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日本の水道水が飲めなくなる?米軍基地による環境破壊が問題化も、調査すらできない隷属国家ニッポン=神樹兵輔

P-FASの有毒性は商業利用の当初から動物実験で証明され、十分認識されている。しかし、製造禁止・使用禁止になったのはごく最近…

P‐FASが商業利用され始めたのは、1950年代からですが、P‐FASの一部に有毒性があることは、使用する米国の大手化学メーカー・デュポンや3Mでは、当時から動物実験で認識されていたといいます。

それでありながら、ガンガン製造を続けてきたのです。

こうした企業内では、製造工場内での人体への汚染なども確認されていたものの、世間で問題になり始めたのは、なんと2000年代に入ってからだったのです。

そこから、さまざまな住民生活に悪影響を及ぼす事例が次々に明らかになり、P-FASへの危険性が一般にも認知され始めたのです。

そして、製造や使用を自粛する企業が続々現われ、結果的に米国でP-FASメーカーへの集団訴訟が提起されたのは、ずっとあとの2018年になってからでした。

P-FASの中でも、とりわけ分解されにくく、蓄積が問題視され、現在は国際条約でその製造と使用が禁止されているのは、「PFOS」「PHOA」「PFH×S」の3種です。

近年、日本では環境省が東日本と西日本の河川や地下水で調査を行ったところ、国の基準を超える値で、これらの物質が次々見つかり、その地域は139地点にものぼったのでした。

たとえば、PFOSやPFOAの1リットル当たりの日本の水道水の含有基準値は、50ナノグラムですが、次の通り、全国各地の地下水や湧き水では、基準値を大幅に超える汚染が明らかになってきたのです。

大阪市5,500、摂津市(大阪)1,855.6、大分市1,800、宜野湾(沖縄)1,303、綾瀬市(神奈川)1,300、嘉手納(沖縄)1,188、名取(宮城)790、立川(東京)640、調布(東京)556、府中(東京)450、金山落(千葉)349、明石川上流(兵庫)260、引地川(神奈川)248.5、手賀沼191……などなどといった状況です。

日本の工場地帯の他に、米軍基地のある神奈川、沖縄、東京などで汚染地域が数多く見つかっているのです。

米国での基準値はどうなっているかといえば、水道水の基準値は、なんと「1リットル当たり4ナノグラム」という非常に厳しい数値になっています(2023年から)。

日本の基準値1リットル当たり50ナノグラムと比べると、その差は歴然です(ただし、WHOの基準は健康被害が明確でないという理由で、水道水の基準値は1リットル当たり100ナノグラムという能天気な数値です)。

アメリカでは、各軍が周辺地域への汚染の責任を認め、地域住民への損害賠償だけでなく、地下水位の流れに巨大フィルターを設置して、地下水への浄化に務めるなど、あらゆる形で対策に取り組んでいます。

そして米国政府も、P-FAS対策に1兆3,000億円の巨額予算を組んでいます。彼我の違いには驚かされるのです。

日本では自治体予算で数十億円の対策費も、米軍は一切関知しない態度…。政府・自民党もダンマリを決め込むだけ

とりわけ、日本国内でも、米軍基地との関連性が強く疑われるのが東京・多摩地域や神奈川、および沖縄県内です。

水道水に使用している井戸水や河川から基準以上のP-FASが検出された事例がすでに広範囲に何度も見つかり、これまで私たちの飲み水にまで影響が及んでいる実態が明らかになったのでした。

前述の通り、2023年3月時点で、米環境保護局は飲料水におけるPFASの生涯健康勧告値(生涯飲用し続けても健康に影響がないとされる値)を1リットル当たり70ナノグラムから4ナノグラムへ大幅に厳格化する方針を発表しました。

そしてこれを受け、日本においても水道水質基準におけるP-FASの暫定目標値(現在:1リットル中50ナノグラム)の見直しが検討されています。

こうしたことから、最近になってやっと調査や検査をはじめ、研究が活発に行われるようになってきたのが日本なのです。

日本国内では、P-FAS使用の製造工場周辺では、土壌や河川、地下水などの汚染が次々と発見されてきました。

しかし、それ以上に汚染が広範囲に及んでいたのが、米軍基地周辺だったのです。

東京の多摩地域や神奈川、沖縄県内の水道水に使用される河川や井戸水からは、基準以上のP-FASが検出された事例が続々と出ています。

すでに、水道水の取水を止めても、それ以前からの水道水によって、私たちの健康にまで被害が及んでいることは明白でした。実際、該当地域の水道水を飲んでいた人たちには、P-FASの血中濃度が高い人が続出したのです。

P-FASは水に溶けやすいため、工場の排水や米軍基地からの漏洩した地下水や河川の汚染がそのまま水道水の水質悪化にも直結します。

環境省の発表では、38都道府県の河川や地下水など1258地点の調査において、16都府県の111地点で1リットルあたりのP-FASの濃度が50ナノグラムとする国の値を超えていたのでした。

これらの状況から農林水産省も、国内流通の食品に含まれるP-FASの実態調査を開始することを発表しています。

たとえば地下水では、大阪府・沖縄県・東京都などが上位に位置しています。指針値の10倍(500ナノグラム/リットル)を超えたところも全国で13か所にのぼっているのです。

全国では、河川などの公共用水域で64か所で指針値を超過、地下水で75か所で指針値を超過、東京では37か所で指針値を超えているのです。

つまり、このことから、全国にある米軍基地周辺では、その面積の数百倍もの広い地域に汚染が拡大していることが分かってきたのです。

Next: P-FASがもたらす恐ろしい健康被害とは?

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