決算発表があったオリエンタルランド<4661>を取り上げます。特に話題になっているのが、ディズニーのワンデーパスポートがもらえるという65周年記念の特別株主優待です。これまでの株主優待は、100株保有していても3年間の長期保有が必要でしたが、今回の特別優待は特定の基準日(2025年9月30日)に保有していればもらえるようになります。この特別優待の詳細や、株主優待目当てでの投資、そして最新の決算内容を踏まえたオリエンタルランドへの投資判断について詳しく解説していきます。ディズニーやオリエンタルランドへの投資に興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
株主優待は3種類
まず、オリエンタルランドには現在大きく分けて3種類の株主優待があります。
【通常の株主優待】
保有期間に関係なく、保有株数に応じてパークチケットが与えられる優待です。ただし、この優待でパークチケットをもらうためには500株以上を保有する必要があります。現在の株価水準(約3,000円)で考えると、500株だと約150万円以上の投資が必要になるため、優待をもらうことだけを目的とするのであれば、正直コストパフォーマンスはあまり良くないかもしれません。
【長期保有優待】
多額の資金を投資できない方のために設けられているのがこの長期保有優待です。100株以上を3年以上継続して保有することで、パークチケットがもらえるという仕組みです。例えば、30万円ほど投資して3年間持ち続ければ、初めて1枚パークチケットをもらえ、その後は毎年もらえるようになります。
【65周年記念特別株主優待】
そして、今回新たに設定されたのがこの特別株主優待です。これは、100株以上を保有し、かつ2025年9月30日時点の株主である方に対して、ワンデーパスポートが1枚、2025年12月頃にプレゼントされるというものです。
現時点から購入したとしても、わずか約4ヶ月〜5ヶ月程度の保有でパークチケット1枚をもらえるため、非常にお得な限定優待と言えるでしょう。100株購入は約30万円程度で可能であり、ワンデーパスポートの価格(約1万円程度)を考えると、優待利回りは約3%になります。これは、オリエンタルランドのチケット優待としては非常に高い利回り水準だと思います。
ただし、この特別株主優待は、あくまで今回限りの実施であるという点が明記されています。毎年もらえる優待ではないので、その点は注意が必要です。
なぜ特別優待が出た?最新決算から読み解く背景
なぜ今回、突如としてこのような特別優待が設定されたのでしょうか?おそらく、直近の決算の見通しがあまり良くなかったことが関係していると考えられます。
オリエンタルランドの株価は、この1年ほど下落傾向にあります。

オリエンタルランド<4661> 日足(SBI証券提供)
こうした状況で、何も対策を打たずに減益予想を発表すれば、さらに株価が大きく下落してしまう可能性が高いです。今回の特別優待は、そうした株主への配慮として追加されたメッセージであるという見方もできます。
<好調だった2025年3月期決算の要因>
では、具体的な決算内容を見ていきましょう。まず、2025年3月期の決算は非常に好調でした。売上高は約6,700億円で過去最高を記録し、営業利益も約1,700億円と好調でした。
この好調の要因は何だったのでしょうか?やはり、オリエンタルランドの主要事業であるテーマパーク事業の売上が重要となります。入園者数は前年比わずか0.2%増と、それほど大きくは伸びませんでした。コロナ禍明けで盛り上がっているような印象がありましたが、実際の増加は小幅だったようです。
一方で、注目すべきはゲスト一人当たりの売上高が約7%も増加したことです。今回の売上増加は、ほとんどがこの一人当たり売上高の増加によるものと言えます。
一人当たり売上高が増加した内訳を見ると、特にアトラクションやショー収入が大きく伸びています。これは、「ディズニー・プレミアアクセス」の利用が増加したことが影響しています。「ディズニー・プレミアアクセス」とは、かつてのファストパスのようなもので、人気アトラクションに追加料金を支払うことで、待ち時間を短縮して利用できる有料サービスです。
このプレミアアクセスの利用が伸びた背景には、ディズニーシーに新エリアである『ファンタジースプリングス』がオープンしたことが考えられます。新エリアには人気のアトラクションが多くあり、そこに乗りたいゲストが、お金を払ってでも早く乗りたいということで課金したと考えられます。新エリアへの集客が、ディズニーシー全体のプレミアアクセス利用増加につながった可能性もあります。タイパを考えると、有料であってもプレミアアクセスを利用する方が合理的だと考えるゲストが増えているのでしょう。