日本の決算シーズンの先陣を切り、世界経済の「先行指標」として注目される安川電機。4月10日に発表された直近の決算は、利益ベースで軒並みマイナスという厳しい内容でした。しかし、発表直後に同社の株価は鮮やかな反転上昇を見せました。減益決算にもかかわらず、なぜ投資家は安川電機を買ったのでしょうか?本記事では、決算資料から読み解ける「過去最高の受注額」の裏側や、米国市場で爆発的に伸びる「AIデータセンター特需」、さらには今後の半導体市場の動向まで、株価上昇の本当の理由をつばめ投資顧問がプロの視点で徹底解説します。本記事をお読みいただければ、AI革命がもたらす巨大なインフラ投資の実態と、今後の相場を見通す重要なヒントが掴めるはずです。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』元村浩之)
プロフィール:元村 浩之(もとむら ひろゆき)
つばめ投資顧問アナリスト。1982年、長崎県生まれ。県立宗像高校、長崎大学工学部卒業。大手スポーツ小売企業入社後、店舗運営業務に従事する傍ら、ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。2022年につばめ投資顧問に入社。長期投資を通じて顧客の幸せに資するべく、経済動向、個別銘柄分析、運営サポート業務を行っている。
減益決算でも株価が反転した理由
安川電機の株価は、3月以降は低迷を続けていましたが、4月10日の決算発表を境に鮮やかな反転を見せています。

安川電機<6506> 日足(SBI証券提供)
PERは28.5倍という水準です。
不思議なのは、直近の第4四半期単体の決算内容そのものは、売上こそ前年を若干上回ったものの、利益ベースでは軒並みマイナスという芳しくない内容だったことです。
それにもかかわらず株価が買われた理由は、ひとえに「受注動向」と「今後の見通し」が市場予想を上回るほど強力だったからです。
足元の業績は弱くとも、今後が確実に良くなるという確信が投資家に伝わった決算であったと言えます。
<過去3年間で最高の受注額を記録>
今回の決算で最も注目すべきは、四半期ごとの受注推移です。
直近の第4四半期における受注額は1524億円に達し、これは過去3年間の推移を見ても最高の水準となっています。
具体的に何が伸びているのかを分解してみると、モーターの動きを精密に制御する「モーションコントロール」と、設備全体を統合的に稼働させるための制御システムを扱う「システムエンジニアリング」の二つの事業が、明確な増加傾向を示しています。
全社ベースで見ても、前年同期比でプラス20%、前四半期比でもプラス10%の受注増となっており、業績の底打ちと反転の兆しがはっきりと見て取れます。
<中国停滞と米州の躍進>
受注の地域別内訳を見ると、これまでの常識を覆す変化が起きています。
かつての安川電機といえば、中国市場での受注額が極めて大きかったのですが、この3年間を振り返ると中国向けの伸びは停滞しています。
その代わりに爆発的な伸びを見せているのが「米州(アメリカ)」市場です。最新の受注額のうち452億円が米州となっており、地域別で見てもその好調ぶりが際立っています。
米州市場を牽引するAI時代に向けた巨大インフラ投資
なぜ今、アメリカでこれほどまでの需要が生まれているのでしょうか。
決算短信に記載された経営環境を見ると、一般産業分野に加えて、データセンター向けの空調関連、オイル・ガス関連、そして太陽光発電用のパワーコンディショナを中心とした需要が拡大基調にあることが分かります。
これらは一見バラバラの要因に見えますが、実態は「AI時代のインフラ投資」という一本の線で繋がっています。
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