銀行株暴落理由1:海外貸出の鈍化
MUFGの貸出金の推移を見てみると、約半数は海外貸出です。

出典:決算説明資料
近年の成長を支えた米国で景気後退が訪れる場合、MUFGの貸し出す先が少なくなる可能性があります。景気後退→企業の設備投資など資金需要の減退→貸出先が縮小→銀行の成長が止まるのでは?というロジックです。加えて、製造業と同じように円高によって利益が目減りすることも考えられます。(MUFGの海外売上比率は50%を超えています)
つまり景気後退と円高によって、海外における成長が鈍化する可能性が高まり、銀行株が売られたと考えます。次は、日本国内に目を向けてみます。
銀行株暴落理由2:利上げ期待の縮小
そして、もう1つは「利上げ期待の縮小」です。
この23年から銀行株の株価が上がっていた理由は、海外の利益拡大によるものに加え、日本における金利上昇シナリオへの期待がありました。
しかし、いざ金利を上げるとなると円高に繋がり、日本を引っ張ってきた海外売上比率の高い企業の収益悪化が懸念されます。株安によって消費者マインドも悪化してしまう可能性も考えられます。結果的には、日銀の植田総裁が利上げの発表を行ったことで、利上げを行うデメリットが鮮明になっているように見えます。
実際に2年債利回りは急落しています。

出典:Investing
この状況から市場は、「日銀が金利を上げるのは難しい。銀行の収益は増えない」と認識したと思います。そのため、利上げの発表があっても、利上げに対する期待が減少し、銀行株が売られる展開となっています。
先に述べたように、この2年の株価上昇の背景には「日本でも金利が上がるのではないか?」という期待で株価が上昇していました。
しかし、いざ金利が上がると「材料出尽くし」となったわけです。言い換えるならば、株価は「噂で買って、事実で売れ」―そんな動きになったと言えそうです。
これらが銀行株が暴落した要因だと考えます。次は、長期目線で銀行に投資することを考えてみましょう。