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日本製紙、中計2030でROE8%以上、営業利益600億円以上へ グリーン戦略により森林・木材関連事業を拡大

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2026年5月28日に発表された、日本製紙株式会社中期経営計画説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

本日お伝えしたいこと

瀬邊明氏:代表取締役社長CEOの瀬邊です。本日公表した日本製紙グループの中期経営計画2030についてご説明します。まずは私から概要を簡単にお話しし、その後、企画本部より詳細をご説明します。

スライドに、本日お伝えしたい内容の要約を記載しています。まず、中期経営計画2025の5年間の振り返り・総括として、国内事業はコロナ禍や原燃料価格高騰の影響を打ち返し、2023年度から中期経営計画の軌道をおおむね維持しましたが、海外事業、とりわけOpal社の業績が低迷したことで全体の収益目標は未達となりました。

事業構造転換や既存事業の基盤強化は一定の成果を得ましたが、収益力やROEをはじめとする資本効率は低水準で推移し、大きな課題が残る結果であったと認識しています。

こうした中、2035年度までの10年間で目指す姿を「森林資源の力を引き出し、企業価値向上と持続可能な社会の構築をともに追求する企業グループ」と定めました。そして、中期経営計画2025の課題を踏まえ、今年度からスタートする中期経営計画2030では「資本効率の向上」をテーマに掲げ、3つの基本戦略を推進していきます。

1つ目は「B/Sの最適化」です。資産のスリム化と有利子負債の削減により、財務基盤の健全化・効率化を図ります。

2つ目は「構造改革の断行」です。グラフィック用紙の生産拠点の集約や、不採算事業のレビューにより、低収益事業の強靭化および整理を進めます。

3つ目は「収益性の向上」です。高収益・高資本効率の生活関連事業および森林・木材関連事業を注力事業と位置づけて拡大し、全体の収益性を向上させます。

これらの基本戦略を進める上でのKGIとして、ROIC4パーセント以上、ROE8パーセント以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下、営業利益600億円以上を掲げています。資本効率を向上させるという強い決意の下、これらの目標達成に向けて取り組んでいきますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは、詳細を企画本部よりご説明します。

中期経営計画2025 目標達成状況

佐野孝典氏(以下、佐野):企画本部長の佐野です。中期経営計画2025の振り返り、および中期経営計画2030について、私からご説明します。5月15日の決算説明会で中期経営計画2030の骨子についてお話ししましたので、こちらは簡単にご説明します。

まず、中期経営計画2025の振り返りです。スライドの表は、中期経営計画2025の目標と2025年度の実績を示しています。

ネットD/Eレシオおよび純有利子負債は目標を達成しましたが、営業利益とEBITDAは未達となりました。セグメント別営業利益実績のグラフに示しているとおり、生活関連事業の営業利益は、Opal社をはじめとする海外事業の収益低迷により大きな差が生じました。

中期経営計画2025 セグメント別営業利益 財務指標推移

中期経営計画2025のセグメント別の営業利益の推移です。中期経営計画2025の前半は、外部環境の大きな変化に直面しました。2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活様式の変容や、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に伴う石炭価格の高騰が大きく影響し、営業利益が大きくマイナスとなりました。

2023年度に中期経営計画のアップデートを実施し、国内事業では価格の修正や各施策に取り組むことで、営業利益は計画並みの軌道で推移しました。一方、海外事業では、2021年度は営業利益が出たものの、2022年度から2025年度まで赤字が継続し、結果として営業利益目標の400億円を達成することができませんでした。

中期経営計画2025 成果と課題

中期経営計画2025の成果と課題についてです。中期経営計画2025では、スライドに記載のテーマを中心に実行してきました。成果と課題については、「〇」「△」「×」で評価しています。特に、海外事業の収益性とROEの低迷が大きな課題であると認識しています。

中期経営計画2030では、中期経営計画2025の成果・課題や、市場および投資家のみなさまとの対話を踏まえ、「B/Sの最適化」「構造改革の断行」「収益性の向上」を進め、資本効率の向上を図っていきます。

全体像

中期経営計画2030についてご説明します。まず、中期経営計画2030の全体像についてです。基本戦略は、先ほどお話しした「B/Sの最適化」「構造改革の断行」「収益性の向上」の3つです。

これらの基本戦略に基づき、重点課題を着実に実行するとともに、株式市場の規律の導入や積極的な対話を通じて資本効率の向上を目指します。中期経営計画2030では、ROIC4パーセント以上、ROE8パーセント以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下、営業利益600億円以上を計画しています。

このように、資本効率の向上と持続的な成長を両立させることで、企業価値の向上を目指します。

財務目標(KGI)

中期経営計画2030の財務目標(KGI)についてです。先ほどお伝えしたとおり、中期経営計画の3つの基本戦略である「B/Sの最適化」「構造改革の断行」「収益性の向上」の各重点課題にしっかり取り組むことで、ROE8パーセント以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下、そして全体の利益率向上をはじめとする財務目標をしっかりと達成していきたいと考えています。

目指す方向性

2030年度の事業別の目指す方向性についてです。スライドのグラフは、セグメントをさらに細かく分けた各事業のポジショニングを示したものです。縦軸が事業別ROA、横軸が売上高営業利益率、円の大きさが売上高を表しています。

水色の大きな円で囲んでいる事業群は、現時点で事業別ROAが高く、WACCを上回る水準で推移しています。今後はさらなる収益性と資本効率の向上を図り、強化していきたいと考えています。

ピンク色の大きな円で囲んでいる事業群は、現時点で事業別ROAと売上高営業利益率の双方が低い水準にあります。そのため、「構造改革の断行」による強靭化を進め、資本効率改善に向けた追加施策を事業環境の変化を踏まえて進めていきます。2030年度には、このような事業構造を目指したいと考えています。

セグメント別営業利益目標

セグメント別の営業利益目標についてです。2030年度の目標として、木材・建材・土木建設関連事業で150億円、生活関連事業で300億円以上、紙・板紙事業で100億円、エネルギー事業およびその他事業で50億円を設定しています。

スライド右側に、各セグメントにおける中期経営計画の主要施策を記載しています。これらの施策を確実に実行し、営業利益目標の達成を目指していきたいと考えています。

施策別増減内訳

スライドに、2030年度の営業利益目標600億円に向けた、施策別の増減内訳を示したグラフを掲載しています。グラフィック用紙などの需要減により約130億円の減益を見込んでいますが、2025年度に実施した価格修正の効果が、2026年度以降、年間を通して寄与し、180億円の増益を見込んでいます。

また、Opal社の抜本的改革やグラフィック用紙の生産拠点集約など、構造改革の効果により180億円の増益、森林・木材関連事業やパッケージング加工事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル事業といった注力事業の拡大で120億円の増益を図ります。これにより、2030年度までに営業利益を600億円まで高めたいと考えています。

①B/Sの最適化|キャッシュアロケーション

「B/Sの最適化」のキャッシュアロケーションについてご説明します。スライドに、2026年度から2030年度の5年間の累計値を示しています。キャッシュアロケーションは、構造改革の断行、収益性の向上、資産売却等により創出した資金で、有利子負債の削減を最優先で進めていきます。

中期経営計画2030では、財務基盤の健全化・効率化をしっかりと図り、不採算事業の抜本的な改革や低収益事業の整理といった構造改革を進めることで、企業価値の向上を目指していきます。

①B/Sの最適化|政策保有株式の縮減

キャッシュ創出のうち、政策保有株式の縮減についてご説明します。2025年度から2027年度末までの3年間で150億円の縮減目標を掲げていましたが、2025年度の実績が161億円となり、目標をすでに達成しました。

そのため、新たに2026年度から2030年度末までの期間で250億円の縮減目標を設定しています。原則としては全廃を目指す方針ですが、まずは250億円の縮減目標を設定しました。

①B/Sの最適化|資本効率の向上に向けた財務戦略

資本効率の向上に向けた財務戦略についてです。B/Sのマネジメント方針は、「資金創出策を確実に実施し、ネットD/Eレシオ1.0倍以下を目指す」としています。

スライドの図は、2025年度末と2030年度末のバランスシートをイメージしたものです。純有利子負債を6,752億円から6,000億円に削減し、自己資本を5,085億円から5,500億円に高めることを計画しています。

②構造改革の断行|グラフィック用紙の生産拠点集約

「構造改革の断行」については、経営企画部の山口がご説明します。

山口崇氏:経営企画部長の山口です。2つ目の基本戦略である「構造改革の断行」について、グラフィック用紙の生産拠点の集約と、不採算事業のレビューをご説明します。

まず、グラフィック用紙の生産拠点の集約についてです。グラフィック用紙事業の強靱化を図り、収益性を向上させるため、将来の需要減少を見越した生産体制の最適化を実行し、稼働率を維持していきます。

戦略のポイントとしては、スライド右側のグラフに示したとおり、グラフィック用紙の需要減少は今後も継続すると想定しています。そのため、需要減少を正面から受け止め、生産能力の削減を進めつつ、稼働率を90パーセント以上に維持する方針です。

生産拠点については、石巻、岩沼、岩国への集約を検討しています。一方で、他の工場については、各拠点のリソースを最大活用することで、事業構造の転換を進めていきます。

また、GHG排出量については、後ほど詳しくご説明しますが、石巻の新回収ボイラーの設置や石炭ボイラーの停機、燃料転換などを進めることで、2040年度までに2013年度比で65パーセント削減し、他社に対する競争優位性を確保する計画です。

②構造改革の断行|Opalの改革

Opal社の改革についてです。複数の事業を抱えるOpal社では、選択と集中を進めます。具体的には、2025年度に黒字であった段ボール一貫事業(原紙+加工)に経営資源を集中させ、収益性を高めていきます。

一方で、大きな赤字を抱えるメアリーベール工場については、生産体制の最適化と固定費削減を一段と進め、速やかにEBITDAを黒字化します。その他の低収益事業についても整理を進め、Opal社として営業利益を早期に黒字化します。

すでに開始した対策を確実に実行することで、まずは営業利益を5,000万豪ドルまで引き上げていきます。

②構造改革の断行|Opalの改革

Opal社の段ボール一貫事業については、収益性の向上を目指します。人口やGDPが成長しているオーストラリア市場では、今後も段ボール需要が増加すると見込んでいます。このため、生産性向上とコスト削減による競争力強化を進め、自然成長を上回る販売拡大を目指していきます。

販売面では、Opal社の強みである原紙から加工までの一貫体制を活かし、高付加価値・差別化製品の開発・拡販を進めるとともに、納期管理などのサービス面での優位性を活用します。また、オーストラリアで拡大する紙化需要を確実に取り込んでいきます。

一方、競争力の強化に関しては、前の中期経営計画で実施した加工機の新設や更新工事の効果をフルに発現させることで、加工事業の生産性をさらに向上させていきます。また、調達や物流など、組織や人員体制を抜本的に見直し、会社としての効率化を図ります。

③収益性の向上|グリーン戦略による森林・木材関連事業の拡大

ここからは、基本戦略の3つ目である「収益性の向上」についてご説明します。まず、グリーン戦略による森林・木材関連事業の拡大についてです。

当社グループの強みである、世界トップクラスの育種・増殖技術、国内外の木質資源サプライチェーンによる調達力、自社森林資源、人材とネットワークなどを活用し、森林・木材関連事業の拡大と社会課題解決への貢献を同時に目指すグリーン戦略を展開していきます。

③収益性の向上|グリーン戦略による森林・木材関連事業の拡大

グリーン戦略のポイントです。スライドに示したとおり、国内林業の活性化支援、国内外のサプライチェーンの強化、育種・増殖や森林解析といった先進技術の高度利用に加えて、森林の多様な機能の価値化を進めていきます。

具体的には、国産材・海外材流通事業の拡大、育種・増殖技術を活用した海外植林事業・エリートツリー苗木事業の拡大、カーボン市場や自然資本市場における森林資源の価値化に取り組んでいきます。

これらにより、スライド右側に示したとおり事業拡大を図り、2030年度には木材・建材・土木建設関連事業の営業利益を150億円まで引き上げていきます。

③収益性の向上|グリーン戦略による森林・木材関連事業の拡大

スライド左側に示した国内事業では、林業支援を中心に、林業・木材産業界と連携し、サプライチェーンの強化を進めていきます。

一方、スライド右側に示した海外事業では、当社の独自技術である育種・増殖・育苗に加え、森林モニタリングや解析の高度利用を行い、森林資源の価値化の検討を進めていきます。

③収益性の向上|パッケージング事業の川下戦略(原紙と加工の協業推進)

パッケージング事業の川下戦略の推進についてご説明します。まず、パッケージング用紙事業(原紙製造事業)についてです。この事業では、グループ内外の加工会社との連携・協業を通じて川下戦略を推進し、原紙・加工の垂直事業モデルによるシナジーの発現を目指します。

また、スライドに段ボール原紙事業について示していますが、2026年4月に、当社グループ、段ボール業界大手のトーモク、および特種東海製紙という原紙と加工の専業メーカーの間で、協業検討に関する覚書を締結しました。今後は、収益性向上に向けてさまざまな取り組みを加速していきます。

③収益性の向上|パッケージング事業の川下戦略(原紙と加工の協業推進)

パッケージング加工事業についてです。こちらはグループ内で原紙から加工事業まで一貫化が進んだ事業を指しており、これまではパッケージ事業と呼んでいました。このスライドでは、主に液体用紙容器原紙について示しています。

国内においては、グループで製造した原紙を活用した高付加価値差別化容器の開発や、充填機メーカーである四国化工機との協業により、原紙から加工、充填機までを含めた一貫サービスの提供を通じ、市場シェアの拡大を目指します。

海外では、Elopak ASAなどのパートナー企業と連携し、環太平洋地域を中心に事業拡大を図ります。これにより、2030年度までに営業利益率5パーセントを目指します。

③収益性の向上|生活関連事業の収益力強化

家庭紙・ヘルスケア事業です。高齢化などの社会構造の変化に対応した高付加価値製品の開発・拡販を進めます。

家庭用品では、すでに稼働を開始したクレシア宮城工場や、次期中期経営計画で八代工場に導入予定の新型抄紙機をフル活用します。また、需要が増加しているヘルスケア製品については、生産能力の増強を図り、それぞれ差別化製品の販売拡大を目指します。

さらに、グローバルパートナーと連携し、アジア・オセアニア・北米などへの輸出を拡大するとともに、eコマースなど新たなチャネルでの販売を強化します。これにより、2030年度までに営業利益率5パーセントを目指します。

③収益性の向上|生活関連事業の収益力強化

ケミカル事業です。自動車用塗料などに使用される機能性コーティング樹脂は、海外市場での拡販を進めます。また、機能性フィルムは有機ELディスプレイ向けの採用拡大を図るなど、いずれも成長市場でのさらなる収益拡大を目指します。

ケミカル事業の中核生産拠点である江津工場については、競争力の向上と収益基盤の強化を進め、主力製品である溶解パルプ、機能性セルロース、リグニンなどのバイオマス素材の販売拡大と収益力の強化を図ります。これにより、2030年度までに営業利益率10パーセントを目指します。

③収益性の向上|新規バイオマス素材事業の拡大

新規バイオマス素材事業の拡大についてご説明します。当社は「脱炭素・循環型社会の構築に寄与する新規バイオマス素材事業の拡大を図る」という基本方針の下、オープンイノベーションを活用しながら、スライド右側に示した今後注力する4つの活動領域に向けて、さまざまな製品を提供していきます。

③収益性の向上|新規バイオマス素材事業の拡大

現在取り組んでいるバイオマス製品の開発と販売拡大についてです。スライドに記載のとおり、これらを拡大していくだけでなく、新しいテーマの発掘・追加も進めていきます。

③収益性の向上|新規バイオマス素材事業の拡大

スライドには、新規バイオマス素材の中のセルロースナノファイバー(CNF)の取り組みを示しています。食品や化粧品をはじめ、CNFの採用件数は順調に増加していますが、事業規模としてはまだ小さいのが現状です。

将来的には、スライドに示しているモビリティ、蓄電体、半導体、医療分野などへの活用シーンの拡大を目指し、現在研究開発を進めています。早期の戦力化を実現したいと考えています。

③収益性の向上|新規バイオマス素材事業の拡大

バイオエタノール事業です。SAFのサプライチェーンに関わる企業が連携した「森空プロジェクト」を当社が主導しています。

ここで生産するバイオエタノールの特徴は、スライド右側に示したとおり、原料が国産材100パーセントで低GHGであること、そして国内のエネルギー自給率の向上にも寄与することです。2027年から岩沼工場で実証生産を開始する予定で、2030年頃の商用化を目指して検討を進めています。

また、昨日、石油元売りである出光興産と、純国産ATJ-SAFのサプライチェーン構築に向けた共同検討を開始する旨のリリースを行いました。今後も関係会社が一丸となり、社会実装に向けた取り組みを進めていきます。

次に、佐野からご説明します。

2035の目指す姿と中期経営計画策定の考え方

佐野:「2035の目指す姿」についてご説明します。スライドに、2035年に当社が目指す姿と中期経営計画2030の策定における考え方を示しています。

当社グループを取り巻く外部環境は大きく変化しています。その中で、当社は企業グループ理念の実現を目指し、2035年度に目指す企業グループ像の達成に向けたガイドラインとして、2035年に目指す姿を検討してきました。この目指す姿の実現に向け、今後5年間で実行する計画を中期経営計画2030と位置づけています。

マテリアリティから2035の目指す姿を検討

今回、中期経営計画2030の策定に合わせて、マテリアリティの見直しを行いました。従来の当社グループのビジョン/目指す企業像のそれぞれ4つの項目と、新たなマテリアリティを紐づけるかたちで整理しています。

新マテリアリティに関する詳細は、後日、当社グループのホームページや統合報告書で開示する予定です。

目指す姿と基本方針

「2035の目指す姿」についてです。当社グループが目指す姿として「森林資源の力を引き出し、企業価値向上と持続可能な社会の構築をともに追求する企業グループ」と定めました。

基本方針として、「事業構造の変革」「資本効率の向上」「持続可能な社会構築への貢献」「変革を支える人材基盤の確立」を掲げ、企業価値の向上に向けて取り組みます。

循環型事業モデル「3つの循環」

スライドで示している図は、当社グループが強みとする循環型事業モデル「3つの循環」を表しています。木質資源の幅広い活用を基軸とした当社グループの事業モデルは、循環型社会の構築において大きなアドバンテージがあると考えており、この強みを活かして持続的な成長を目指していきます。

活動領域の拡大

当社グループは、川上に森林や木材に直接関わる事業があり、川中で紙・板紙事業、ケミカル事業、バイオマス素材事業、エネルギー事業を展開し、川下にはより消費者に近いパッケージング加工事業、家庭紙・ヘルスケア事業などがあります。

さらに、これらにまたがるかたちで、流通・物流・エンジニアリング・不動産・レジャーなどの事業を有しています。

この当社グループの事業チェーンの強みをどの活動領域で発揮するべきかというフォアキャストの視点に加え、「2035の目指す姿」の検討においては、2050年の人口動態や食糧事情、地球環境問題、未来社会の課題等を想定し、どの活動領域の強化が求められているかというバックキャストの視点を取り入れました。

そして、注力すべき活動領域として「農林水産・食」「ライフスタイル」「社会インフラ・環境」「先端機能材料」を定めました。

将来の事業構造イメージ

このスライドでは、当社グループが注力する活動領域と、各事業における企業価値への貢献動向をイメージとして示しています。

紙・板紙事業、エネルギー事業、その他事業については、事業の最適化と競争優位性の確立を目指します。木材・建材・土木建設関連事業および生活関連事業については、当社グループの収益源として事業の拡大と高収益化を図っていきます。

また、新規事業の創出、育成、早期戦力化に向け、市場ニーズを見極めながら、新規事業の開発と事業戦略策定の効率化を進めます。各事業が注力する活動領域において事業を拡大し、企業価値の向上を目指していきます。

人的資本戦略

経営基盤の強化(非財務戦略)についてご説明します。まず、人的資本戦略についてです。本戦略では、社員一人ひとりが持つ高度な操業技術、木質資源に関する専門性、誠実さ、連携力といった強みを基盤に、社員の成長をグループの成長につなげる人材マネジメントを推進します。

これにより、多様な人材の確保、スキル・知識・技術の向上、エンゲージメントの向上を図り、「社員が誇りを持って明るく仕事に取り組む」という目指す企業像を追求することで、グループの持続的な成長を実現していきます。

自然資本戦略

自然資本戦略についてです。本戦略では、「自然と人が共生する持続可能な社会」を実現するための3つの柱として、「カーボンニュートラル」として脱炭素の推進、「サーキュラーエコノミー」として資源循環の拡大、「ネイチャーポジティブ」として生物多様性の保全・回復に取り組みます。

事業活動が環境に与える影響を最小限に抑える「ミニマムインパクト」と、環境や社会にプラスの価値や貢献を積極的に生み出す「ポジティブインパクト」を同時に実現することを目指します。

自然資本戦略

GHG排出量削減の目標についてです。2030年度目標である2013年度比54パーセント削減に向けて順調に進捗していることから、新たに2035年度に60パーセント削減、2040年度に65パーセント削減という目標を設定しました。引き続き、2050年度のカーボンニュートラル実現に向けて取り組みを強化していきます。

知的資本戦略|研究開発

知的資本戦略についてです。本戦略では、新規事業の早期創出を目指し、グループ内の各組織から市場の多様なニーズを収集・共有するとともに、AIと知的財産データを組み合わせた解析による新規事業開発の効率化や、外部アライアンスによる事業開発、いわゆるオープンイノベーションの推進を実行していきます。

創出された事業モデルや製品については、ゲート審査や全取締役・全執行役員などが参加するグループ経営戦略会議で審査を行い、優先開発テーマを選定します。研究、開発、事業化といった各段階への移行の判断を厳格化し、優先開発テーマへのリソース再分配を徹底します。

これらの一連のプロセスおよびリソース配分の妥当性や、事業の強化または撤退判断については、取締役会でモニタリングを行います。

コーポレートガバナンス|資本効率管理体制の導入

最後に、コーポレートガバナンスの一環として、資本効率管理体制の導入についてご説明します。当社ではPBR改善の取り組みとして、2025年度より資産の効率運用を目的に、連結ベースの全社ROIC、日本製紙を含む会社別ROIC・事業別ROA管理、事業別KPIの試験運用を開始してきましたが、本年度より本格的な運用へと移行します。

これらの進捗状況については、四半期ごとに取締役会に報告し、モニタリングを行う体制を強化するなど、より実効性を高めていきます。併せて投資判断の厳格化を図ることで、資本効率と収益性の向上を両立し、持続的な企業価値の向上に努めていきます。

説明は以上です。

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