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中国の恫喝「レアアース禁輸」を無力化。日本が科学力と外交で資源強国へ変貌する=勝又壽良

中国と縁を切って鞍替え

重点資源国25ヶ国には、それまで中国と関わりの深かった国がある。中国との縁を切って、日本との関係強化へ踏み切った典型例は、次の国である。

ナミビアは、かつて中国資本による鉱山開発が進んでいた。だが、日本との連携強化により、重希土類の精製拠点構築に舵を切った。

アルゼンチンは過去、中国企業によるリチウム投資が急増していたが、日本(豊田通商)や韓国、欧州企業の参入が進み、供給先の多様化が進行中である。

インドは過去、レアアースの精製を中国に依存していたが、日印間での鉱物資源開発協定の締結により、国内精製能力の強化に着手した。

以上は、中国の「搾取型」よりも、日本の「共創型」(ウイン・ウイン)を選んだ典型例である。これら国々は、日本の製錬技術を日本のODA(政府開発援助)資金によって移入し、同時に人材教育も可能であるという、「至れり尽くせり」の対応に満足しているのだ。

現在、25カ国の中で生産の即応性が高く、すでに日本へのレアアース供給を開始している、または供給準備が整っている国々として、以下のような国とプロジェクトが注目されている。

オーストラリアは、即応性でトップクラスである。ライナス社が代表的な存在だ。世界最大級のレアアース精製企業で、日本企業(JOGMEC・住友商事)が出資している。西オーストラリア州マウント・ウェルド鉱山から採掘されたレアアースを、マレーシアの精製施設で処理し、日本に供給している。すでに10年以上にわたり安定供給を継続中で、中国以外で唯一の大規模精製ルートを持つ即応国である。

カナダでは、精製能力の拡充が進行中である。サスカチュワン州でレアアース鉱床の開発を進行中である。日本企業との連携が模索されており、精製施設の建設が進めば中期的な供給源として有望である。

レアアースは国際公共財

日本は、以上のように重点資源国として25ヶ国との連携強化を進めてきた。この構想を西側諸国全体へ広げたのが、今回の「重要鉱物特恵市場(FORGE)」(8月稼働)である。諺に、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」というごとく、日本は自国だけの利害を乗り越えて、先進国全体のレアアース確保という共同戦略へ拡張した。重点資源国25ヶ国にとっては、さらに市場が拡大されて、より大きな利益を得られるという機会が与えられるのである。

重要鉱物特恵市場については、これまでも当メルマガで取り上げてきたが、新たな情報を加えていきたい。この構想の推進者は、日本である。需要国はレアアースが必需品であるだけにすぐに特恵市場へ参加した。ポイントは、鉱山国がどれだけ参加するかである。多くの鉱山国が参加しなければ、特恵市場(無関税)の意味は薄れるからだ。日本の組織した重点資源国25ヶ国が参加するだけでは、他の需要国の需要を賄えないのである。

ここで日本は、南鳥島のレアアースを全量、特恵市場へ提供する方針を決めたのだ。これまでの「資源囲い込み」という通念からみれば、まったく想像を超えた提案である。日本は、資源を「国際公共財」と位置づける。米国・EU・ASEAN諸国からは、「特恵市場構想の信頼性を支える模範」として高く評価されているのだ。ただし、日本企業の「優先取引」は認められる。

これは、他の鉱山国へも大きな刺戟を与え、50ヶ国もの鉱山国が参加する誘因をつくったとみられる。現状で、南鳥島のレアアース埋蔵量は1,600万トンで、今後さらに拡大見込みである。この一大鉱脈が、特恵市場へ提供されれば、世界最大市場としての厚みが加わる。安定市場になるのだ。

Next: 「無資源国」だった日本が、科学力によって一挙に「資源国」へ

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