今から買える?
IPOは“人気化”が肝で、抽選になると当然外れる人が出てきますが、外れた人にとっては「逃した魚は大きい」という気持ちになり、上場してから通常の取引に中で買う人が増えます。(セカンダリーマーケット)
こうして、初値は上がりやすい傾向となります。
初値の価格は企業の実態とはあまり関係ない場合もあり、IPOへの投資は心理の読みあいも絡んできて難しい部分が大きいということは覚えておきましょう。
上場直後は1,700円を超えるほど高い水準で取引されていましたが、PERは18倍を超え他の私鉄と比べて高くなりましたし、利回りも下がりました。
PERには成長性が反映されるものですが、東京メトロに成長性はあまり感じられません。
現存の地下鉄自体は日々人々が利用することによって運賃収入があり安定していますが、これから新しく線路を増やそうとすると莫大なお金がかかるので、路線を増やしても利益が出ない可能性もありますし、地下なのでJRや他の私鉄のように不動産事業もできません。
安定企業、配当銘柄としては良いかもしれませんが、成長はあまり望めません。
株価は上がらない前提で、2.5%程度の配当を受け取るという銘柄かなと思います。
安定感はありますが、PERも高く、下落リスクがある割にはメリットが弱いとなりますし、成長も期待できないので、今から買うこともないと思いますし、持ち続けて配当を受けるにしても他にもっと良い銘柄があると思います。
IPOとの付き合い方
ここからはIPOの一般的な話になります。
繰り返しになりますが、IPOは初値は上がりやすいです。
抽選で当たったとして、その後持ち続けるべきかを判断する必要がありますが、基本的には初値で売るくらいが手堅いと思います。
IPOで盛り上がり、初値は高くなりすぎることが多いです。
その後の株価推移を見ると、目もあてられないような状況になっていることが少なくありません。
「庶民のIPO」のデータによると、2024年に上場した企業で、初値より上昇しているのは13社、下落しているのは47社となっていて(2024年11月4日時点)、大部分が初値より下落していることになります。
今年に限らず、初値より上昇している企業は2~3割で、大半は下落しているということです。
私の感覚では、最初に人気化した企業ほどその後は下落が続いている印象です。
この統計で興味深いことは、公開価格と現在の株価の比較です。
公開価格は証券会社がその会社の財務状況やすでに上場している同業他社と比較して割り出すものなので、ある程度妥当な価格となります。
公開価格と現在の株価を比べると、上昇している企業と下落している企業がほぼ半々となっています。
つまり、公開価格が高すぎることはあまり無く、一方で多くの場合は初値で大きく上がってあとは下がっていく動きになっているということです。
もちろん例外はありますが、IPOの抽選に申し込んで当たったら初値で売るということが一つの正解と言えると思います。
今回の東京メトロは規模が大きいので抽選に当たった方も多いかと思いますが、小さい企業のIPOは当たることがかなり稀であり、宝くじに申し込むような感覚でいるのが良いと思います。
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