<増収減益となる2026年3月期見通しとその理由>
では、なぜこれほど好調だったにもかかわらず、今期の見通しはあまり良くないのでしょうか?会社側は、売上高は2%増加する予想ですが、営業利益は7%の減益(増収減益)を見込んでいます。最終利益も減益の見通しです。
その主な理由は、コストの増加です。
コスト増加の内訳としては、システム関連費用、エンターテイメント関連費用、メンテナンス費用といった一過性のコストが増加していて、また、今後の成長のための投資に伴うコストも増えています。例えば、新たな施設を作るための投資などが含まれます。
一方、売上の伸びは鈍化傾向にあります。オリエンタルランドの売上高は「入園者数×顧客単価」という式で表せます。過去10年間を見ると、顧客単価の伸びが売上高を牽引してきました。しかし、2025年実績と2026年予想を見ると、入園者数は2,765万人から2,800万人へとわずかな増加予想、顧客単価も1万7,800円から1万7,700円へとほぼ横ばいか微減の見通しとなっています。
つまり、売上を構成する両要素の伸びが鈍化していることが、売上全体の伸び悩みに繋がり、コスト増を吸収しきれない状況です。会社側も、今後の入園者数の勢いについて慎重な見方をしているのかもしれません。
短期リスク:夏場の暑さ
短期的なリスクとして気になるのが、夏場の暑さです。昨年の2025年3月期の決算を見ても、夏場の入園者数が予想を大きく下回った時期があり、その理由として「暑さで人が来ない」という点が挙げられていました。
会社側は、水を使ったイベントを積極的に行うなどの対策を検討しているようですが、これは本質的な解決策とは言えないかもしれません。テーマパークは屋外施設であるため、どうしても天候に左右されてしまいます。特に、ハロウィーンやクリスマスといったイベントで売上が大きく伸びる下半期に対し、閑散期となりがちな上半期にいかに集客するかが大きな課題となります。現在のところ、この課題に対する明確な対策は見えていないのかもしれません。
長期経営計画:2035年度に売上高1兆円を目指す
では、もっと長い目で見た時、オリエンタルランドは今後どうなっていくのでしょうか?実は、今回の決算発表のタイミングで、長期経営計画が示されています。
その中で掲げられた最も大きなメッセージは、2035年度に売上高1兆円超を目指すという目標です。2025年3月期の売上高は約6700億円でしたから、この10年間で年間平均約4%強の成長が必要になります。過去10年の売上成長率が約3.8%だったことを考えると、今までよりも速いペースでの成長を目指すことになります。
この目標達成のために、オリエンタルランドは大きく2つの柱で成長を目指します。