2026年6月20日にログミーFinance主催で行われた、ログミー IR Meet 2026夏 第1部・イーレックス株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。
イーレックスとは
田中稔道氏(以下、田中):常務取締役の田中です。簡単にですが、イーレックス株式会社についてご説明します。
スライド1枚で簡潔にまとめているとおり、中央に「AI時代の電力不足解消と脱炭素に貢献する会社」と1行に要約しています。具体的に何を行っているかについては、その後ろに薄く記載しているとおり、主に4つの事業を展開しています。
まず、スライド左上にある「電力小売」についてです。ご存知の方も多いかと思いますが、いわゆる新電力事業はイーレックスの創業事業です。現在、年間で約40億キロワットアワーを販売しており、売上はおよそ900億円規模となっています。
次に、左下にある「国内発電」についてです。こちらは主にバイオマス発電を中心に行っており、国内で5基の発電所を運営しています。また、今年5月には新潟での大型バイオマス発電所の建設を落札し(長期脱炭素電源オークションにて落札)、現在開発を進めています。
さらに、右上にある「燃料」についてです。こちらでは、主にバイオマス燃料を取り扱っています。これらは主に東南アジアから輸入し、自社(および他社への販売)で年間160万トンを取り扱っています。
最後に、右下にあるポイントです。当社は、コロナ禍前から海外、特にベトナムとカンボジアでの発電事業に取り組んでおり、昨年4月に運転を開始した発電所が1基、現在開発中の発電所が4基あります。
電力市場は成長の好機

田中:現在の電力市場は非常に成長の好機と言われており、この点についてはみなさまもすでにご存じかと思います。
現在、日本の電力市場規模は20兆円から25兆円ほどです。実は、この電力市場は2000年からほとんど成長せず、伸び率が1パーセントにも満たない状況でした。
しかし、昨今のAIの進展を受けて今後のデータセンター需要が非常に増加し、それに伴い必要な電力量も大幅に増えていくと予測されています。
また、スライド右側にも記載があるとおり、供給力(電源)が不足している現状に加え、世界的な脱炭素の流れが引き続き継続しています。そのような中、安定した再生可能エネルギー電源が必要であると考えており、我々はこれを市場のチャンスと捉えています。
このような市場環境のもと、スライド右下に記載されているとおり、イーレックスとしては今後の成長ドライバーとして3つの事業を挙げています。
1つ目は、蓄電池事業です。昨今、蓄電池が注目される中、当社も今年4月から蓄電池事業に参入し、現在、電力取引を行っています。2つ目は、2013年より取り組んでいるバイオマス発電事業、そして3つ目は海外事業です。
成長ストーリー① 蓄電池 -再エネ電源拡大方針-

田中:成長ストーリー①は、蓄電池事業です。ご存知のとおり、再生可能エネルギー電源の拡大方針は引き続き変わらず、国が第7次エネルギー基本計画を定めています。これからも再生可能エネルギー、特に太陽光を増やしていこうという方針です。
太陽光は、本日のような悪天候ではあまり発電しませんが、日が照れば電力が生まれる仕組みです。この電力をいかに貯めるかが、非常に重要になってきます。
成長ストーリー① 蓄電池 -国内の蓄電池導入見通し-

田中:今後もこのようなかたちで、再生可能エネルギーに加え、蓄電池の導入が進められます。2050年までに、導入量は約1万4,300メガワットまで拡大する見通しです。
成長ストーリー① 蓄電池 -当社のアグリゲーション事業展開状況-

田中:我々としても、蓄電池事業を展開していくために、(アグリゲーション事業として)まずは2028年度に100メガワットを取扱電源として目指していきます。
スライドに記載しているのは、まず、すでに取り組んでいる1号案件である宮崎県串間市における取り組みです。千葉県にある2号案件も、今期中に運転開始を予定しています。
また、JR東日本とのコーポレートPPAやデマンドレスポンスにも、現在はアグリゲーション事業として取り組んでいます。
成長ストーリー② バイオマス発電 -当社の発電所一覧-

田中:成長ストーリーの2つ目は、バイオマス発電です。当社の発電所について、スライド右側が日本地図、左側が東南アジアの地図を示しています。
右側にあるのは2013年から取り組んでいるバイオマス発電所であり、現在、約350メガワットの電力を供給しています。
また、新潟のバイオマス発電所については今年5月に落札し(長期脱炭素電源オークションにて落札)、112メガワットの大型バイオマス発電所を2029年度に運転開始する予定です。
左側は、カンボジアとベトナムでのバイオマス発電事業を示しています。カンボジアの水力発電所は80メガワットの規模で今年6月から貯水を開始しており、今年度中に運用を開始する予定です。
成長ストーリー② バイオマス発電 -安定電源でデータセンター需要に対応-

田中:バイオマス発電の優れている点は、太陽光や風力と異なり、火力発電所と同様に24時間電気を発電できることです。我々はこの特性を活かし、スライドに記載のとおり、データセンターの需要に対応しています。
昨今はデータセンターの話題が新聞でも多く取り上げられていますが、再生可能エネルギーという付加価値をつけて供給することで新たな電力需要を開拓し、成長を図るストーリーを描いています。
成長ストーリー② バイオマス発電 -新設:新潟バイオマス発電所-

田中:こちらのスライドは、新潟バイオマス発電所についてです。
長期脱炭素電源オークションという国の制度があり、この制度に基づき固定費が確保されている発電所です。発電容量も大きいことから、2029年度の運転開始を目指してしっかりと取り組んでいきます。
成長ストーリー③ 海外 -当社の海外事業概要-

田中:3つ目の成長ストーリーは、海外事業です。ベトナムでは現在、2基を開発中です。また、カンボジアではバイオマス発電所と太陽光発電所がそれぞれ1基、水力発電所が1基開発中です。
スライド左下に記載した写真は、昨年4月にすでに運転を開始しているハウジャン発電所です。ホーチミンから車で約4時間のハウジャン省に位置しています。
右側はカンボジアにある水力発電所の写真で、水が溜まり始めている状況を示しています。私も、今年3月に現地を訪問しました。その際はまだ水がほとんど溜まっていませんでしたが、この写真は先週のものです。水が順調に溜まり始めており、今年12月から試運転を行い、来年1月に運用を開始する予定です。
(参考)カンボジア水力の現在の様子

田中:こちらのスライドの写真は、水がさらに溜まっている様子を示しています。現在も、着実に水が溜まっている状況です。
今後の成長曲線

田中:最後に、私どもの今後の成長曲線として、2027年度以降の数字を記載しています。
既存事業である電力小売事業では販売量を着実に伸ばして成長を目指すとともに、アグリゲーション事業の蓄電池、データセンターへの電力供給、バイオマス発電、海外事業での展開を目指しています。
税引前利益ベースでは、2030年度に250億円から300億円の利益を計上すべく、現在、全力で取り組んでいる会社です。
質疑応答:イーレックスの業績見通しと事業環境について

塩谷航平氏(以下、塩谷):株式会社hands 代表取締役の塩谷です。現在、イーレックスの株価はかなり乱高下しており、特に論点になっているのは今期の業績予想に関する部分です。
こちらは「業績の着地見込みがわかった時点で速やかに回答する」という開示が出ているかと思いますので、この部分についてお答えいただける範囲でお話をうかがえればと思います。
また、データセンターの新規事業に取り組まれている中、国内におけるデータセンター銘柄が数少ない現状や、イーレックスの新たな取り組みには個人的にも非常に注目しているため、その点についても質問したいと思います。

塩谷:決算説明資料の2ページと17ページについては、業績予想が未定の段階にある中で、足元の周辺KPIは比較的良好な状況になっているのではないかと思います。
御社の開示情報にもあるとおり、東京ベースロード価格の推移が12円台から22円台へと高騰し、足元でも10円台後半から20円台前後を推移していることから、御社の事業環境は非常に良い方向に向かっているのではないかと考えています。
このような影響の中で、今期はベースロード価格などを含めて前期と比べて収益がどの程度ポジティブかネガティブかについて、また、どのような業績見通しを現時点で感じているかについて、可能な限り教えてください。
田中:業績見通しについて、この場で発表することはさすがにできませんが、個人的には7月上旬頃には発表したいと考えています。
先ほどのご説明にもありましたが、弊社の株価は直近で1,100円前後から700円台前半まで下がっています。業績見通しが未定であることが非常に大きく影響していると考えているため、早めに業績見通しやガイダンスを市場に提示したいと考えています。
そもそも、なぜ業績を未定としたかについてもご説明します。我々は今年2月26日に中期経営計画を発表しており、その時点では2026年度計画を提示していました。
しかし、その直後の2月28日にイランへの攻撃が発生しました。スライドに表示しているのは、東京のベースロード、つまり電力先物市場の価格です。イランへの攻撃以降、価格が急激に上昇し、我々が想定していた前提条件がほんの2日間で大きく変わってしまった結果、業績の見通しを未定とせざるを得ませんでした。
その後、ベースロード価格は高値を維持していますが、直近では暫定合意が成立したことにより、若干下落してきています。状況を十分に見極めた上で、しっかりとした数字をもって今期のガイダンスをご提示できればと考えています。
質疑応答:高圧の販売電力量と粗利単価の変動要因について

塩谷:高圧の販売電力量について質問です。計画比では6.5パーセント増加し、非常に好調だったと考えています。

塩谷:一方、こちらのスライドに示されている電力の粗利単価は、少し減少しているように見受けられます。この粗利単価がなぜ乱高下するのか、また、販売電力量との関連性について、もう少し具体的にご教示いただけますか?
田中:当社には、高圧の販売プランが複数あります。固定料金プランや市場連動プラン、それらのハイブリッドプランなど、いくつかの選択肢を提供していますが、プランごとに粗利単価に若干の差が生じます。
昨年度は電力市場の価格が非常に安かったため、お客さまが粗利単価の低い市場連動プランを選好されたという背景があります。その結果、2026年3月期の粗利単価は前期に比べて低下しました。
プランごとのミックス割合で申し上げると、2025年度は固定料金プランが7割、市場連動プランが3割というバランスのイメージでしたが、現在はその割合が逆転している状況です。この影響が粗利単価の低下につながったと考えています。
塩谷:これは年度によってミックスがかなり変動し、粗利単価が上下するものであると考えてよいでしょうか?
田中:そのとおりです。現状、電力市場の価格が上昇しており、先ほどご覧いただいたように、ベースロード価格も上がっています。
そのため、お客さまも市場連動プランよりも、固定プランやハイブリッドプランを選好される傾向が見られます。このようなお客さまの販売量が増えることで、当社の粗利単価も増加していきます。
質疑応答:データセンター誘致とバイオマス発電所の連携について

塩谷:データセンターに関する質問です。発電機の隣にデータセンターを誘致する活動が行われているかと思いますが、こちらのスライドを見る限り、国内ではこの誘致に関する実績がまだ少ない取り組みかと思います。
一方で、非常に有用なテーマであると感じています。御社がこの取り組みを行う強みや足元の状況、進め方について、なにかあれば教えていただけないでしょうか?
田中:いわゆる「ワット・ビット連携」と言われているように、特にアメリカでは、データセンターの隣にガス火力発電所を建設する動きが実際に行われており、そのバイオマス発電版と考えていただければと思います。
我々は、新潟のバイオマス発電所の近くにも用地があります。また、すでに合計で350メガワットのバイオマス発電所が存在しており、その近くに土地があればデータセンターを誘致し、電力を供給することも可能ではないかと考えています。
データセンターで大きな課題となっているのが、送電線にデータセンターを接続する点です。この過程には、10年以上かかる場合もあると言われています。
そこで、当社の発電所の近くに拠点を構えていただき、相対契約で電力供給を実現するなど、このような課題を解決できる可能性があるのではないかと考えています。
塩谷:データセンターの事業会社からすると、よりスピーディにデータセンターを立ち上げられるということがメリットになるのでしょうか?
田中:そうですね。1つは、再生可能エネルギーの活用、いわゆる再エネ価値をどう評価するかという点があります。加えて、近くに電源があることで、すぐに電気の供給が可能になるという点もあります。
2029年度から2031年度にかけて、非常に多くのデータセンター需要が見込まれているため、送電線につなげるまでの期間を考えると、我々の立地、すなわち保有する発電所の強みが発揮されるのではないかと考えています。
塩谷:お答えいただける範囲でけっこうですが、例えばデータセンターについては、新潟のバイオマス発電所では最近落札が決まったと思います。そこからデータセンターを誘致するまでの立ち上げのリードタイムはどのくらいでしょうか?
田中:3年から5年ほどかと思います。我々の発電所が立ち上がるまでには、今着工してもおよそ3年半かかるため、それくらいのイメージになると思います。
質疑応答:海外事業の黒字化に向けた道筋について

塩谷:海外事業の黒字化に向けた道筋については、現在、海外でさまざまな新規事業が立ち上がっており、発電所も稼働しています。このような中、社内ではどのような見通しを立てているか教えていただけますか?
田中:決算説明資料にも記載がありますが、昨年4月に稼働を開始した発電所やペレット工場に関して、現在、燃料高騰の影響により苦戦しています。
この問題に対しては、燃料調達の拡大や販売価格の抜本的な改善に取り組んでおり、年度内にはなんとか単月黒字を達成したいと考えています。
質疑応答:カンボジアにおける水力発電事業参入の理由について

質問者:カンボジアは、水力発電が中心ですよね。御社の事業とシナジーがないのではないかと思うのですが、なぜ水力発電に参入したのでしょうか?
田中:カンボジアでは、実は私たちが最初から開発に取り組んだわけではありません。当初はベトナムに進出しており、隣国であることから燃料の調査などを行う中で、カンボジアの有望性について考えるようになりました。
実は約10年前には、水力発電所の開発に取り組みたいという状況がありました。ここにはカンボジア政府の意向も強く反映されており、もちろん、発電所の開発には政府の認可が必須となります。
カンボジアは基本的にタイ、ラオス、ベトナムなどから電力を輸入している国であり、今後人口の増加に伴って電力需要が高まる見通しから、国としてできるだけ自前の発電所を持ちたいという方針が示されていました。
さらに、東南アジア特有の気候を活かし、雨という非常に有効なエネルギーを利用できる水力発電所の開発を目指すことになりました。
そのため、当社が単独で進めるのではなく、現地の企業とのジョイントベンチャーというかたちで事業を展開しています。このような経緯から、カンボジアの電力事業への貢献を果たしつつ、水力発電事業に取り組むことになりました。
質疑応答:既存事業およびカーボンクレジット事業の計画について
塩谷:「2030年度に税前利益で250億円から300億円を目指すという中期経営計画の上で、現在の89億円から大きく伸ばす必要があるということでした。
既存事業の成長、蓄電池、AI時代の需要獲得、データセンター、海外事業などのうち、最も確度が高い利益ドライバーは何でしょうか?」というご質問です。
田中:1つは、既存事業は現在も実力的には営業利益ベースで100億円程度のイメージがあるのではないかと思います。
もちろん、市況によって上下することがあります。そこに私たちが国内で取り組む蓄電所事業や、先ほどご説明したバイオマス発電所を加えると、営業利益ベースでおそらく150億円程度は実現できるのではないかと見ています。
もちろん、既存事業のオーガニックな成長をこれからも継続していく予定に加えて、海外でのバイオマス発電事業や水力発電所事業も加わります。さらに、私たちがこの中で最も注目しているのがカーボンクレジットです。
ベトナムでのバイオマス発電事業では、カーボンクレジットを獲得見込みです。GX-ETS市場が開始された日本企業のお客さまやベトナムのお客さまに対し、カーボンクレジットを販売することを考えています。
塩谷:直近では、説明資料の21ページに書かれていましたよね。

田中:そうですね。現在は1トン当たり60ドルと見ており、1ドル150円とすると、1トンで約1万円となります。
現在、私たちの計画では、バイオマス発電所のほかにベトナムでの石炭火力への混焼事業も検討しています。それらを合わせると、約60万トンのカーボンクレジットが創出されると目論んでおり、これを1万円で換算すると50億円となります。
塩谷:大きなインパクトがありますね。
田中:こちらは、売上がそのまま利益になる事業です。ただし、日本とベトナム国との間で、これからしっかり調整されていくことになります。
その調整を進めつつここを狙っていきたいと考えているため、この税引前利益250億円から300億円という数字は、決して非現実的なものではないと考えています。ここをご評価いただければ、株価もさらに上昇していくのではないかと思っています。
塩谷:カーボンクレジットの売買は、確か今期から始まる計画でしたか?
田中:いいえ、カーボンクレジットの売買はまだ始まりません。今期ではなく、発電所を1年間運転した後にカーボンクレジットが獲得できますので、その後になります。
質疑応答:カンボジアのバイオマス発電所の燃料材料について

質問者:バイオマス発電所として、脱炭素やカーボンニュートラルの政策のもと事業展開されていますが、ベトナムではバイオマス発電所が木質ペレット工場であるということで、材料や素材を確保しながら運営されていると理解しました。
カンボジアにはバイオマス発電所と太陽光発電所を各1基ずつ設置する予定であることが、成長ストーリーのスライドに記載されています。この場合、カンボジアでは燃料となる材料は何になるのでしょうか?
田中:ペレットに加工せずに木材をそのまま破砕し、チップ状にしたものを燃料として使用することも可能です。その点については、現在検討中です。
質疑応答:アメリカとイラン停戦による業績への影響について
質問者:3月に始まった、アメリカとイランの戦争については、人道的な観点とは別に、あくまで業績や株価だけを考えると、御社にとってポジティブな影響が大きいかと考えています。
一方で先週、暫定的ながら14項目の合意がなされ、合意に従いながら不確定要素があるものの、戦争が停戦する方向で進んでいく可能性があります。
その場合、これまで戦争が続いていた状況から停戦に至ることで、御社の業績がすべてネガティブな影響を受けるのでしょうか? それとも、経済情勢の安定によってポジティブな影響があるのでしょうか?
7月に予定されている業績予想でも触れられると思いますが、現時点でお答えいただける範囲で、どのようなネガティブおよびポジティブな要素を見込んでいますか?
田中:戦争が発生し、ホルムズ海峡が封鎖されましたが、これは歴史上初めての出来事です。ホルムズ海峡が封鎖されるとは誰も想像していなかった中で、実際にそれが起きてしまいました。
この事態により、石油の90パーセントを中東に依存している現状では、今後のエネルギー保障を確立することは難しいということを、みなさまも十分にご理解されたのではないかと思います。
日本は資源が不足しているため、原子力発電所や再生可能エネルギーが主要な選択肢ではないかと考えています。もちろん、補助的な役割としてガスや火力発電所の利用も必要になるでしょう。
そのような観点から、中長期的に見るとあのような事態がどう評価されるべきかはわかりませんが、例えば当社のような再生可能エネルギー発電を標榜する企業にとってはポジティブな影響があるのではないかと思っています。
また、仮に合意がなされた場合でも、油の供給に関連する船の確保や船繰りの問題があるため、少なくとも数ヶ月、あるいはそれ以上はまだ混乱が続くのではないかと思います。
仮に状況が正常化したとしても、ホルムズ海峡が封鎖されたという事実は、日本国としてエネルギー安全保障を検討する上で重要な教訓となり、状況が大きく変わることはないのではないかと考えています。
一方、短期的には市場が混乱した状況が2月末から3月末にかけて顕在化しており、先ほどご覧いただいたベースロード市場の価格においても、「なんだこれは」というような動きが見られました。
そのため、短期的にはネガティブな面とポジティブな面が入り混じって現れる可能性があり、現在はその推移を慎重に見極めているところです。それらを踏まえ、今年度のガイダンスについてしっかりと検討し、発表していきたいと考えています。
質疑応答:糸魚川発電所と土佐発電所の運転休止の情報の掲載について
質問者:質問というよりも感想ですが、資料の目的が違うためかと思いますが、決算説明資料には糸魚川発電所と土佐発電所の運転休止の情報が掲載されていたため、IR説明資料にも掲載していただきたかったと感じました。
田中:貴重なご意見をありがとうございます。
質疑応答:JFEエンジニアリング社との資本業務提携解消が株価に与える影響について
塩谷:「今回、株価が下がっている要因として、JFEエンジニアリング社との資本業務提携の解消が挙げられるかと思いますが、JFEエンジニアリング社の持株処理についての進展はどのような状況ですか?」というご質問です。
田中:その点については、当社からの具体的なコメントは控えます。ただ、先方からは株価への影響を十分に考慮したかたちをご検討いただいているとうかがっています。
塩谷:関連した質問として、提携解消による業務上の影響などがあれば教えてください。
田中:実は、JFEエンジニアリング社には国内の発電事業を4ヶ所手がけていただいており、現在もO&Mを含めてしっかりとご対応いただいている状況です。
海外でのバイオマス発電については、我々と先方との間で見解の相違が多少あったということかと思いますが、国内への影響はまったくありません。また、海外では我々がさまざまなエンジニアリング会社と事業を進めているため、まったく影響のない状況です。
質疑応答:新潟バイオマス発電所の収益計画と今後の展開について

質問者:新潟バイオマス発電所について質問です。2029年度の運転開始からどのくらいで建設費用を回収し、利益を出せるのでしょうか? かかるコストを利益に乗せられるのは、3年ほど経過してから利益が確保できるということでしょうか?
また、今後このような発電所をどれくらいのペースで、人員を増やさずに増設していけるのかについてお聞かせください。
田中:こちらは「長期脱炭素電源オークション」という国の制度に基づき、スライドに記載のとおり容量確保契約金を20年間固定で受け取れるスキームとなっています。
そのため、基本的に投資資金はこの契約金から賄うことができるため、初年度から一定の利益を見込める状況です。もちろん、後年度になるほど利益は大きくなっていきます。
次に、本件に関連しますが、この長期脱炭素電源オークションは2026年度も実施される予定です。我々としては、チャンスがあれば同様のかたちでバイオマス発電所に取り組んでいきたいと考えています。
また、それにより各種コストも削減できる可能性があるため、まだ具体的に決まってはいませんが、引き続き取り組んでいきたいと思います。
質疑応答:ベトナムとカンボジアにおける発電所増設計画について
質問者:ベトナムとカンボジアでのバイオマス発電について質問です。カンボジアでは26パーセントが太陽光発電となっており、水力発電は34パーセントとなっているようです。それに加えて開発するということと理解しました。
今後、カンボジアやベトナムは日本ほどある規模や需要を考えれば、電力や設備の増強が必要だと思います。これに対して水力発電所やバイオマス発電所、太陽光発電所を増設する予定はありますか?
田中:現段階では、ベトナム政府が発表した第8次国家電力基本計画に18基のバイオマス発電所が出されています。(その中の2基について、すでに我々は建設を始めていますが、今後、残りの16基のバイオマス発電所についても)我々は開発を引き続き進めていく予定です。
カンボジアでは、当社は、現在、水力発電所、バイオマス発電所、太陽光発電所を計画していますが、水力発電所の下流に追加で10メガワットから20メガワットの水力発電所の建設可能な地点が見つかりました。
ただし、国の許認可が必要となるため、それが取得できる場合に実現の可能性があると考えています。
田中氏からのご挨拶
田中:株価などについて、いろいろとご心配やご迷惑をおかけしています。当社としては、先ほどご説明したとおり、足元はもちろんのこと、2030年度に向けてしっかりと利益を積み上げることで株価を上げ、株主のみなさまに還元していくことを実行していきます。ぜひとも、イーレックス株式会社をよろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:電力の買取制度変更による収益への影響はあるのでしょうか?
回答:(海外に関する質問としてお答えします)ベトナムのバイオマス発電所については、燃料代等の変動が売電価格に反映される新制度の適用がされた場合、収支は好転する見込みです。
<質問2>
質問:蓄電池はけっこう騒音を発生させると聞きますが、地域の人々の了解は得られるのでしょうか?
回答:蓄電池については、運用時に一定の音が発生することは事実ですが、当社としては設置前の段階で周辺環境や規制を十分に確認し、防音対策や設置場所の工夫を行うことで、地域への影響を最小限に抑えることを前提としています。また、地域のみなさまへの説明や合意形成も丁寧に行いながら進めています。
<質問3>
質問:代理店を通じた電力小売から脱却していくことは考えていないのでしょうか?
回答:現在、代理店営業だけでなくWebや不動産業者等のチャネルを活かした営業を実施しています。代理店においては当該代理店の既存顧客のエンゲージメントが高いため、現時点では方針変更は考えていません。今後もそれぞれのチャネルの強みを活かし顧客獲得を推進していきます。
<質問4>
質問:人材の獲得は順調でしょうか?
回答:新卒・中途ともに年間を通して募集を行っており、現時点では概ね順調に推移しています。一方で、採用競争は激化しているため、当社の成長性や挑戦機会を遡及しながら採用・定着・育成を一体で強化しているところです。今後も少数精鋭の方針のもと、事業の成長に合わせて必要人材を獲得していきます。
<質問5>
質問:今後の海外展開の考え方について教えてください。
回答:引き続き電力需要の増大が見込まれる東南アジアを中心に、バイオマス発電等の再生可能エネルギーの開発を行います。また発電によるカーボンクレジットを創出し、日本企業等に販売することによって、その収益で海外へ再投資するサイクルの構築を目指します。なお、発電事業の経済性確保に向けて燃料事業を強化し、東南アジアにおける燃料サプライチェーンの構築を目指します。
<質問6>
質問:海外への燃料販売も行っているのでしょうか?
回答:(日本から海外、もしくはベトナムから日本以外の海外への販売という意味でお答えします)現時点では行っていません。ただし、燃料サプライチェーンの構築ができた場合、販売可能性はあります。
<質問7>
質問:バイオマス発電は、データセンターに求められる安定性と脱炭素を同時に提供できるとのことですが、現時点でデータセンター事業者との具体的な引き合いや協議は進んでいますか?
回答:具体名は申し上げられませんが、複数の事業者さまと協議を進めています。
