トランプ大統領の真の目的とは?
私の見立てでは、トランプ大統領にとって最も重要なのは、自身を支持する白人労働者層や農場主、自営業者などの支持を繋ぎ止めることだと考えています。
彼らにとって、トランプ大統領が彼らの味方であることを示すために、関税は分かりやすいアピール手段なのかもしれません。トランプ大統領自身が「タリフマン(関税男)」と自称するほど、関税に強いこだわりを持っていることからも、それは伺えます。
経済のプロも警鐘!この相互関税はとにかくヤバい
経済を少しでも学んだ方ならお分かりいただけると思いますが、相互関税がアメリカ経済にとって良いはずがないと私も強く思います。おそらく、これから各国政府もアメリカに対して、このような政策をやめるように強く働きかけていくでしょう。
なぜなら、関税は自国に不利なだけでなく、誰の利益にもならないからです。経済学の議論でも、関税は経済全体の縮小を招くことは基本的な知識であり、大学の経済学の授業でも最初に学ぶことです。
率直に言って、トランプ大統領の現在の政策は、自身の支持を得るために自らの首を絞めている状況ではないかと私は感じています。
インフレと景気悪化のダブルパンチ?スタグフレーションの現実味
アメリカは現在すでにインフレ(物価上昇)に苦しんでいますが、そこに相互関税が加わることで、さらなる物価上昇は避けられないでしょう。
これまでのような経済成長に伴うインフレであれば、賃金の上昇も期待できましたが、現状では賃金が頭打ちです。この状況で関税によって物価が上がれば、国民生活はさらに苦しくなり、スタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)が現実のものとなる可能性があります。
景気悪化の兆候が見られる中で、通常なら中央銀行(FRB)が金利を引き下げることで景気を刺激しますが、インフレが継続している場合は金利を下げることができません。インフレ時に利下げを行えば、さらなるインフレを招くリスクがあるからです。
金利が下げられないとなると、株式市場も低迷し、景気が悪いのに物価が上がるという最悪のシナリオが現実味を帯びてきていると、私は強く感じています。
世界経済への波及は避けられない!先行き不透明な時代
アメリカ経済が悪化すれば、世界経済も大きな影響を受けるのは必至です。世界恐慌とまではいかないかもしれませんが、先行きが見えない経済状況が長く続く可能性は十分に考えられます。
投資家として一番嫌なのは先行きが不透明なことです。少しでも見通しが立てば、金利の低下などが投資のきっかけになりますが、不透明な状況では資金が逃げ出し、株価が低迷する可能性があります。企業の投資判断も鈍り、リーマンショックのような状況が再来してもおかしくないと、私は危惧しています。
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