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クリレスHD Research Memo(6):新業態が順調に立ち上がり、M&A進展による新会社設立など着実な進捗

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■主な活動実績と今後の取り組み

クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>は、中期経営計画で掲げる「成長3本柱」として、1)本質的価値の進化、2)シナジーのあるM&A、3)海外事業の拡大、の3つを推進している。初年度の活動実績及び2027年2月期以降の取り組みについては以下のとおりである。

1. 本質的価値の進化
2026年2月期は56店舗の新規出店と19店舗の業態変更を行った。新規出店の内訳は、コアブランド23店舗、新ブランドを含むそのほか8店舗である。JA全農コラボ20店舗、新規業務受託4店舗、海外FC1店舗と、コアブランドを軸にバランス良く構成されている。同社が掲げる戦略テーマ「立地の進化」については、路面立地や地方都市への展開を強化する「ネクスト・ロケーション」への出店(路面19店舗、地方8店舗)を推進した。併せて、初期投資を必要としないコントラクト事業で23店舗(郊外・地方都市への展開)を新規受託するなど、立地ポートフォリオの多様化が着実に進展した。また、新たに10業態の開発に取り組み、次代の主力候補となる「ネクスト・コアブランド」として「菜菜麻辣湯」等が順調に立ち上がった。既存ブランドについても、来店客数の向上を目的に16店舗の改装を実施した。

2027年2月期については34店舗の新規出店を予定するほか、引き続き多数店舗の改装やデジタルマーケティング(ブランド別アプリの実装、インフルエンサーマーケティングの推進)の強化などにより来店数アップを目指す。特に居酒屋事業の改善※に注力するとともに、「菜菜麻辣湯」等の好調な新業態を積極的に展開する計画である。

※ その一環として、2026年2月よりポイント貯蓄やゲームが楽しめるモバイルオーダー連動型「公式アプリ」の提供を開始した(磯丸水産)。顧客の利便性や楽しさ、データ連携によるマーケティングの高度化などを通じて、顧客体験価値の向上につなげる。

2. シナジーのあるM&A
M&Aについては、埼玉のつけ麺有名店「狼煙」(2025年5月)、東京のベーグル専門店「Tecona Bagel」(2026年2月)、大阪の老舗洋食店「グリルRON」(2026年3月)を実現した。そのうち、「狼煙」については、足元好調なラーメン事業(ヌードルブランド)の成長をにらみ、ラーメン事業における他2社(YUNARI、(株)一幻フードカンパニー)と合併し、(株)クリエイト・ヌードルズを設立した。各ブランドの独自性は守りつつナレッジを集約し、新規出店による成長、シナジー追求、人財の流動化、製造拠点(セントラルキッチン)の集約効率化等を推進する方針である。また、今後のM&Aを呼び込むプラットフォームとしての役割も期待される。さらに「Tecona Bagel」については大丸梅田店への出店を決定したほか、「グリルRON」も関西の商業施設への展開を検討するなど、シナジー創出を推進している。今後も国内M&Aについては、シナジーのあるM&Aを検討する方針である。

3. 海外事業の拡大
海外事業の主戦場と位置付ける北米では、ベーカリー業態「Wildflower」が好調に推移しており、今後は成長フェーズに入る見通しだ。一方、苦戦が続くイタリアンレストラン「Il Fornaio」については、不採算店3店舗の撤退とCEO交代を含む事業再構築に本格着手した。併せて、新たな大型M&Aの実現に向けても検討を進めており、景気変動耐性が高く安定した収益力を有する地域密着型の業態を対象とする方針だ。一方、アジアについては、シンガポール子会社とインドネシア現地企業が「MACCHA HOUSE」のFC展開で基本合意した。今後は現地に精通する海外子会社が主体となり、FCビジネスの自律的な拡大を目指す。さらに、M&Aによる欧州進出についても継続して検討が行われている。

4. 新たな経営体制への移行
新たな経営体制の発表により、中期経営計画における役割を明確化したほか、事業会社5社の代表取締役を交代した。今回のトップ交代にはグループ横断的な人事も含まれており、次代のマネジメント人財の育成に加え、組織間の人財交流による活性化やグループシナジーの創出を加速する方針だ。

5. 合併による経営基盤の強化とシナジーの創出
同社は、SFPホールディングスとの合併を通じ、親子上場による構造的課題を解消するとともに、グループ内の経営資源を最適に再配分することでさらなる成長を目指すことを2026年4月に発表した。両社で重複する持株会社機能やインフラを統合することによる効率化、グループのリソースを最大限活用することによる居酒屋事業の改善や人的資本の活性化によりシナジーを創出し企業価値向上を推進する考えだ。

■業績見通し
2027年2月期は新規出店と既存店の伸長により、増収増益を確保する見通し
1. 2027年2月期の業績見通し
2027年2月期の業績は、売上収益が前期比3.4%増の171,000百万円、営業利益が同13.3%増の9,000百万円、税引前利益が同1.8%増の8,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同21.9%増の5,700百万円と、増収増益を確保する見通しである。調整後EBITDAも同3.2%増の27,100百万円を見込んでいる。

インフレを背景にした選択型消費が定着し、インバウンド需要もおおむね堅調に推移するなかで、各カテゴリーが順調に伸びる見通しである。来店客アップへの取り組み及び適正価格化の継続により既存店売上高は前期比103.0%を想定する。新規出店はコアブランドを中心に34店舗(退店は14店舗)を予定している。

損益面では、コスト上昇圧力を適正価格化や物流効率化等で吸収し、原価率は前期並みを想定する。また、新規出店や人的資本投資(昇給ファンドの継続拡大等)、DX・AI活用、店舗改装等への成長投資を継続するものの、増収による収益の底上げやコストコントロールにより大幅な増益を実現し、営業利益率は5.3%(前期は4.8%)への改善を見込む。

2. 弊社の見方
物価高に伴う消費マインドの冷え込みや、原材料費高騰による収益への影響には引き続き注視が必要だが、同社の業績予想の前提には合理性があると弊社では判断している。既存店売上高の推移が成長の要であり、集客力向上に向けた施策の成否が最大の焦点と言える。同社は現在、店舗改装やデジタルマーケティングの強化に取り組んでいるが、とりわけ前期業績の下押し要因となった「磯丸水産」を含む居酒屋カテゴリーの回復動向が注目される。また、海外における大型M&Aも同社が掲げる重点施策の1つである。中期経営計画期間中にM&A投資に500億円を投じ、海外売上比率を30%へ引き上げる計画を推進している。実施のタイミングや規模・条件が業績の変動要因となる可能性が高く、今後の進展を慎重に見極める必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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