、日経平均株価は基本的に上昇して、現在も実質金利は大きくマイナスで、それだけの理由ではありませんが株価も上昇しています。

 

理論的に考えて、インフレに強い資産である株式などは実質金利がマイナスの状況下で上がりやすいと考えてよいと思います。

逆に、実質金利がマイナスの今はある意味で株のボーナス期間とも言えるかもしれません。

 

円安が示唆すること

FRBでも日本と同様に決定会合が開かれて、その中で、今回は金利は引き下げないという話がありました。
ただ、そこで注目されたのは、パウエル議長はどちらかというと金利は早期に引き下げたいというような趣旨の発言をしました。
今後アメリカが金利を引き下げることになると、日米の金利差が縮小し、これまで日米の金利差が大きいことで進んできたドル高円安が、逆にドル安円高の流れになるのではないかという見方が大半でした。

ところが、日本は金利を引き上げて、アメリカは金利を引き下げようとしていることが確認され、金利差は縮小しているにもかかわらず、為替はどちらかというと円安に動きました。

 

その理由として考えられるのは、日本もいよいよインフレが進んできて、海外の投資家としては日本も海外諸国から遅れて本格的にインフレになるのではないかと見ているのではないかと思われます。

これまでの金融緩和政策でどんどん流してきたお金が円の価値を引き下げ、さらに円安になる可能性も想定しておく必要もあると思います。

 

円安やインフレは日本政府も歓迎するところで、円安だと自民党が背景とする大企業は潤いますし、インフレになって税収が増えれば国の借金も返しやすくなります。
急速な円安は困る部分も多いですが、長期的な円安は財務省も嫌ってはいないのではないかと思います。

株式投資は資産防衛の手段

円安になるということは、「預金だけ」というのは一番良くない資産の置き場ということになります。
少なくともドルなどの海外資産を持つか、物価に応じて商品の価格を上げられる会社の株式や海外で強みを出せる企業の株式など、「良い株」を持っておくことが資産防衛になるのではないかと思います。

もっとも、どんな環境下においても素晴らしい企業というものは利益を稼いで、さらにその利益を再投資することでどんどん成長していくので、ある意味普遍的な投資のやり方だと思います。

 

今の環境下で株を持っておくということはリスクヘッジにもなりますし、1つの選択肢としてあり得ることだと思います。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by: slyellow / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年3月29日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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