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株価急落「住友林業」配当利回り4.3%に…今が長期投資の好機か?短期逆風も長期的なM&A成長戦略に注目=元村浩之

<金利上昇とリモートワークの影響>

この状況の変化には、金利上昇に加え、リモートワークからの回帰といった要因も影響していると考えられます。

GoogleやAmazonのような大手企業が完全リモートから出社を求めるようになったことで、人々の移動(人流)に逆回転が起きています。これにより、郊外に移り住むために購入した住宅を売却し、都心部へ戻るといった動きも出ており、これも売り物件が増える一因となっているようです。

このような動きは、住友林業にとってはネガティブな方向で働く可能性があります。

住友林業の米国事業:ハイエンド戦略とレートバイダウン

住友林業は日本国内では木造住宅の上位価格帯というイメージがありますが、米国でも比較的ハイエンドなポジショニングで住宅を展開しています。米国で買収した住宅ビルダーによって若干異なりますが、一般的に設計の自由度が高く、デザインや間取り、素材選びなど、米国の一般的な住宅ビルダーと比べて選択肢が多い点が特徴です。

しかし、マクロ環境の厳しさは、住友林業の直近の業績にも現れています。直近の決算では、売上高はもちろん、利益率が前年同期と比べて低下しています。これは主に「レートバイダウン」と呼ばれる、金利の肩代わりを行っていることが要因です。

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金利が6%や7%で高止まりしているため、そのうち2%程度を住友林業が負担することで、新築住宅を動かそうとしています。これは、かつて需要が豊富にあった時代とは状況が大きく異なってきたことを示しています。

<販売個数と受注の状況>

直近の資料を見ると、販売個数もやはり低下しています。

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これは、実際に引き渡された戸数ベースの業績ですが、今後も厳しい状況が続く可能性を示唆しています。一方で、受注については若干下がっているという状況です。

住友林業の見通し:慎重な姿勢

今後の見通しについて、住友林業自身はどのように考えているのでしょうか?

Q&A資料によると、レートバイダウンの利用率は全体の約4割程度にとどめており、極端に多用しているわけではないようです。

しかし、資料全体を見ても、今後の政策の方向性や経済見通しの解像度が高くならない限り、需要は動きにくいと考えていることがうかがえます。これは、同社自身も現在の状況を慎重に見ていることの表れと言えるでしょう。

住友林業の長期的な強み:M&Aとサプライチェーン

足元の景気後退懸念がある中で、住友林業を長期的な視点で見ると、どのような強みがあるのでしょうか?

住友林業はM&Aを通じて成長してきたという背景があります。米国やオーストラリアの住宅ビルダーを買収し、着実に業績を伸ばしてきました。これが可能だったのは、同社が時価総額1兆円に迫る規模感を持つ企業であり、リーマンショック後に資金供給を通じて買収先を支援する力があったからです。

さらに、住友林業は自社で建材や木材を調達する術を持っており、買収した企業にも自社のサプライチェーンを提供できる仕組みがあります。これにより、買収した個々の企業を再生・成長させていく力があると考えられます。

つまり、今後米国の住宅市況が悪化し、中小の住宅ビルダーが苦しくなった場合、住友林業にとっては安価に買収するチャンスになり得るということです。そして、景気が回復した際には、コストを抑えながら質の高い住宅を提供することで、再び成長を加速させることが期待できます。

このような再現性の高い仕組みを持っていることが、この会社の長期的な強みと言えるでしょう。

米国住宅市場の魅力:人口増加と供給不足

そもそも、なぜ住友林業は米国市場に進出しているのでしょうか?

米国の住宅市場は中古住宅が中心ですが、新築ビルダーが進出する余地は十分にあります。日本の住宅ビルダーの技術力が米国と比べて優れている点に加え、日本の住宅市場が成熟、あるいは衰退産業となっている(着工件数が伸びない)という背景があります。このような状況から、海外市場への進出は必然だったと言えます。

米国市場の魅力は、先進国としては珍しく、移民の受け入れも含めて人口が増え続けている点です。特にZ世代やミレニアル世代といった、今後住宅が必要となる年代層が厚く存在します。

さらに、米国では慢性的な住宅供給不足が続いています。一般的に400万戸から500万戸程度の住宅が不足していると言われています。これに加えて、新たな世代からの需要が年間150万戸から200万戸程度生まれ続けるのに対し、住宅供給が追いついていません。つまり、米国は長期間にわたり住宅供給不足が続く市場であり、この点でも非常に魅力的です。

Next: 住友林業は買い?今後の配当はどうなる?プロの判断は…

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