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株価急落「タカラトミー」は買いか?バンダイナムコとの差は?弱者が生き残るニッチ戦略の全貌=佐々木悠

タカラトミーの歴史と主要商品:定番品とボーイズアクション

タカラトミーは非常に歴史のある会社です。始まりは1924年の「トミー」と、1961年にプラレールやリカちゃんを発売した「里藤ビニール工業」(後のタカラ)の合併によって、現在のタカラトミーが誕生しました。

プラレールやリカちゃん、トミカなどは、今でも販売が続く昔ながらの日本の定番玩具です。トミーは1970年代から80年代にかけて積極的に海外展開を進めましたが、プラザ合意による急激な円高でダメージを受けた過去もあります。

現在のタカラトミーの売上構成を見ると、「ボーイズアクショントイ」が圧倒的に売上を伸ばしています。

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これにはベイブレードやトレーディングカードゲーム、そしてトミカなども含まれます。一方で、リカちゃんなどのガールズファッションや、プラレールを含むプリスクール向け玩具は、ボーイズアクションほどの伸びは見せていません。

大人が牽引する「キダルト市場」の拡大

タカラトミーの成長を支えた「キダルト」というキーワードは、実はタカラトミーだけの話ではなく、日本全体の玩具市場で顕著なトレンドとなっています。2023年度には、日本の玩具市場規模が初めて1兆円を超えました。

この市場拡大は驚くべきことです。なぜなら、15歳未満の人口は少子高齢化の中で減少し続けているからです。この人口減少と逆行するように市場規模が拡大しているのは、明らかに大人が玩具を購入するようになったためと考えられます。

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この現象の背景には、コロナ禍でアニメを見る時間が増えたり、トレーディングカードゲーム、たまごっちのリメイク、ガンプラなどが好調だったことが挙げられます。また、自分と向き合う時間が増え、子どもの頃好きだった趣味に再び没頭する大人が増えた影響もあるかもしれません。結婚や子育てにお金を使わない分、ホビーに資金が流れているという見方もできます。

ベイブレードの大会では、6歳から12歳の子どもだけでなく、大人も参加可能な大会が開かれ、アジア各国で人気を博しています。人気YouTuberのはじめしゃちょーもベイブレードの大会に出場するなど、子どもだけでなく大人にも影響力が広がっていることが分かります。

競合との比較:バンダイナムコとタカラトミーの戦略の違い

おもちゃ業界におけるタカラトミーの主要な競合として、バンダイナムコが挙げられます。両社を比較すると、その違いが明確になります。

<バンダイナムコ>

おもちゃだけでなく、ゲームや映画など幅広いコンテンツを手掛ける総合エンターテイメント企業。ガンダムやアイドルマスターが主要なIPであり、ドラゴンボール、ワンピース、ウルトラマンなど他社IPの玩具も多く製造しています。売上高は1兆2,400億円で、タカラトミーの約4~5倍の規模を誇る「王者」と言える存在。

<タカラトミー>

玩具が事業の中心です。トミカ、リカちゃん、ベイブレードといった自社独自の商品が強い。ポケモン、ディズニー、サンリオ、スターウォーズなどの他社IPの商品も手掛ける。売上高は2,500億円。

 

規模の面では、タカラトミーはバンダイナムコには及びません。他社IPの視点から見ても、規模が大きく、コンテンツの幅も広いバンダイナムコと組む方が、IPホルダー側にとってはメリットが多いように見えます。

Next: タカラトミーの「弱者の戦い方」とは?今後の展望と投資戦略

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