投資家が気になる貸倒リスクと与信体制
急成長の一方で、個人投資家として気になるのが貸し倒れリスクであり、与信管理の質が業績に直結します。実際、25年12月期は販管費に貸倒引当金3億1,400万円を計上し、営業利益率は前期の15.7%から13.2%に低下しました。
この背景について、畑江氏は率直に語ります。「2022年や2023年の頃にやっていた内容については、今振り返ると、やはり与信としてはまだまだ甘かったかなと思います。そこから与信体制をどんどん厳しくしていって、見るポイントを増やしていって、今も改善を続けています」
<改善を続け、貸倒引当率は低下>
現在の与信体制は、ルールに基づいた判定が最初の関門になっています。営業担当者とルールが共有されており、基準を満たさない案件はそもそも審査に上がりません。そのうえで判断が難しい案件は投資委員会に委ねられます。
「投資委員会に上がってきた案件でいうと、だいたい3割から4割くらいは落ちるイメージです」と畑江氏は明かします。投資委員会には畑江氏、代表の中西氏、CFOの渡邊氏に加え、元銀行の与信担当者も参加しており、多角的な審査を行っています。こうした取り組みによって、貸倒引当率自体は「かなり減ってきている」とのこと。26年12月期の予算にも25年12月期と同程度の引当金を見込んでおり、将来のサプライズリスクを抑えにいく姿勢がうかがえます。
今後の成長性|民泊・米国進出・M&A
ここからは、ブロードエンタープライズ社の成長性や成長戦略について確認していきましょう。
まずマンションWi-Fi事業について、既築マンションの無料インターネット導入率は同社の推計で未だ約20%です。さらに空室リノベーション市場は約21.7兆円と広大であり、「初期導入費用ゼロ」という強みを武器に既存事業だけでもまだまだ収益を拡大させる余地があります。
<民泊リノベーション&運用事業が始動>
さらに同社は、BRO-ROOMでリノベーションした施設を子会社を通じて借り上げ、民泊として運用。フロー収益とストック収益の両方を獲得するモデルの構築を進めています。
観光人口は多いものの宿泊施設が足りない地方自治体と連携し、地方創生にも取り組む方針です。例えば鳥取県北栄町は「名探偵コナン」原作者である青山剛昌氏生誕の地であり、世界各国から観光客が訪れている一方で、宿泊施設が少ないという課題を抱えています。
<大阪・塚本の1号案件の進捗>
民泊の先行案件である大阪・塚本の物件について、畑江氏は進捗をこう語ります。
「2025年秋にオープンして、10月、11月という初年度は、どうしても認知度を上げたり、レビューを取りにいったりする時期なので、まだ月200万円という当初掲げた売上には到達していないと思います。ただ、稼働率でいうと、目指していた水準にはかなり近づいてきていて、今は65%くらいです」
興味深いのは顧客層です。インバウンド中心かと思いきや、「意外と日本の方が多いです。今は半分以上が日本の方ですね」と畑江氏。サウナや子どもの遊べるスペースが人気で、国内レジャー需要も取り込んでいます。
現在運営中の物件は大阪と広島の2棟で、この夏から秋に3棟がオープン予定、さらに仕込み中の案件が6〜10棟あるとしています。地方創生案件では、「地元の酒造メーカーさんがあれば一緒にタイアップするとか、地域性を生かしたコンテンツを作っていくことはかなり重視しています」と畑江氏は語ります。
<米リフォーム市場への進出を狙う>
さらに同社は、「米国市場」という大きなマーケットへの進出も見据えています。米国は古い建物に価値を見出す文化があり、定期リフォームの需要が大きいと同社は指摘しています。
2026年から本格的な市場調査・現地法人設立準備・法規制への対応を進め、2028年に本格展開を目指す方針です。畑江氏は「流動化先があるか、流動化できるか」がキーポイントになると話しており、まだまだこれからという段階ではあります。
しかし、既存ビジネスモデルの延長線上に大きな期待材料が乗り得るため、投資家にとっても非常に面白い局面です。



