■中期経営計画
1. プロジェクトZ
井関農機<6310>は、2021年2月に2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を策定したが、資産効率と収益性向上を目的とした事業構造改革への取り組みが不十分だったため、途上の2023年11月に聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」をスタートした。具体的には、製造所再編を中心とした生産をゼロから見直す「生産最適化」、設計をゼロから見直す「開発最適化」、売り方やサービスの提供方法をゼロから見直す「国内営業深化」という3つの抜本的構造改革及び経費削減を実行している。さらに海外では地域別戦略を展開し、国内では「大型」「先端」「畑作」「環境」といった成長セグメントに経営資源を集中する「成長戦略」を推進している。抜本的構造改革及び経費削減によって資産効率と収益性を向上して強靭な企業体質へ生まれ変わり、「成長戦略」によって成長余地の大きい海外を中心に売上を拡大する考えである。
特にプロジェクトZ立ち上げ期の2024年12月期から2025年12月期に抜本的構造改革を短期集中で実施したうえで成長戦略に取り組むことで、営業利益を2023年12月期の22.5億円から2027年12月期までに75億円以上積み上げるとともに、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上、PBR1倍以上の実現を目指す。さらに、2030年に「食と農と大地のソリューションカンパニー」になるという長期ビジョンを掲げ、2024年12月期から2027年12月期の4年間で累計500億円、2028年12月期から2030年12月期の3年間累計で520億円の営業キャッシュ・フローを創出する計画だ。2027年12月期は、抜本的構造改革や成長に向けた投資を行うため株主還元としてDOE2%以上を想定しているが、2028年12月期以降は、創出したキャッシュをさらなる株主還元の拡充に充てるほか、有利子負債の圧縮にも振り向ける考えである。これらにより、2030年12月期に国内で成長分野にフォーカスした収益性の高い体制を構築し、海外では2023年12月期比約1.5倍の売上高を確保する考えである。加えて、PBR1倍以上を実現するため、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、プロジェクトZによる業績改善及び株主還元の拡充と並行して、投資家との接点拡大、情報開示の強化、経営のスリム化、意思決定の迅速化、ガバナンス体制の強化なども推進する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む