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決算書で丸わかり。「Yogibo」日本代理店が米国本社を買収できた3つの勝因と世界戦略=シバタナオキ

ビーズクッション「Yogibo」の日本代理店が米国本社を買収したことで話題になりました。なぜ下剋上とも言える買収が成功したのか?決算書の数字をもとに解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※筆者注:この記事は カネコシンジさん(企画・リサーチ担当)とhikoさん(ライティング担当)との共同制作です。

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2022年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

Q. Yogibo日本代理店は、なぜ米国本社を逆買収できたのか?

A. 触らないと分からなかった「Yogibo」の良さを、ポップアップストアで市場に浸透させ、利益率の高いEC化率の高いビジネスモデルに転換したことにより、高収益なビジネスに作り変えたため。

グローバルガールズグループ・NiziU(ニジュー)がテレビCMでやっていることでお馴染みの米国Yogibo LLC(以下、Yogibo社)を、日本総代理店であるウェブシャーク社が2021年12月に買収しました。買収金額は非公開ですが、100億円超とも言われています。

今回は、なぜ日本のYogibo代理店ウェブシャーク社が、Yogibo社(米国本社)を買収できたのか。その要因を以下の3つの切り口で整理します。

1. Yogibo社とウェブシャーク社の成り立ちと、業務提携のストーリー
2. ウェブシャーク社の決算書から日本での高収益のビジネスの仕組み
3. 市場環境やなぜ買収ができたたのか、またこの買収の面白さ

代理店が本社を買収した他の例も最後にまとめましたので、ぜひ最後まで読んでください。

まずは、Yogibo社とウェブシャーク社について整理しましょう。

米国Yogibo社とは

Yogiboは2004年に、創業者のEyal Levy氏が妊娠中の妻のためにうつ伏せに寝ても楽になるビーズソファーを開発したことで誕生した製品です。2009年の創業までは、Eyal氏は会社に勤めながら、自宅の地下室でビーズソファーの製作と販売を実施し、2009年よりアメリカ ニューハンプシャー州にYogibo社として創業しました。

その後、2010年にマサチューセッツ州で1号店を皮切りに、現在ではアメリカ、カナダ、韓国、台湾、タイ、シンガポール、オランダ、日本と世界8カ国、130店舗(日本は86店舗)の規模となっています。Yogibo社の面白いところは、この規模でも上場せずに合同会社のままであるところです。

Eyal Levy氏/出典:( yogiboホームページ より)

Eyal Levy氏 (出典:yogiboホームページ

ウェブシャーク社(日本の総代理店)とは

ウェブシャーク社は、1996年にブランド古着と雑貨のお店『FURIMAYA』を創業しました。その後、1998年にはブランド古着のEC『map-sytle.com』を開店しています。

アマゾンが日本に展開してきたのが98年の8月なので、かなり早い段階からEC事業をスタートしており、EC事業のノウハウが蓄積されていることが伺えます。

その後、2002年にアフィリエイトサービスプロバイダ「電脳卸」を開始しました。その後も美容関係のECサービスやメルカリのような不用品の交換サービス等を展開しています。

日本にアフェリエイトが最初に入ったのが1999年なので、市場が大きくなる前の段階からマーケティングによって市場を作っていくところが、ウェブシャーク社の特徴のようです。

そして、2014年に米国Yogibo社と日本総代理店契約を締結して現在に至ります。

現在、Yogibo以外の事業としては、2020年からはエッグウィッチと呼ばれる、ハンバーガーのバンズを卵で代用したアメリカ生まれのヘルシーバーガーの日本導入を推進しています。

Next: Yogiboピーズチェアは世界市場1位。2位の「無印」を大きく離している

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