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リソー教育グループ Research Memo(7):持株会社体制に移行、「こどもでぱーと」の展開により持続的成長目指す

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■今後の見通し

2. 成長戦略
(1) 持株会社体制への移行
リソー教育グループ<4714>は2025年9月に持株会社体制に移行した。学習塾業界では今後、少子化進行により業界再編や淘汰が進むと予想されるなか、個別の教育ニーズに対応する質の高い教育サービスの提供が一層重要になってきている。こうしたなか、今後も持続的な成長を目指すためには、各子会社において今まで以上に事業運営に注力できる体制を構築していくこと、また事業ポートフォリオ全体のリスクを俯瞰的に把握するとともに、経営資源を最適配分する経営体制にすることが必要と判断したためだ。

こうした経営環境の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現するため、より一層の経営の効率化を目指したグループ体制を構築すべく、2025年9月に持株会社体制に移行することを発表した。同社を(株)リソー教育グループに商号変更してグループ子会社の経営管理等を行う持株会社とし、学習塾事業、英語スクール事業及び生徒募集勧誘事業は新たに設立した(株)TOMASに承継する。

持株会社となる同社は、「広告・マーケティング部」「不動産管理部」を設置し、従来グループ各社が独自で行っていた広告発注やHP制作、不動産の探索や賃料交渉など重複していた業務を一元化することで、コスト削減に取り組む方針だ。

また、「DX推進部」を設置しグループ全体のデジタル基盤の強化と顧客サービスの最大化、利便性向上や業務効率向上を推進していく。同社は2024年2月期からグループ全体のDX戦略を推進しており、主なプロジェクトとして「グループ各社の顧客データベース統合」「手書きで作成しているレポートを情報端末で作成できるようにするシステムの構築」「顧客接点となるスマートフォンアプリケーションの開発」「教室・拠点間のネットワーク設備の増強」などに取り組んできた。

顧客データベースの統合は2025年6月に完了しており、今後同データベースを活用することで、顧客ニーズ(子どもの成長)に合わせたブランド横断的なアプローチによる顧客の囲い込み戦略をより効率的に進めていくことが可能となる。また、レポート作成業務のデジタル化も導入済みで、教務社員はDXによって削減した事務作業時間を生徒や保護者へのフォローアップ、営業提案などの時間に振り向けることで顧客満足の向上に取り組んでいる。スマートフォンアプリについては2027年2月期にリリースできる見通しで、利便性向上による顧客満足度の向上が期待される。

(2) 「こどもでぱーと」の展開
成長戦略の1つとして、ヒューリック、コナミスポーツとの3社共同プロジェクトである「こどもでぱーと」を首都圏で20棟展開していく計画だ。同ビル内には、同社グループの「TOMAS」「伸芽会」「伸芽’Sクラブ託児・学童」やコナミスポーツ等が入居し、乳幼児から高校生まで複数の教育サービスを同一拠点で提供する。同じビル内に子ども向けサービスが複数あることで、保護者の送迎負担も軽減される。また、「こどもでぱーと 中野」では保護者が待ち時間を過ごすためのカフェやピラティススタジオなども入居しているほか、コンシェルジュも配置していることから、顧客満足度の高いサービスとして注目が高まっている。同社にとっては、乳幼児から顧客を囲い込むことで顧客のLTV最大化とグループシナジーが期待できるため、収益の一段の成長につながる取り組みとして注目される。

現在、具体化しているプロジェクトとしては、2026年に自由が丘(目黒区)、2027年に本八幡(千葉県)と渋谷(渋谷区)、2028年に麻布(港区)が予定されている※。既に開業した2棟が好調な滑り出しとなっていることから、これら拠点についてもグループ生徒数の拡大に寄与するものと期待される。

※ 出所:こどもでぱーとホームページ 10月20日付NEWS

(3) 中期経営計画の進捗状況
同社は2025年2月期からスタートした3ヶ年の中期経営業績目標を発表しており、2027年2月期の目標として売上高38,260百万円、営業利益3,360百万円、経常利益3,360百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,000百万円を掲げた(同計画値には新規事業となる「こどもでぱーと」の効果を織り込んでいない)。営業利益率は2024年2月期の8.2%に対して2027年2月期は8.8%まで引き上げる。優秀な講師・正社員の採用、定着のための給与ベースアップによる人件費の増加を、広告宣伝費をはじめとした諸経費の最適化やDX推進による業務効率の向上で吸収する方針だ。

1年目となる2025年2月期は売上高が若干未達となったものの、各利益は超過達成した。2026年2月期は前期の流れを引き継ぎ売上計画について若干引き下げたものの、各利益は上方修正した。また、2027年2月期のROEは14.5%と2024年2月期の19.0%からやや低下するものの、引き続き10%以上の水準を維持する計画となっている。2026年2月期の各利益は上方修正した数値から未達となる可能性があるが、2027年2月期については持株会社体制移行によるコスト削減効果やDX推進による生産性向上の効果により、当初計画を達成する可能性は十分にあると弊社では見ている。

(4) 事業別の見通し
a) 学習塾事業
学習塾事業の売上成長率は年率3~5%程度を計画している。校舎展開については首都圏で年間3〜5校ペースで新規開校し、手狭となった教室については増床または移転リニューアルを実施する。「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については、「TOMAS」が進出しているエリアで需要が見込めると判断した場合に開校する。また、校舎数の拡大に加えて既存校における顧客サービスの徹底により、退会率を抑制し生徒数の拡大を図る。新規生徒の募集については、紙媒体広告をWeb広告に切り替えるなど費用対効果を重視し効率的に進める方針だ。

b) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業の売上成長率は年率1ケタ台前半の水準を計画している。家庭教師派遣の「名門会」は、大都市圏への集中展開と校舎のスクラップ&ビルドを推進するが、「TOMEIKAI」は地方の少子化進行を背景に生徒だけでなく学生アルバイト講師の獲得も難しくなっていることから新規開校は行わず、既存校の収益改善に取り組む。また、双方向型オンライン授業「名門会Online」については、「MOPS」での展開も進めながら生徒数を拡大し、2026年2月期から増収基調への復帰を目指す。

c) 幼児教育事業
幼児教育事業は年率5%前後の売上成長を目指す。「伸芽会」「伸芽’Sクラブ託児」「伸芽’Sクラブ学童」をそれぞれ年間1校ペースで開校する計画(伸芽’Sクラブ学童にはコナミスポーツ伸芽’Sアカデミーも含む)だが、実際には「こどもでぱーと」が2025年春よりスタートしたことから、校舎の増加ペースも加速する可能性が高い。「こどもでぱーと」では複数の教育サービスを同時に開校できるため事業効率の観点からメリットが大きいほか、親会社であるヒューリックの開発物件となっているため、賃料も同一エリアの他物件と比較して安価な水準で契約できる可能性があり、同社にとってはプラス要因となる。課題は校舎や教室の運営に必要となる講師やスタッフのリソース確保であり、これらが順調に進めば、幼児教育事業は同社の収益ドライバーになると弊社では見ている。

d) 学校内個別指導事業
学校内個別指導事業については、年率10%の売上成長を目指す。学校の進学実績向上や教師の長時間労働問題の解消に寄与するサービスとして全国の私立学校から問い合わせが入っている。将来的に導入校数を200校まで拡大することができれば、売上規模で60~80億円(2025年2月期34億円)程度が見込まれ、中期的に収益拡大に貢献する見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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