fbpx

レシップHD、27年3月期は過去最高売上265億円へ 米国の運賃収受システム大型案件が寄与し増収増益を計画

マネーボイス 必読の記事

2026年5月28日に発表された、レシップホールディングス株式会社2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

Agenda

杉本眞氏:レシップホールディングス代表取締役の杉本です。本日は、当社の2026年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、ご覧いただいている目次に沿ってご説明を進めていきます。

LECIP GROUP

初めに、当社の概要を簡単にご紹介します。レシップグループは、創業以来、「快適な日常を実現する」という経営理念のもと、ニッチな市場分野に特化して、お客さまにご満足いただける製品づくりに努めてきました。

今日では、バス・鉄道用のワンマン機器や、車載用照明灯具、フォークリフト用充電器など、数多くのトップシェア製品を世の中に送り出しています。

事業系統図

レシップグループの事業の中核である輸送機器事業・産業機器事業は、いずれもレシップ株式会社が担っています。開発拠点は岐阜と東京に置き、製造はすべて岐阜で行っています。国内においては、全国の営業所を通じて、バスや鉄道事業者さま、トラックメーカーさまなどと直接お取引をしています。

レシップエンジニアリングは、グループのサービス・メンテナンス部門として、O&Mなどの保守業務を担当しています。

レシップ電子は、当初、レシップ向けの基板実装からスタートした会社であり、現在では自動車業界を中心に、グループ外からの受注割合が高くなっています。

海外展開については、アメリカ、シンガポール、スウェーデンにグループ会社を展開しています。海外で販売する製品は、基本的にレシップ株式会社が開発を担い、調達・製造は現地の各グループ会社が行う体制をとっています。

事業内容 輸送機器事業

輸送機器事業では、バス・鉄道用電装機器の総合メーカーとして公共交通を支えるほか、トラック等に搭載される自動車用照明機器の製造・販売も行っています。

実は、バス車内の運賃箱や液晶表示器などの電装品は、車両の標準装備ではなく、事業者さまが独自に選定される仕組みとなっています。こうした背景から、当社では全国のバス・鉄道事業者さま、ならびにトラックの車体メーカーさまと、それぞれ直接お取引を行っています。

事業内容 産業機器(エネルギーマネジメントシステム)事業

産業機器事業では、電力変換技術を軸に、バッテリー式フォークリフト用の充電器など、電源関連機器を提供しています。

また、先ほども少し触れた子会社のレシップ電子では、自動車用電装品や産業機器関連など、業界を問わず幅広いプリント基板の実装を手掛けています。同社は、製造業が盛んな東海地方に拠点を置く独立系の企業として、大手メーカーさまからも受注をいただいています。

2026年3月期:通期業績の要約

2026年3月期通期の決算概要についてご説明します。当社の連結業績については、売上高は前期比7.8パーセント減の238億9,800万円、営業利益は12億6,800万円、経常利益は15億800万円、当期純利益は11億7,700万円となりました。

売上高が前期を下回った背景としては、新紙幣対応の特需が一巡したことが挙げられます。昨年度は2024年7月の新紙幣発行に向けて大変多くのご注文をいただきましたが、今年度はその反動により、運賃箱や関連システムの改修に伴う売上が大きく減少しました。

2026年3月期:通期 売上高の増減要因

売上高の増減要因を市場別にご説明します。輸送機器事業については、バス・鉄道市場での新紙幣関連売上が大きく減少したため、減収となりました。

産業機器事業については、EMS市場では増収となったものの、電源ソリューション市場におけるフォークリフト用充電器の落ち込みが影響し、事業全体として減収となっています。

以上の結果、全体として前期を下回る結果となりました。

2026年3月期:通期 営業利益の増減要因

営業利益の増減要因を、売上・原価・販管費にブレークダウンしてご覧いただいています。原価要因による利益の押し下げについては、主要市場での将来的なシェア維持や事業基盤の継続を見据え、戦略的案件を受注したことに伴う受注損失引当金の計上が主な要因となっています。

販管費要因については、改修に伴うサービス費および人件費の増加によるものです。

2026年3月期:通期 セグメント別業績

事業セグメント別の業績については、こちらのページに記載のとおりです。詳細については、次のスライドより事業別にご説明します。

輸送機器事業:通期 業績

まず、輸送機器事業における各市場別の状況についてご説明します。バス市場については、新紙幣発行に伴う運賃箱の改造・ソフト改修や運賃箱・ICカードリーダライタなどの売上が減少しました。

鉄道市場については、新紙幣関連売上の減少に加え、米国向け列車用LED灯具の売上が減少しました。

自動車市場については、自動車向け灯具の売上が増加しました。

損益面については、減収により、減益となりました。

産業機器事業(エネルギーマネジメントシステム事業):通期 業績

続いて、産業機器事業における各市場別の状況についてご説明します。電源ソリューション市場については、バッテリー式フォークリフト用充電器の販売減少に加え、LED電源の生産終了も影響し、減収となりました。

EMS市場については、自動車向け基板実装の売上が増加しました。

損益面については、全体の減収の影響を受け、減益となりました。

研究開発費、設備投資、償却費の推移

研究開発費と設備投資の状況についてご説明します。まず研究開発費については、主にキャッシュレス対応、営業所端末のマイグレーション、観光DXの開発などに充当しました。今年度についても同様の開発に対し、7億円の投資を予定しています。

また、設備投資については、2025年1月に稼働を開始したレシップ電子の新工場向け機械装置、金型などに充当しました。今年度も引き続きレシップ電子の新工場に関する機械装置などへ投資を継続するほか、基幹システムの更新などに対し、5億5,000万円の投資を予定しています。

2027年3月期:通期業績予想

2027年3月期通期の業績予想と配当についてご説明します。2027年3月期の業績については、上場以来、過去最高となる売上高を見込んでいます。その主な要因として、米国における運賃収受システムの大型案件の売上計上が、業績に大きく貢献する見通しです。

また、国内市場においては、既存のバス市場向けの売上自体は減少を見込むものの、「バスロケシステム」や「キャッシュレス決済システム」、そして「廃棄物収集業務効率化システム」の本格的な導入など、新たな商材の確実な拡販を進めていきます。

これらの結果、全体として増収・増益となる見込みです。

キャッシュアロケーションの更新(RT2026)と2ヵ年進捗実績

中期経営計画におけるキャッシュアロケーションの更新と、2ヵ年の進捗についてご説明します。このたび、利益増加に伴い、キャッシュイン・キャッシュアウトともに全体の枠組みを大きく拡大する見直しを行いました。新たに創出した資金は、将来の成長と、株主のみなさまへの還元へ積極的に振り向けていきます。

まず株主還元については、3期連続の増配を実施し、大幅に強化します。配当水準は前中期経営計画の8.5円から26円へと、3倍超に拡大する見込みです。

また、「モノ+コト」ビジネスの実現に向けた研究開発や、M&Aも視野に入れた成長投資も加速させていきます。

スライド下段の2ヶ年実績のとおり、すでに59億円のキャッシュをしっかりと創出しています。今後も健全な財務基盤のもと、力強い事業成長と株主還元の両立を推進していきます。

2026年3月期:配当の状況と配当方針

配当の状況と今後の配当方針についてご説明します。当社はこれまで、純資産配当率(DOE)2パーセント以上を配当方針としており、持続的な事業活動によって創出した利益を原資として、株主のみなさまに安定的、かつ確実に還元していくことを基本としてきました。

このたび、国内事業の堅調な推移により収益力が向上したこと、また当社の強固な財務基盤を踏まえ、この目標水準を2026年3月期より3パーセント以上へ引き上げました。

この新方針を踏まえ、2026年3月期の期末配当は、前回発表から4円増配の24円とし、続く2027年3月期についても、連続増配の26円を予定しています。

今後も引き続き、事業の持続的な成長を通じて、株主のみなさまへより一層充実した利益還元を行っていきます。

中長期的な成長イメージ

中期経営計画「RT2026」の進捗についてご説明します。最終年度となる2027年3月期は、当初の目標を大きく上回り、過去最高売上となる売上高265億円、営業利益19億円の業績予想を掲げています。

新紙幣特需が終息し、国内既存ビジネスにおいては縮小トレンドが見込まれるものの、足元の国内売上は堅調に推移しています。ここに、米国大型案件の売上計上を中心とする海外事業の確立の成果が加わることで、今期の業績拡大に着実に貢献する見通しです。

今後は、この海外事業の収益定着を着実に進めるとともに、統合ソリューション「MoveLe(ムーブル)」をはじめとする新規領域の収益化に向けた基盤構築を確実に推し進め、外部環境に左右されない強固な事業構造への変革を加速させていきます。

戦略①:海外事業 -運賃収受システムのシェア拡大-

当社の成長戦略についてご説明します。まずは、海外事業についてご説明します。2026年3月期はポートランドでの大型案件完遂により、海外売上比率が約15パーセントに達し、米国でのプロジェクト遂行体制を確立しました。

この実績を強みに、現在はカリフォルニア州・OCTAさま向けの運賃箱592台をはじめ、各州で継続的に案件を獲得しています。今後は年間1,200台の安定受注を目標に、既存顧客の多いカリフォルニアやテキサス等へターゲットを絞り、買い替え需要を逃さない提案営業を強化します。

さらに、キャッシュレス端末やデジタルサイネージの投入も進め、米国でも運賃箱を足がかりにしたシェア拡大を加速させていきます。

戦略②:廃棄物収集業務効率化システム『G-SUPPORT』

新明和工業さまと共同開発した廃棄物収集業務効率化システム「G-SUPPORT」の進捗をご説明します。本システムは、深刻な人手不足や高齢化などの課題に対応するDXソリューションです。この度、自治体初となる大きな成果として、名古屋市さまにおける資源ごみの各戸回収化に向けた実証実験への採用が決定し、今年5月より3ヶ月間のデータ収集を開始しました。

業界トップの塵芥車データと当社の運行管理ノウハウを融合したこのシステムは、大都市の複雑な回収ルート最適化や作業負荷軽減に直結するものです。

本事業の収益モデルについては、車載通信機器「LIVU」の供給によるフロー売上に加え、クラウドを介したデータ作成、およびシステム利用料による継続的なストック売上を組み合わせたハイブリッド型となっています。

これにより、導入台数の拡大が当社の中長期的なリカーリング収益の成長に直結する仕組みを構築しました。2030年までの5,000台導入に向け、今回の実績を強力な足がかりとし、社会インフラの高度化と当社のさらなる収益基盤拡大を推進していきます。

戦略③:観光DX -富士登山事前登録システム継続導入-

当社の成長戦略の要となる観光DX事業の進捗をご報告します。富士山では現在、弾丸登山などのオーバーツーリズムが深刻な社会課題となっています。当社は入山管理アプリ「FUJI NAVI」を通じてこの解決を支援しており、昨年の導入実績が高く評価され、本年度も継続して採用されるに至りました。

2026年度版では、事前登録から決済まですべての手続きがアプリ内で完結する機能や、入山証となるQRコードの同行者分配機能などを新たに実装し、利便性を大幅に向上させています。引き続き、登山者の安全確保と現場の業務負荷軽減を両立する本システムを通じ、持続可能な観光地づくりをリードしていく考えです。

戦略④:持続可能な公共交通を支える統合ソリューション

持続可能な公共交通を支える統合ソリューション「MoveLe」についてご説明します。「MoveLe」というブランド名は移動を意味する「Move」と、持続可能性を意味する「Sustainable」を掛け合わせたものです。

モノとコト、利用者とサービス、そして技術とアイデアなど、あらゆる要素を「つなぐ」ことで、社会の移動を「とまらない」ものにします。わたしたちは「バス事業が、とまらない」をビジョンに掲げ、長年培った知見を活かして、バス事業者さまのオペレーションをスマートに変革していきます。

公共交通の課題解決に対し、点から面への事業展開でサポート

当社は、人口減少や人手不足、業務の複雑化といった公共交通の課題に対し、唯一無二の伴走者として解決にあたります。1960年代からハードウェアを通じて現場と向き合ってきたレシップだからこそ、データには表れない真の困り事を深く理解しています。この知見と自社機器からの良質な1次データを活用し、事業全体のスマート化を実現します。

バス事業者の抱える課題に対し、レシップの強みを活かした伴走支援

次に、日々のオペレーションにお悩みを抱えるバス事業者さまへの、具体的な伴走支援についてご説明します。手作業での集計や導入コストといった課題に対し、当社の強みである「バス用電装機器トップシェアの実績」「自社製品から取得する1次データ」「運賃計算ロジックや現場への深い知見」を掛け合わせ、作業時間の削減や収益改善など、バス事業者さまの抱える課題を解決に導きます。

今後は年2件以上の新ソリューションを提供し、2030年度には売上高35億円を目指します。

MoveLe ロードマップ

「MoveLe」のロードマップについてご説明します。すでに2つのソリューションを提供中ですが、今後も全ステークホルダーを対象に、運行管理や労務・車両管理など多岐にわたるサービスを展開します。

2026年から2027年の基盤構築期では、補助金申請業務のデジタル化など現場の負担軽減に着手し、2028年以降は機能拡張・大規模展開へと移行、車両管理の自動化などへ領域を広げます。

本事業は導入時の収益に加え、継続利用料をいただくストック型を想定しています。景気に左右されない安定的な事業構造へ転換し、事業者さまと共に持続可能な公共交通の未来を創り上げます。

MoveLe導入実績

最後に、昨年度の「MoveLe」導入事例を2つご紹介します。1つ目は、5月発表の「ダイヤ編成システム」です。路線などの基本情報を設定するだけで、運行計画を効率化できます。導入いただいた岩手県交通さまでは、数日かかっていたデータ作成作業が大幅に短縮され、業務のスピードアップを高く評価いただいています。

2つ目は、11月発表の「運行最適化支援システム」です。バスの走行データを自動分析するクラウドサービスです。じょうてつさまでは手作業のデータ集計を自動化し、ダイヤ検討時間を10分の1に削減しました。客観的なデータで判断できる新たな検討スタイルの起点としてご活用いただいています。

こうした実績を起点に現場の課題を解決し、データで判断を支える確かな経営を、「MoveLe」を通じて事業者さまと共に創り上げていきます。

以上で当社からのご説明を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:業績要因と業績予想について

Q:2027年3月期は過去最高の売上と増益を予想されていますが、新紙幣の特需が落ち着いた後、具体的にどの事業が業績を引っ張っていくのでしょうか? また、この計画が達成できる実現性について教えてください。

A:2027年3月期の業績においては、米国における運賃収受システム(AFC)の大型案件の売上計上が大きく寄与する見込みです。

国内バス市場については、新紙幣の特需剥落による既存機器の売上減少は見込まれるものの、昨今の新車バス生産台数の増加を追い風として、足元の需要は堅調に推移しています。

今後はこの底堅い事業基盤をベースに、新規領域の本格導入と拡販を確実に行うことで、持続的な成長へとつなげていきます。

質疑応答:受注損失について

Q:2026年3月期末の受注損失引当金は主にどの案件・地域に関連するものでしょうか? 米国AFC大型案件に関連していますか? また、2027年3月期の利益予想への影響や追加計上の可能性はありますか?

A:今回計上した受注損失引当金は、米国AFC大型案件に関連するものではなく、国内輸送機器事業(バス市場)における戦略的案件に起因するものです。将来の市場シェア維持・確保を見据えた一過性の計上であり、今後継続的に発生する予定はありません。また、2026年3月期に損失見込みを引当金として一括計上しているため、2027年3月期の営業利益予想を追加で圧迫することは想定していません。

質疑応答:米国事業について

Q:米国での大型受注は今後も持続可能な水準でしょうか? 海外売上が伸びている理由や現地の競合環境について教えてください。また、Houston METRO案件以降も年間1,200台規模の受注を継続する目標とのことですが、足元のパイプラインの積み上がり状況と、競合に対する勝率の推移はいかがでしょうか?

A:米国での大型案件(TriMetさまやHouston METROさま等)の完遂により、強固な生産体制と運用実績を構築できたことが、さらなる受注につながっています。

競合環境においては挑戦者の立場ですが、この実績を武器にバス事業者の車両更新のタイミングを狙い、着実にシェア拡大を図ります。具体的なパイプラインの開示は控えますが、2030年度の目標を見据えた年間1,200台規模の継続受注に向け、積極的な営業活動を推進していきます。

質疑応答:米国事業について

Q:Houston METRO案件について、今期に検収予定とのことですが、現地インフラ絡みの大型案件は遅延リスクが付き物です。仮に検収がズレ込んだ場合、業績予想の修正リスクはどの程度ありますか?

A:Houston METROさま向けの機器納入はすでに完了しており、納入・検収に向けたプロセスは概ね計画どおりに進捗しています。スケジュールどおり検収完了を確実視しており、2027年3月期の上期中には売上計上ができる前提で予想を組んでいます。万が一、顧客側の事情等で数ヶ月のズレが生じた場合でも、当期中には計上される見込みが高いため、通期業績への影響は限定的と考えています。

質疑応答:米国事業について

Q:中東情勢の緊迫化に伴う国内での原材料高騰や、米国事業における為替変動・トランプ関税など、国内外の地政学リスクが収益に与える影響と、それぞれの対策について教えてください。

A:国内外の地政学リスクやマクロ環境の変化に対しては、それぞれ適切にコントロールを図っています。まず国内の調達環境ですが、中東情勢などを背景とした樹脂や板金の値上げ要請に加え、足元では塗装用シンナーの不足といった課題も発生しています。これらに対しては単に要求を呑むのではなく、仕入先さまの残材確認や代替の検討、時期の精査など、丁寧な個別交渉を通じて影響の極小化に努めています。

一方、米国事業における為替リスクですが、バイ・アメリカ法(Buy America Act)により現地調達部品も多いため影響は限定的と見ています。

関税についても今期分は輸出済みで影響は軽微ですが、来期以降は入札価格への反映やサプライチェーンの見直しにより、適切に対応していきます。

質疑応答:キャッシュアロケーションについて

Q:キャッシュアロケーションを更新し、成長投資枠を20億円から35億円へと拡大されましたが、M&Aも視野に入れているとのことです。具体的にどのような領域をターゲットに検討されているのでしょうか?

A:キャッシュアロケーションの更新は、営業キャッシュ・フローが順調に拡大する見通しとなったことに伴うものです。

拡大した成長投資枠については、「モノ+コト」の実現に向けた研究開発の加速や、M&Aを視野に入れた投資に充当していきます。具体的なターゲット企業等についての現時点での開示は差し控えますが、当社とのシナジー効果を厳格に見極めながら検討を進めていく方針です。

質疑応答:株主還元について

Q:配当方針をDOE2パーセント以上から3パーセント以上へ引き上げられましたが、このタイミングで変更された背景と、今後の株主還元に対する基本的なお考えを教えてください。

A:配当方針の変更は、主力の国内事業を中心とした堅調な業績推移による収益力の向上と、当社の強固な財務基盤を踏まえ、資本効率のさらなる向上と株主還元を一層充実させるため決定しました。DOE(純資産配当率)を指標としているのは、短期的な業績変動に左右されず、安定的かつ継続的に還元を行うためです。

この方針に基づき、2026年3月期は24円へ増配し、2027年3月期は26円を予定しています。また、自己株式取得についても、成長投資とのバランスや株価水準等を総合的に勘案し、機動的な選択肢の一つとしてすでに上限1.5億円の取得を決議しました。今後も積極的な還元を実施していきます。

質疑応答:中期経営計画について

Q:中期経営計画「RT2026」の2ヶ年が経過しましたが、これまでの進捗に対する自己評価と、最終年度の目標達成に向けた残りの課題を教えてください。

A:「RT2026」の基本戦略である「海外事業の確立」と「新規領域の拡大」については、着実な成果が表れています。

海外事業では米国での大型案件を完遂できる体制が整い、新規領域においてはMoveLe事業として2026年3月期に年2件の新ソリューションをローンチしました。

一方で、今後の課題としては、これら新規事業の収益化スピードをさらに加速させることが必要だと認識しています。最終年度に向け、国内既存ビジネスで生み出した経営資源をこれら成長ドライバーへ重点的にシフトすることで、目標達成を確実なものにしていきます。

質疑応答:MoveLeについて

Q:国内バス市場は縮小傾向にありますが、統合ソリューション「MoveLe」の拡販によって、国内事業トータルとしての売上高は将来的に維持できると見ていますか? それともさらなる成長が可能だとお考えですか?

A:新紙幣特需の収束やハードウェア需要の減少は想定の範囲内です。当社は「MoveLe」を通じて、従来のハードウェア提供から、交通事業者さまの業務を熟知したパートナーとしてのソリューション提供へと転換を図っています。

将来的には、これらデータサービスなどの新規領域でのリカーリング収益を積み上げることで、国内売上の維持にとどまらず、トップラインの再成長を実現できる事業チャンスがあると考えています。

質疑応答:MoveLeについて

Q:統合ソリューション「MoveLe」について、2030年度売上高目標35億円を掲げていますが、収益化までのロードマップと、他社のITベンダーに対する御社独自の強みは何でしょうか?

A:当社の強みは、長年の機器提供で得たデータと現場課題への深い理解を武器に、事業者さまと同じ目線で課題解決に伴走できることです。収益化のロードマップとしては、初期費用に加えて継続的なサービス利用料をいただくストック型のビジネスモデルを想定しています。

毎年2件以上の新サービスを継続的にリリースし、全国のバス事業者さまとの強固な顧客基盤を活かして導入を拡大することで、2030年度の目標35億円の達成を目指していきます。

質疑応答:DXについて

Q:今期、AIを活用したソフトウェア開発の効率改善を重要施策として推進するとのことですが、具体的な取り組み内容と、それによって生み出される効果をどう見込んでいますか?

A:当社では全社員がセキュリティを担保した形でエンタープライズ版AI(Gemini)を利用できる環境を整備しています。これを活用し、ドキュメント作成の効率化や試験工程の省力化、さらには過去の知見を活かしたデザインレビューを行っています。

定量的な初期目標としては、ソフトウェア設計効率を10パーセント向上させ、年間25,000時間規模のリソースを新たに創出することを見込んでいます。

この創出された余力は、次世代プロダクトの研究開発や新規機能の早期リリースに集中投資し、開発スピードの加速を通じた新たな収益機会の獲得、ひいては全社的な収益力強化へとつなげていきます。

質疑応答:産業機器事業について

Q:産業機器事業の中で、EMS市場の売上が前年同期比で約30パーセント増と好調ですが、この要因と今後の見通しについて教えてください。

A:EMS事業の増収は、主に自動車向けの基板実装売上が好調に推移したことによるものです。顧客の底堅い需要に支えられており、引き続き安定的な推移を見込んでいます。市況の変動リスクはありますが、当社の柔軟な生産体制に対するお客さまからの評価は高く、特定の市場動向に過度に依存することなく、着実に収益を確保していきます。

いま読まれてます

記事提供:

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー