■要約
ミクニ<7247>は、1923年創業、100年超の歴史を有する独立系部品メーカーである。主力のモビリティ事業では、吸気・燃料噴射関連製品を中心に、二輪車・四輪車に加え、パワースポーツ※、船外機、建設機械、農業機械向けに製品を供給している。東南アジア、中国、北米、インドなどでグローバルに事業を展開するほか、ガステクノ事業、商社事業、福祉介護機器事業なども手掛ける。事業・顧客・地域において多様なポートフォリオを有し、安定した収益基盤と中長期的な成長ポテンシャルを併せ持つ点が特長である。
※ パワースポーツ(Power Sports):大型二輪車、ATV、スノーモービル等のモータースポーツおよびレジャー用途のモビリティの総称。市場は北米が中心である。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の103,419百万円、営業利益で同38.3%増の4,181百万円、経常利益で同17.7%増の3,340百万円と4期連続の増収となり、営業利益及び経常利益とも2期ぶりの増益に転じた。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に投資有価証券売却益等の特別利益を計上していたことから、前期比38.6%減の1,197百万円となった。
事業セグメント別に見ると、売上面では需要が好調なモビリティ事業及び商社事業が増収をけん引し、利益面ではコスト削減が進んだガステクノ事業の損失縮小を含め、全事業セグメントが増益に寄与した。なお、モビリティ事業ではインドがほぼ日本と同規模の売上高となっている。インドでは日系メーカーに加え、地場の二輪車及び四輪車メーカーとの取引も拡大していると見られ、成長市場に事業基盤を有することは同社の強みの1つと言える。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.4%増の110,000百万円、営業利益で同2.8%増の4,300百万円、経常利益で同4.8%増の3,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同42.0%増の1,700百万円と中東情勢など不透明要因が残るなかでも2期連続の増収増益の見通しである。
事業セグメント別に見ると、商社事業は前期実績が高水準であった影響から減益を想定する一方、モビリティ事業はインド拠点が引き続きけん引役となり増益、ガステクノ事業は実施した諸施策の効果発現により損失縮小を想定している。
3. 長期経営ビジョン
長期経営ビジョン「VISION 2033」の実現に向けて、「競争力の強化」と「企業特性を活かせる成長分野への挑戦」を基本方針とする。定量目標として、2033年度(2034年3月期)にEBITDAマージン13%以上、途中段階となる2027年度(2028年3月期)にEBITDAマージン10%以上を掲げている。また、見直し後の中期経営計画では、資本効率を重視する観点から、新たにROICを重要経営指標とし、2033年度目標7%以上を掲げている。カーボンニュートラルの実現など事業環境が大きく変化するなか、同ビジョンに基づく各種施策の実施により、既存事業の競争力強化を図りつつ、成長が期待できる事業へのシフトを進めて、中長期的な成長への道筋をつけることが大きな課題となっている。また、主力のモビリティ事業では、同社が成長事業と位置付けるサーマルマネジメント(熱管理・熱制御)領域におけるスズキ<7269>との提携など成果も出始めており、今後の各種施策の進捗とその成果に注目したい。
4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施しており、中長期的な視点から安定的な利益配分を行うことを、剰余金の配当等に関する基本方針としている。この方針に基づき、2026年3月期の1株当たり配当金は14.0円となり、2025年3月期と同額の配当となった。なお、2024年3月期の1株当たり配当金20.0円には、創立100周年記念配当10.0円が含まれており、これを除くと2025年3月期には実質的に4.0円の増配を実施したことになる。2027年3月期には、さらに1.0円増配となる1株当たり配当金15.0円を計画している。
■Key Points
・2026年3月期は38.3%の営業増益、全事業セグメントが増益に寄与
・2027年3月期はモビリティ事業の増益やガステクノ事業の損失縮小等により、2期連続の増収増益の見通し
・見直し後の中期経営計画では、資本効率を重視する観点から、新たにROICを重要経営指標とし、2033年度に7%以上を目標とする。
・2026年3月期は1株当たり配当金14.0円を維持、2027年3月期は1.0円の増配を計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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