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エア・ウォーター、不適切会計で株価急落…買いの好機か?長期投資のプロが教える「危険な銘柄」の見分け方=元村浩之

危険な兆候をどう見抜くか

私たち個人投資家が、こうした事態を事前に見抜くことは至難の業ですが、いくつかの着眼点を持つことは可能です。

最も重視すべきは「キャッシュフロー」の動きです。
エア・ウォーターの売上と営業利益の推移を見れば、一見して綺麗な右肩上がりを描いています。

出典:マネックス証券

出典:マネックス証券

しかし、赤色で示される「フリーキャッシュフロー」を注視すると、規模が拡大しているにもかかわらず、全く伸びていないことがわかります。
M&Aによる出費があるにせよ、図体ばかりが大きくなって企業価値の根源であるキャッシュが溜まっていないという事実は、ひとつの警告として受け取るべきでした。

また、定性的な情報の収集も欠かせません。
統合報告書や経済誌のインタビューなどで、経営者が語る「言葉」に注目してください。
目標達成の執着ばかりを語るのか、それともエンドユーザーへの価値提供を具体的に語るのかで、企業の「性格」が見えてきます。
さらに、M&Aを繰り返す企業であれば、決算説明会の質疑応答などでアナリストが投げかける「PMI(買収後統合)はうまくいっているか」という問いに対する回答のニュアンスを追うことも重要です。
在庫の回転率や売上原価の不自然な変動に違和感を抱く感覚を養うことも、自衛手段となります。

長期投資において本質的に大切なこと

今回のエア・ウォーターの不祥事は、高い目標を掲げてアグレッシブに成長すること自体が、必ずしも正義ではないということを教えてくれました。
本来、社会貢献や健全な成長のためにあるべき企業理念が、いつの間にか「数字の辻褄合わせ」によって歪められてしまうリスクは、急拡大する企業において常に頭の片隅に置いておくべきです。

私たち長期投資家は、単に企業の成長スピードを競うのではなく、その成長が健全な土台の上に成り立っているかを、公開情報から読み解く努力を続けなければなりません。
ネガティブなリスクや内部統制の緩みに目を向けることは、より安全で実りある投資への第一歩となります。
今回の件をひとつの学びとし、より多角的な着眼点を持って、素晴らしい企業との向き合い方を深めていただければ幸いです。


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image by: chayanuphol / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年2月21日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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