長期目標達成への懸念とバリュエーション評価
<2030年長期目標と現状の乖離>
ヤクルトは2030年に向けた長期目標として、年平均の営業利益成長率を、国内7.7%、アジア13%、米国5.5%と掲げています。
しかし、今年度は前年を割る業績となり、下方修正も実施されたため、この長期目標が現状の進捗状況で達成できるのかという懸念が生じています。会社が掲げる成長目標に対して実績が劣っているという事実が、投資家の失望感につながっている可能性があります。
<株価のバリュエーション評価>
現時点でのバリュエーションは、PER 16.2倍、利回り 2.57%です。
2023年のピーク時から見るとバリュエーション水準は下がっており、一見魅力的にも見えますが、これは業績の下落相応に評価水準が落ち着いたと考えるのが妥当でしょう。先行きの期待値が剥落した結果とも言えます。
まとめ:投資対象としてのヤクルトを慎重に考えるフェーズへ
今回の決算内容を見ると、個人的には成長どころか、業績の下げ止まりをなかなか見いだしにくい状況になってきたと感じました。
ヤクルトという会社を投資対象として見る場合、今後は「何をもってヤクルトに投資するのか」という点を慎重に考える必要があります。
それがヤクルトブランドの強さなのか、シロタ株(乳酸菌 シロタ株)のポテンシャルなのか、あるいはこれまでにないシロタ株の効能を認知拡大していく可能性なのか。
これまでの事業構造(ヤクルトレディのビジネスモデルなど)を抜本的に改善しない限り、現在と同じことをやり続けるだけでは、掲げた長期目標を達成するのは難しいだろうと判断されます。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年11月22日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。