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ファンペップ Research Memo(7):2026年12月期は研究開発費の減少により損失額が縮小する見通し

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■ファンペップ<4881>の業績及び財務状況

1. 業績動向
(1) 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、事業収益で0.3百万円(前期は6百万円)、営業損失で1,648百万円(同901百万円の損失)、経常損失で1,633百万円(同896百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で1,911百万円(同889百万円の損失)となった。事業収益は化粧品向け等の機能性ペプチドの販売額を計上した。費用面では、「SR-0379」及び「FPP004X」の臨床試験開始により、研究開発費が前期比755百万円増加し1,296百万円となったが、経費の抑制につとめたことにより、販管費は同13百万円減少の352百万円となり、おおむね会社計画どおりの進捗となった。また、連結子会社ファンペップヘルスケアの事業計画見直しに伴って関連する特許ののれんや契約関連無形資産、また有形固定資産の減損処理を実施したことで377百万円の特別損失を計上した。期末の連結従業員数は20名(派遣社員5名含む、研究開発部門は13名)で前期末比横ばいとなった。

(2) 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の業績見通しは、同社グループの事業収益が研究開発の進捗状況や提携候補先との交渉状況などによって大きく変動する可能性があるため、現時点では未定としている。費用計画は、「SR-0379」及び「FPP004X」の臨床試験費用、及び新規開発化合物の探索研究費等により、研究開発費は前期比496百万円減少の800百万円となる見通しである。被験者登録が完了した「FPP004X」に関する研究開発費が減少するほか、探索研究についても優先順位をつけて効率化を進める。販管費は同52百万円減の300百万円を見込む。減価償却費やのれん償却額が無くなることで41百万円の減少要因となるほか、経費の抑制を図る。

事業開発面では、引き続き製薬企業とのライセンス契約や共同研究契約等の締結に向けたアライアンス活動を推進する方針で、製薬会社からの提携収入等は発生する可能性がある。

第三者割当による新株式及び新株予約権の発行により資金調達を行う

2. 財務状況
2025年12月期末の財務状況は、資産合計が前期末比1,129百万円減少の1,980百万円となった。流動資産では、現金及び預金が577百万円減少したほか、貯蔵品が61百万円、前渡金が85百万円減少した。固定資産ではファンペップヘルスケアに関わるのれん及び契約関連無形資産を減損処理したことで無形固定資産が410百万円減少したほか、有形固定資産が8百万円減少した。

負債合計は前期末比46百万円減少の516百万円となった。未払金が63百万円増加した一方で、減損処理を実施したことにより繰延税金負債103百万円を取り崩した。純資産合計は同1,083百万円減少の1,464百万円となった。親会社株主に帰属する当期純損失1,911百万円を計上した一方で、新株予約権の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ407百万円増加した。

2025年12月期末の現金及び預金の残高は、研究開発費用の増加により1,768百万円となった。同社は今後も開発ステージが続くことから、研究開発を中心とした事業活動のための手元資金について2~3年分を目安に確保する意向であり、大型のライセンス契約の締結などがなければ、適宜株式市場から資金調達する方針だ。同方針に基づき2026年3月にネクスト・グロース(株)及びグロース・キャピタル(株)を割当先とする新株式及び第13回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行した。新株式は352,900株(1株当たり85円)で29百万円を調達し、新株予約権については975万株相当を発行、当初行使価額85円ですべて行使された場合、821百万円を調達できることになる(下限行使価額47円)。調達した資金の使途は、新規開発化合物の研究開発資金として400百万円、「SR-0379」「FPP004X」及び新規開発化合物に関する研究開発を推進するための人件費で157百万円、またこれら開発体制を維持するための事業運営資金として294百万円を充当する予定で、支出予定時期は2026年12月期から2027年12月期までのおよそ2年間を想定している。

■今後の成長戦略

開発効率の高い抗体誘導ペプチドを開発し、高成長を目指す

同社は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かし、抗体医薬品が既に発売されている慢性疾患を中心に、開発意義の高い疾患を対象に開発パイプラインを拡充する方針だ。標的タンパク質は既に上市されている抗体医薬品と同一のため、リード化合物を特定する時間が通常よりも大幅に短縮できるほか、安全性や有効性についても抗体医薬品で確認済みのため開発リスクも小さい。さらに、第1相臨床試験の結果で開発成功確率がある程度読めることもメリットとなる。

こうした点を総合的に勘案すると抗体誘導ペプチド技術を用いた創薬は一般の創薬に対して研究開発効率が高いと言える。塩野義製薬が前臨床試験段階という早期段階で「FPP004X」のオプション契約を締結したのも、こうした点が評価されたものと弊社では見ている。今後も新規研究テーマが前臨床試験で良好な結果を示せれば、早期にオプション契約を締結するケースが出てくるものと考えられる。抗体誘導ペプチドを用いた治療用ワクチンの開発は、2024年5月にスイスのACイミューンが武田薬品工業<4502>とアルツハイマー病を適応症とするワクチンに関する独占的オプション及びライセンス契約を締結※するなど、再び市場での注目度が高まっている。新規パイプラインの追加ペースについては、財務状況なども勘案して厳選して進める方針である。

※ 契約一時金で1億米ドル、開発や商業化の進捗に応じて支払うマイルストーンで最大21億米ドルの契約を締結した。

今後の業績見通しについては、創薬事業が今後数年間は研究開発ステージにあることから、大型契約を締結しない限り、しばらくは営業損失が続く可能性が高い。しかし、抗体誘導ペプチドの開発対象領域となる抗体医薬品の世界市場規模は主要製品だけでも500億米ドルを超えており、開発に成功した場合の成長ポテンシャルは大きい。花粉症ワクチンの第1相臨床試験で良好な結果が確認されれば、株式市場における期待値も高まると予想されるだけに、2026年下期の結果発表が注目される。なお、同社は今後も抗体誘導ペプチドの自社開発に注力する方針だが、将来的には抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術である「STEP UP」を他社に提供して収益を獲得することも選択肢の1つとして視野に入れている。

■株主還元策

当面は無配を継続するも、企業価値の向上と株主優待により還元

同社は株主への利益還元について重要な経営課題と認識しているものの、現在は開発ステージの段階にあるため配当は実施しておらず、手元資金を研究開発活動に優先的に充当し、早期に収益化を実現して企業価値の向上を図ることが最大の株主還元になると考えている。

こうしたなか、同社は多くの株主に同社株式を中長期的に保有してもらうことを目的に、株主優待制度を導入している。優待内容としては、毎年6月末及び12月末現在の株主(100株以上保有)を対象に、機能性ペプチドを配合した除菌スプレーや化粧品シリーズを株主優待割引価格(40~50%割引)で販売している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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