<人々の生活には影響なし?>
マイナス金利が人々の生活に直接影響していたというわけではなく、マイナス金利というのは普通の銀行が日銀にお金を預ける時に手数料を取られるという話なのです。
銀行は手元の預金が一定以上になると一部は日銀に預けなければならないという決まりがあり、銀行は現金を手元に置いておくのではなく、貸し出したり、有価証券を買ったりする必要がありました。
つまり、マイナス金利は銀行がお金を貸す後押しをして世の中にお金を流し、インフレを引き起こすための手としようとしていたのです。
しかし、個人や一般企業に対してマイナス金利が適用されるわけではないので、いわゆる「短プラ」と呼ばれる銀行から企業への貸し出しレートはマイナス金利になってからも変わっていないです。
よって、金利が-0.1%から0%になったところで、銀行から中小企業への貸し出しレートや住宅ローンの金利がすぐに上がるというわけではありません。
もちろん、今後さらに金利が上がるのだとしたら貸し出しレートにも影響してくると思われます。
金利はどこまで上がるか
アメリカのように3か月に一度0.25%ずつ上げていったら、今後住宅ローンなどの金利が大変なことになる、という言説を見かけましたが、現時点で日本がそれをやる必要性は無いと思います。
アメリカがなぜここまで金利を引き上げたかというと、インフレが収まらなかったからです。
結果的に5%まで上がっていきました。
一方で日本はこれまでどれだけ金利を下げてもインフレにならなかったので、逆に金利を上げてもインフレを抑えることにもなりませんし、抑えなければならないほどインフレになっていないという現状です。
では、金利をどこまで上げる必要があるのかというと、一つ考えるべきことはインフレ率との関係です。
今回、植田総裁が金融政策を正常化に向かわせると言った前提条件として、安定したインフレ率の2%が見込まれるからという話をしています。
直近でインフレ率が大きくなっているのは円安による影響が大きく、逆に言うと海外のインフレも一時的で、それが収まれば2%の水準にまで下がってきて、平均すると2%くらいに落ち着くのではないかということです。
賃金も安定して上がっていくようになると、物価もそれに従って上がっていくだろうと想定しているわけです。
<実質金利>
名目金利からインフレ率を引いたものが実質金利です。
この実質金利が重要で、基本的には名目金利の方がインフレ率よりも大きく、実質金利はプラスになると考えるのが一般的です。
なぜかというと、インフレ率の方が名目金利よりも高いということになると、預金でお金を預けているよりも、不動産や金などの「物」を持っていた方が有利ということになります。
そういう環境下では、いくら借金をしてでも不動産を買った方が得ということになり、これは一般的な金融環境下では投機的な状況を生みやすいということであまり受け入れられません。
インフレ率を見て、最終的な名目金利を決めるのが妥当なところです。
日本では経済状況があまり賑わっていないところも引き続きあるので、そこまで金利を上げる必要もなく、理論的に考えるならば名目金利はインフレ率くらいになればよく、インフレ率が2%くらいで落ち着くとすれば、金利も2%くらいが上限になるかと思われます。
今の長期金利が0.7%くらいで、この長期金利が最大で2%くらいだと思います。