長期的に銀行株に投資すべきか
銀行株は消費者にとって身近であり、配当利回りも高いという理由で人気の投資先の1つです。
ここで考えたいのは、長期的に銀行株に投資するメリットです。私は以下のようなものがあると考えます。
- 製造業やサービス業など他業種と比較し、業績には安定感がある(ただし、リーマンショックのような金融混乱期には大きなダメージ)
- その安定的な収益から生み出される配当金を受け取れる
- 景気好調局面では利益を伸ばしやすい
一方で、以下のようなリスク、デメリットがあります。
- 今回のように金利動向の影響を受けやすい
- 事業の成長性や資本収益性は決して高くない
- 現在は金利上昇という成長期待も剥落している
- 運用の実態が外部から観察しづらく、突発的な損失が出る可能性(あおぞら銀行など)
〜あおぞら銀行の急落〜
同社の時価総額は年初来で約3割減少している。 あおぞら銀は1日、米国オフィス向けの不動産融資で損失に備える追加の引当金計上などを行うため、今期の純損益が一転して280億円の赤字に陥る見通しだと発表した。
※参考:あおぞら銀株3年ぶり安値、赤字転落の売り続く-時価総額3割減 – Bloomberg(2024年5月29日配信)
したがって、銀行株の特性と現状を考えると
「経済・景気の悪化が起きなければ、安定した配当を受け取れるメリットがある。しかし基本的には事業の成長性は高くなく、現在は金利上昇に伴う業績拡大期待は弱まった」
このように言えると考えます。銀行株へ投資することを否定する訳ではありませんが、それに何を求めるかが重要になると考えます。配当が欲しいのか?事業成長に期待するのか?景気・金利動向のリスクを許容できるのか?この辺りを自身で噛み砕く必要があるでしょう。
これらの情報をもとに、銀行株に投資するべきか考えてみてください。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年8月2日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。