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株価急騰「ソフトバンクグループ」今からでも買い?孫正義のAIフルベット戦略を長期投資家はどう判断すべきか=栫井駿介

AI時代に向けた戦略投資と「スターゲート計画」

ソフトバンクグループはOpen AIへの巨額投資以外にも、AI時代に不可欠な分野へ積極的に手を広げています。

  • Ampere Computing
  • 2025年3月に出資。Armが半導体の前工程設計であれば、Ampere Computingは後工程設計を担い、半導体分野を強化しています。AIと半導体は切り離せない関係にあります。

  • インテルへの戦略的投資
  • アメリカ政府との付き合いを円滑にする目的もあり、インテルの立て直しをサポートしています。

  • ABB ロボティックス事業
  • 2025年10月に出資。AIが「頭脳」であるのに対し、最終的に「物」を動かすロボット分野に参入。AIの次にはロボットが社会変革の主要な流れとなるとの見方があり、SBGはAIの登場によって変わる未来の予想図をそのまま実行している状況です。

特に注目すべきは、Open AIと共に行う「スターゲート計画」です。これは巨大AIインフラ構想であり、アメリカ国内でデータセンターと電力発電所を一体的に建設し、AIを動かすためのインフラを整備する計画です。これにはオラクルなどの企業も参加しています。

このインフラ投資は、かつてソフトバンクがボーダフォンジャパンを買収し、日本国内に基地局というインフラを整備し、通信料という形で回収を図った成功体験に似ています。AIが同じ道をたどるならば、データセンターを確保することで、将来的にAI利用料から収益を徴収できるようになるという考え方に基づいていると推測されます。

リスク分析:いつ収益化できるか?

ソフトバンクグループの投資戦略は、大規模な投資を先行させ、後から回収するという点で筋が通っていますが、金額が非常に大きいというリスクがあります。

特にOpen AIへの投資には大きな不確実性が伴います。

  1. 収益性の不透明さ
  2. Open AIは現在、赤字を垂れ流している状況で、費用は売上の2倍に達すると言われます。いつ黒字化できるのかが大きな問題です。

  3. 競争と覇権のリスク
  4. Open AIが果たしてAI分野で覇権を握り続けられるのかという懸念があります。Googleなど、多少赤字が出ても投資を続けられる巨大企業との競争が激しく、値下競争に陥る可能性もあります。

  5. インフラ整備の遅延リスク
  6. スターゲート計画のように、データセンターを動かすには電力、土地、そして半導体(GPU)が必要です。GPU価格や電力価格の高騰に加え、直近では中国がレアアースの輸出規制を行うなど、物理的な資源の制約によってデータセンターの整備が間に合わない場合、AIの普及が長引く可能性があります。

AIが広く使われる時代が来るのは間違いないでしょうが、問題はそれが「いつ」になるかです。収益化までの期間が長引けば長引くほど、現時点での投資効率は悪化していきます。かつて2000年頃のインターネットバブルのように、実態が追いつくまで時間がかかり、一度バブルが弾ける可能性もゼロではありません。AIバブルが弾ける場合、ソフトバンクグループも連動して大きく下落するリスクがあります。

Next: ソフトバンクグループは買いか?長期投資のプロの判断は……

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